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Fate/Zero ~MAKAISENKI~

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鎧伝「対金」



これは冴島鋼牙が約束の地から帰還した後の物語…

元老院
総ての番犬所を束ねる魔戒騎士や魔戒法師達の最高機関。
番犬所とは新たな武器の支給、修繕、ホラーに関する情報、新たなホラーの出現などを魔戒騎士に伝えたり、掟に反した者への制裁も行う場所のことであり、一般人が行くことが出来な異空間に存在する。
番犬所が魔戒騎士に指示を行う際は赤い封筒に入れられた指令所が送られる。
しかし、この元老院はその限りではなく、元老院の神官であるグレスが直々に指令を出すことが多い。
元老院にはかなりの力量を誇る魔戒騎士や天才魔戒法師が所属している。
そして、最強の魔戒騎士である黄金騎士"牙狼(ガロ)"の称号を持つ冴島鋼牙もその一人である。
鋼牙は魔導具の製造に関しては神業とされた阿門老師の再来とも言われている天才魔戒法師の布道レオ(現在は閃光騎士"狼怒(ロード)"の名も持っている)を引きつれ元老院からの呼び出しに応じたのだ。

「来ましたね、鋼牙」

神官グレスに声を掛けられ、それに応えるように一礼をする。

「今回の指令はホラー討伐ではありません」

「ホラー討伐ではない?」

鋼牙の疑問の声ももっともだ。
ホラーの討伐の指令以外に黄金騎士たる鋼牙が送られる指令など限られてくる。
以前は号竜運搬の護衛などがあったが…

「今回討伐するのは暗黒騎士です」

「暗黒騎士ですって!?」

レオが驚愕の声を上げる。
暗黒騎士、それは魔戒騎士が心を闇に売り渡し、鎧に自らの身を喰わせる事で成り得る云わば堕ちた騎士。
元老院に来る以前に鋼牙が倒した史上最強の暗黒騎士"呀"(実際は呀であったバラゴ本人ではなく、呀の鎧が意思を持った物だった)以来、暗黒騎士は出てきてはいなかった。

「その暗黒騎士は?」

「何度か他の魔戒騎士が討伐に繰り出されていますが、成功したものは居ません。今のところ、魔戒騎士に死者は出ていませが、それも時間の問題でしょう。かつては名のある騎士だったのですが…」

そう語るグレスの顔はどこか悲しげだ。
闇に落ちた騎士が出てしまったことに悔やんでいるのかもしれない。

「分かりました。その指令受けさせていただきます。」

「お願いします。レオ、鋼牙のサポートを頼みましたよ」

「はい!」

鋼牙とレオはグレスに一礼を残し、その場を後にした。

――――――――
――――――
――――

元老院を後にした鋼牙とレオがしたことは探索だ。
暗黒騎士が持つデスメタルの反応を魔戒法師が持つ箱状の物で追うという方法をとった。
しかし、これは暗黒騎士が鎧を召喚した時でなければ反応しない。
武器のデスメタルだけでは反応を追うのには不足なのだ。

「どうだ、レオ見つかりそうか?」

「いえ、まだ反応は出てません」

「そうか」

そう短く締めくくった。
鋼牙はいつも、仏頂面をしていて、言葉を発しても二言三言。
何かと誤解されやすいが、内に秘める炎は誰よりも熱い。
棘があるような言葉にも裏には優しさを隠したりしている。
分かる人間にはその人間性が分かり、人を惹きつける何かを持っている。
かくいうレオもその一人だ。

「…あの、鋼牙さん」

唐突にレオが口を開いた。

「何だ」

「…暗黒騎士ってどういう人たちなんですか?」

レオは暗黒騎士に会ったことがない、その疑問も当然といえよう。
レオにはかつて兄がいた。
魔戒騎士を見限り、一部の人間を生贄に総てのホラーを倒す究極の兵器イデアを使おうとした魔戒法師の兄、布動シグマ。
レオはその兄を止められなかった。
結果的に鋼牙が止めた形になり、シグマは安らかに逝った。
だが、それでもレオは兄に生きてほしかった、かつての誇りを取り戻してほしかった。
もし、暗黒騎士が兄と同じような人なら止めたい、もう兄のような者を出してはいけないのだ。
そうレオは思っていた。

『暗黒騎士、奴等はただ力を求めるだけの修羅だ。レオ、奴等には気を許すな』

鋼牙の変わりに答えたのは。鋼牙の魔導輪ザルバ。
ザルバはずっと鋼牙の戦いを見てきた、鋼牙がかつて戦った暗黒騎士呀であるバラゴはとてつもない強さだった。
だが、最後の最後で改心したのも恐らくバラゴだけだろう。
改心してくれればそれに越したことはないが、暗黒騎士はそんな甘いものではない。

「レオ、暗黒騎士をシグマと重ねているのだろうが…奴等はシグマとは違う方向で闇に染まっている。止めようとは思わないことだ」

「…はい」

鋼牙の言葉にレオはどこか沈痛そうに答えた。
闇に堕ちたものを救えると思うのは傲慢だ。
闇の深い深い所まで堕ちた者は救うことができない。

「…!!見つけました!!」

展開していた魔導机に反応があった。
同時にホラーの反応もしている。

「行くぞ、レオ」

「はい!」

暗黒騎士は力を求める。
ホラーを喰らう事でその力を貯めていく。より強いホラーであればあるほど貯まる力も強くなる。
バラゴは力を求めすぎるあまり、全てのホラーの始祖であるメシアを復活させようとしていた。
これから出会う暗黒騎士もそんな奴かもしれない。
だとすれば、何としても暗黒騎士を止めねばならない。
そんな事を思いながら、鋼牙とレオは暗黒騎士の下へ急いだ。

――――――――
―――――
―――

「ギアアァァァァアアアァァァァ!!」

「くっ!もう1体はどこだ!?」

悲鳴を上げながら目の前のホラーが消えていく。
シンギが先ほど倒したホラーは分裂型のホラーだった。
1体を相手している間にもう1体のホラーが姿を消していた。
だが、そのホラーが姿を見せなくなってから数秒もたっていない。
まだ、近くにいるはずだと思いながら、辺りを見回す。
いつまでも鎧を着ているわけにはいかないので一度鎧を送還する。
戦いになったらまた装着すればいいだけの事だ。
暗黒騎士の鎧に制限時間はない。
だが、いつまでも装着していてはあの衝動が出てくる可能性がある。
それだけはどうしても避けたかったのだ。
ふと、近づいてくる二つの人影が目に入った。
―ホラーか?………いや、違う。あの服装は魔戒騎士だ。
またかと、溜息をつく。
暗黒騎士になってから何度も魔戒騎士と戦っているのだ。
重傷を負わせないように気絶だけで済ませるのは、一般魔戒騎士なら楽に済ませられるが、称号持ちならそうも行かない。
かつて、戦った白夜騎士打無(ダン)は気絶などと甘い事をいってられるほど甘い相手ではなかった。
制限時間の隙をついてようやく逃げ出せた相手だ。

「暗黒騎士だな?」

白いコートを着た男が聞いてきた。
魔戒騎士で白いコートというのは、珍しい。
普通は黒や茶色といったような夜でも目立たない格好をしている。
打無の男は白いコートだったが。

「そうだ、暗黒騎士虚、鷹上シンギだ。お前は?」

『こいつは黄金騎士牙狼、冴島鋼牙だ。お前を狩りにきた』

二人が口を開いていないところを見るにどちらかの―恐らく鋼牙と言われている方の魔導具が喋ったのだろう。
しかし、黄金騎士それも牙狼の称号を持つものだとは驚いた。
実力が最高位であり黄金の鎧を与えられたものは例に漏れず黄金騎士の称号を贈られる。
だが、牙狼となれば別だ。
作品名:Fate/Zero ~MAKAISENKI~ 作家名:魔戒