二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ドラゴンクエスト・アナザー

INDEX|16ページ/25ページ|

次のページ前のページ
 

第十二話 「魔物の罠」


「世界樹? ああ、あれがそうだ」
付近の住民らしき人はそう答えた。
セーラたちはゼラン戦の教訓から、次の目的地に行く前に世界樹の葉を探しに来たのである。
教えてもらった世界樹は、大きく立派な樹で葉が生い茂っている。
世界樹の葉は一度に一枚しか持つことができないが、一人を確実に蘇生してくれる。
ザオラル・ザオリクを覚えるまではこれに頼るしかない。
世界樹の葉を手に入れた一行は、次の目的地ミルバに向かった。

 一行はミルバの村に到着した。
村人たちに話を聞くが、返ってくるのはモンスターじいさんのことばかりであった。
どうやら変わり者で通っているらしい。
ここは、マーベルの街にいたププル少年が飼っていたスライムのサスケが引き取られてきたところである。
まずはサスケを引き取ったモンスターじいさんの家に行ってみる。

 中に入るといきなり何かが飛んできてセーラの顔に張り付いた。
セーラが顔から引き離すと、それはサスケであった。
「あっ、サスケ!」
サスケは喜んでセーラの手の上を飛び跳ねる。
「本当にかわいいのね」
「よく人間になつくものだ」
セーラはププルがよくやって見せていたことを思い出し、パンのかけらを空へ放り投げた。
サスケは空中へ飛び上がり、パンのかけらを食べた。
「すごい!」
「サスケ、ちゃんと覚えてたのね」

 そこに老人がやってきた。
「モンスターハウスへようこそ。わしがモンスターじいさんじゃ。ここでは魔物が人間と共存できるかどうかを研究しておる」
そう言うと建物の中を案内してくれた。
そして檻の前で止まる。
檻の中にはキラースコップや耳飛びねずみなど、数種類の魔物がいた。
「今はこれだけじゃが、そのうちもっと預かることができるようになるじゃろ。ゆくゆくは魔物たちを仲間として連れて歩けるようにしたいものじゃ」
「どうすれば魔物と仲良くなれるんですか?」
「まずは魔物の賢さじゃな。賢さが足りんとどうにもならん。あとは月並みじゃが人間と魔物の信頼関係じゃ。こちらは人間の方にも素質が必要な場合がある。因みにここの魔物の中でもサスケの賢さは群を抜いているのでな。それでサスケだけは檻の外で放し飼いにしているのじゃ」
「へえー、君は賢いのね-」
「ピキー!」
サスケは得意そうに飛び跳ねた。
セーラたちはしばらくサスケと遊んでいた。

 モンスターハウスを出た後、一行はセーラのたっての願いでこの村に一泊することになった。
その夜、モンスターハウスへ使い魔が忍びこんだ。
「キキー。魔物と人間が共存できるわけがなかろう。だが万が一研究が成功してしまってはギルドラス様の計画に狂いが生じる。だからおまえたちには、魔物と人間が対立するため一役買ってもらうぞ」
そして使い魔は魔物の餌に何かを入れ姿を消した。

 次の日、セーラたちがモンスターハウスに来ると、何か様子がおかしい。
見ると魔物たちが殺気だって檻の外に出ている。
一行が部屋の中を探すと、床に倒れて気を失っているモンスターじいさんが見つかった。
名前を呼ぶと気がついたようで、いきさつを話し始めた。
「今日の朝、魔物たちに餌をやった後しばらくすると様子がおかしくなったのじゃ。原因を調べようとしたところ、サスケに体当たりをくらっての。わしはのびてしまったんじゃ。その後サスケがわしから檻のカギを奪って、魔物たちを外に出したんじゃろう」

 セーラたちが話している間に、魔物たちは建物の中を破壊し始めた。
「いかん、このまま魔物たちが外に逃げ出したら村が大変なことになるぞい」
「それじゃどうすれば……」
「……戦うしかなかろうて」
マリアは魔物たちの動きを止めるためラリホーを唱えたが効かなかった。
「もう戦うしかないの?」
こうしている間にも、魔物たちは建物を壊し続けている。

 セーラは戦うことを決意し、サスケと対峙した。
サスケは動かずにじっとセーラを見つめている。
セーラは剣を振り上げる。
だがサスケを斬ることができない。
そして剣を落としてしまい、床に座り込んだ。
「私には……できない……」
そんなセーラを見てアレフが叫ぶ。
「どけセーラ! 俺が斬る!」
だがセーラは泣きながら首を横に振る。

 そのときカイが思い出して叫んだ。
「セーラ! マーベル王にもらった理性の種だ! あれをサスケに食べさせるんだ!」
セーラが慌てて持ち物を確かめると、理性の種が見つかった。
だがどうやってサスケに食べさせればよいのか。
セーラはその方法を一つだけ思いついた。
サスケが食べてくれることを祈りながら、理性の種を空中に放り投げる。
サスケはそれを見て反射的に飛び上がり、理性の種を食べた。
だがその後サスケは動かなくなってしまった。
セーラは泣きながらサスケを抱きしめる。
その涙がセーラの頬を伝いサスケの体を潤していく。
やがてサスケは目を覚まし、セーラの肩で飛び跳ね始めた。
どうやら元に戻ったようで、一同は胸をなでおろした。

 カイたちはサスケの力を借りて他の魔物たちにもなんとか理性の種を食べさせた。
やっと騒動は収まったが、問題は誰の仕業かである。
「多分、人間と魔物が仲良くすると困る誰かの仕業よね」
「人か魔物か」
「手口からして魔物でしょうね。だとするといつまた忍びこまれるかわからないわ。だからここに結界を張りましょう。セーラ手伝って」
マリアは用意した五つの宝玉に、セーラの青い珠の力を分け与え、その宝玉を柱に埋め込んだ。
宝玉の間に光の壁のようなものが現れ、結界は完成した。
「おじいさん、これで魔物たちに邪魔されず研究ができると思います。いつの日か魔物と人間が仲良く暮らせる日が来ると信じます」
「ありがとう。わしもその日が一日でも早く来るよう、頑張るつもりじゃ」

 一行はモンスターじいさんとサスケに別れを告げ、ミルバの村を去って行った。
マリアは、目的のためには仲間をも利用する魔物のやり方が許せず、ずっと不機嫌であった。