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図書館戦争 堂x郁 狙われた宝石

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手術中のランプが消え、医師が出てくるまでの間、堂上は両手を握りしめ
額にあて懇願する思いでランプが消えるのを待った

医師からの説明を受け、堂上は玄田に報告をした

腹部への傷は見た目程深くは無かったが、全治三週間の重傷だった
左肩の付根の傷は数針縫う程度だった

出血が酷かった為、貧血を起こしていたが、今は血色も良くなっている
郁の額についた髪を払い、そっとキスを落す

無事で良かった・・・生きててくれて良かった・・・
やっと手に入れた宝石を、失うかと思った
郁を失ったら、俺は生きていけない・・・
血の海を見た時、身体が引き裂かれる思いだった

堂上はもう一度額にキスを落した後「また明日くる」と言って病室を後にした



特殊部隊事務室に戻ると、小牧が近づき「話しがある」と言って堂上を会議室へ連れて行った
「何だ?」と言うと、小牧は「うん。今日笠原さんを刺した女性の件」と言って
堂上に向き合うようにパイプ椅子に腰かけた

利用者女性は、最初から郁狙いだったと供述した
犯行の目的は堂上と郁との関係を妬み、計画を実行した
最初から、殺意を持って刺したと、淡々と話したらしい

堂上は右手を強く握り、眉間に皺を寄せ、怒りに震えていた
小牧は「続きがあるんだよ・・・」と言って「話していい?」と聞く
堂上はコクリと頷き、小牧に続きを話すよう合い図した

実は今回の女性は二度目の犯行だった
一度目は失敗に終わり、悶々としていたらしい
ある日、ネットの裏サイトで図書館員ベスト10という記事を発見した
そこには、女子No1.柴崎朝子 No2.笠原郁と掲載されていた
男性部門の人気投票もあり、堂上、小牧、手塚と堂上班全員がエントリーされていた

記事のレスを読むと、『美脚を堪能したい』『寝顔が見たい』『笑顔が可愛い』
などと郁を絶賛する文章が綴られていて、最後に『結婚するらしいよ』という記事を見つけた
「誰と?」と彼女は内容を読むと、堂上と婚約し、春には挙式すると情報が記載されていた

彼女は逆上し、再度郁を狙うことを計画した

「裏サイトの件は、柴崎さんが調べてるよ」
「・・・そうか」
「なんかね、写真も掲載されてるんだって」
「・・・盗撮か?」
「可能性はあるね・・・」

小牧は一旦深呼吸をして、堂上の顔を見て「それでね・・」と更に続けた
「犯人が捕まったから一安心ってことにはならないみたいなんだよね・・・」
そう言うと、堂上は「まだ何かあるのか?」と小牧を見た
「うん。笠原さんを狙っているのは複数人みたいなんだ」
それは利用者だけではなく、どうやら図書館員の中にも居るらしいよ・・と小牧は言う

「玄田隊長は、警視庁の”親戚”に連絡して更に動機や関連した情報を聞き出すよう”お願い”したって」
「館内の利用者だけではなく、図書館員にも郁を狙ってるやつが居るっていうのはどこからの情報だ?」
「聞かなくても分かるでしょ」と言って小牧は苦笑いする
「・・・柴崎か・・・」
そうつぶやくと、小牧はコクリと頷き
「今までも笠原さんと堂上を別れさせ得ようと画策していた館員がいたらしいんだけど
 柴崎さんが裏から手を廻して、片っ端から握り潰してたんだって」
中には今回同様に殺傷事件に近い計画をしていた館員もいたらしいよ・・と恐ろしいことを言う

「多分、笠原さんは気づいてないよ。
 自分が狙われているってことにね」
私物が紛失したり、階段から転んだりしても、自分の不注意だって思ってるんじゃないのかな?と小牧は続ける

郁のことだ。小牧の言う通り、モノが紛失すれば、自分が無くしたと思うだろう
階段から落ちれば、自分の不注意で転んだぐらいにしか思わない
見た目に分かる怪我でもすれば、俺も気付いたかもしれんが、
今までは怪我を負うことが無かった為、見過ごしてしまっただろう

堂上は怒りを通り越して、呆れていた
ハァーと深いため息を吐き、小牧を見据え「分かった。俺も注意する」と言って、立ち上がった