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ドラゴンクエスト・アナザー

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第十六話 「宿敵バルガ」


 気球による空の旅は快適である。
スピードは速くないものの、魔物たちに遭遇しないというのは安心感があった。
やがて隣の大陸が見えてきた。
しばらく行くと前方に瓦礫と化した街があるので地上に降りてみる。
エルマールの街はもはや存在しなかった。
「ひどい……」
「街の人はどうなったんだろう」
すると後ろから声が聞こえた。
「おまえたち、意外と早かったな」
振り返るとそこにいたのは、マリアたちの村アルメリアを襲ったバルガであった。
「きさま、一体何のためにこの街を滅ぼした!」
「街の人たちはどうしたの!」
「この街はおまえたちをおびき出すために滅ぼしたのだ。街の人間は知らんな。天国にでも逃げたんじゃないのか。ハーッハッハッハッ」
「このやろう! そんなことのために!」
「次はオレ様から質問だ。本物の天空の剣はどこだ」
「何!?」
「オレ様にこんな偽物をつかませやがって。よくも恥をかかせてくれたな」
そう言うと、バルガは天空の剣を投げてよこした。
確かにあの時バルガが奪っていった剣である。
試しにセーラが持つと淡い青色に光る。
「おい、そこの女。おまえが勇者だったとはな。おまえの背中にある剣が本物だろう。それをよこせ」
「よこせと言われて素直に渡すと思う?」
「その言葉後悔するぞ」

 バルガが襲いかかってきて戦闘が始まった。
バルガは激しい炎を吐いた。
しかし四人とも息攻撃耐性のある防具を装備しているのでほとんどダメージを受けない。
セーラはみたび家宝の剣を抜いた。
剣は青く輝き、バルガに会心の一撃を与える。
カイはメラミで、マリアはバギマでHPを削り取る。
「くっ、このままでは済まさん」
バルガは仲間を呼んだ。
ハエ男が現れた。
だがアレフが一撃でハエ男を倒す。
「同じ手が通用すると思ったか」
すかさずセーラたちはたたみかけるようにバルガにダメージを与える。
バルガは倒れた。

 するとどこからかおぞましい声が聞こえてきた。
「バルガよ。そのような者たちに倒されるとは愚か者めが。今一度機会を与えてやる。必ずや天空の剣を持ってまいれ」
「ははっ、ギルドラス様!」
「今の声が……」
「ギルドラスか……」
バルガはこちらを向いた。
「さて第二回戦だ。さっきのオレ様とはちょっと違うから覚悟しろよ」
そう言うといきなり灼熱の炎を吐いた。
激しい炎とは格段に違う威力に、一行は驚愕した。
マリアがベホマラーを唱えるが、回復が追いつかないため、セーラも回復役に回る。
そして回復が追いついたところで、攻撃に参加するのだが、戦いは長引きじりじりと押されていくのが四人にはわかった。

 突然セーラが地面に膝をついた。
青い珠を見ると、いつのまにか光が弱くなっている。
これ以上の戦闘は危険だと判断したカイはルーラを唱える。
四人は戦闘から離脱した。
「チッ、逃げられたか」
バルガもどこかへ去って行った。

 戦闘中のルーラの目的地はランダムなのでどこに着くかわからない。
一行がついたところは、オルドの家に近いミラの街であった。
三人は街の宿に入り、セーラを寝かせた。
セーラはかなり苦しそうである。
「戦闘が長引いたせいで、青い珠の力を使いすぎたんだ」
「家宝の剣はやはり諸刃の剣だな」
「それで青い珠に力を与えるにはどうしたらいいの?」
「ゼランのときも同じことを言ってたが、結局わからなかったな」
「時間がもったいない。オレがオルドのじいさんを連れてくる」

 オルドの家の林まで来たカイはオルドを呼んだ。
だがオルドは一向に姿を現さない。
林の中に入っても、前回同様いつの間にか林の外に出てしまう。
カイはなんとかオルドの家へ行こうとしたが、やがてあきらめてミラへ帰って行った。
「ダメだ。オルドのじいさんはどこにもいない。セーラの具合はどうだ」
「あまり芳しくないな。呼吸が段々激しくなっている」
「くそっ、なんでこんなときにあのじいさんはいないんだ!」
「ねえ、どうしよう。あたしどうしたらいいのかわからない」
「俺にもどうしたらいいのかわからん」
アレフも頭を抱えた。
そんな中、カイがあることを思い出した。
「レムリア城で魔物たちに奪われた、赤い指輪を覚えてるか? あれは確か聖なる力を魔の力に変える物じゃなかったか?」
「レムリア王はそう言っていたわね」
「だとすれば、その逆の指輪も存在するんじゃないか?」
「なるほど、可能性はある。それじゃ早速レムリア城に行ってみよう」
セーラをマリアにまかせて、カイとアレフはルーラで飛んでいった。

 レムリア城につきレムリア王に聞いてみると、推察通り赤い指輪と対になる青い指輪があるという。
しかし青い指輪はレムリア王家に伝わっておらず、どこにあるのかわからないとのこと。
二人はレムリア城と城下町を探したが、やはり見つけることはできなかった。
二人は近隣の街を調べるため、ルーラで飛び立って行った。

 そのころマリアはセーラを看ていた。
しかし何ができるわけでもない。
セーラは変わらず苦しそうにしている。
だがしばらくしてセーラの様子が静かになった。
青い珠を見ると、光が消えている。
セーラは完全に意識を失ったのだ。
「以前青い珠が砕かれたときにオルドさんから、セーラは青い珠の力がないと一日は持たないと言われた。今回もそうだとすると、明日のお昼ぐらいまでに何とかしないとセーラは…… 二人とも早く帰ってきて!」
マリアは天に祈った。

 アレフとカイは青い指輪を求めて、各地の街や村の中を探し回っていた。
しかし、指輪は見つからず、何の情報も得られない。
時間だけがむなしく過ぎ去って行き、あたりは既に闇が訪れていた。
「宿屋に泊まっている暇はないな」
「ああ。夜通し捜索だ。しかし何か情報はないのか」
「エルフの里にはまだ行ってなかったな。あそこの女王なら何か知ってるかもしれない」
「だが夜の間は女王に会えないぞ」
エルフの里は後回しにして、他をあたることにした。

 マリアはセーラを看ながらついうとうととしていた。
そしてはっとして目を覚ましセーラを見る。
セーラは意識を失ったままである。
時間はそろそろ夜が明けようとするころであった。
しかしまだ二人は戻ってこない。
マリアは再度、青い珠に力を与えようと様々な方法を試してみる。
しかしマリアの努力の甲斐もなく、青い珠には何の変化も見られなかった。
「セーラ、どうすればあなたは目覚めるの? 何とか言ってよ」
そして日が昇り朝になった。
残された時間はあと半日しかない。
マリアは祈りながら、二人の帰りを待っていた。