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図書館戦争 堂x郁 狙われた宝石

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翌日、柴崎には郁の入院に必要な荷物を届けるよう依頼し
堂上は業務後に病院へ行く予定だった

事務室にて一日の行動予定を確認していると、堂上の携帯が鳴り、着信者に『柴崎』と表示されていた

「どうした?」
「堂上教官、今から病室に来て頂けますか?笠原がちょっと大変なことになってます」
そう言うと、堂上は「分かった。すぐに向かう」と言って電話を切り、出勤してきたばかりの小牧を捕まえ事情を話し
足早に郁の居る病院へ向かった

病室に入ると、郁は起き上がっており、柴崎は郁の手を握っていた
別段、何も変わった様子はないと思われたが・・・・
柴崎が堂上の姿を捕らえると「笠原?堂上教官が来てくれたわよ」と言って郁の肩を揺する
郁が「どこ?篤さん?」と言って、首をキョロキョロしている
目は開いているが、焦点が合っていない

「笠原?・・郁?・・視えないのか?」
堂上はそう言いながら、郁のベットの近くまで寄ると、柴崎が椅子から離れ堂上に譲る
堂上は一旦柴崎を見てから、椅子に座り郁の右手をキュッと握る
「・・・篤さん?・・何かね、起きたら全然見えなくて・・・ちょっと吃驚」なんて笑いながら言うが、焦点は合わず前を向いている
柴崎が立ったまま堂上に説明をした
「医師の説明によると、刺された際のショックから一時的に失明しているようです」
「治るのか?」
「・・・それは何とも言えないそうです」
柴崎はそう告げつと、「笠原、私少し席外すわよ」と言って病室を出ていった

残された堂上は、左手で郁の髪をすき、頬に掌を当てる
「郁・・・すまん。守れなかったな・・・」そう呟くと、
郁は頭をブンブン左右に振りながら「篤さんのせいじゃありません」と言って手を握り返す
「私が油断していたから・・・彼女・・本当に苦しそうだったんです」ポツリと言うとふにゃりと笑う
「まさか、ナイフで刺されちゃうとは思いませんでしたけど」
「アホウ!何呑気な事言ってる!」
まったくお前は・・と続けて堂上が言うと
「ごめんなさい」と郁が空いている左手で堂上が触れている頬の手に重ねた
堂上は一旦手を離し、今度は両手で郁の頬を捕まえる
「・・・本当に視えてないんだな・・・お前の瞳には俺が映っているのにな・・」
と言って、軽く唇にキスを落して抱きしめた
郁は堂上の肩を涙で濡らし、堂上はゆっくりと郁の背中を擦っていた



暫くして、柴崎が戻り、堂上は郁に二言三言声を掛けた後、「後は頼む」と伝え病室を出た
特殊部隊事務室へ戻り、玄田と緒方に郁の状況を説明すると
玄田は鬼の形相になり、怒りを露わにしていた
緒方は冷静に、退院するまでに視力が回復しない場合の対応を考えましょうと玄田に伝える

堂上は比較的冷静に郁の状況を説明していた
話しを聞いてた小牧・手塚も戸惑う程に、それは冷静に、静かに、話しを進めていた

一時的に失明していても、仮に一生失明していても、堂上が郁を思う気持ちが変わることはない
郁は無理して笑顔を絶やさず、柴崎や堂上に接していた
本当は一番辛いだろうに・・・妙なところが男らしいというか・・・もう少し甘えてくれてもいいのにな・・
堂上は玄田と緒方のやり取りを見ながら、病室で一人戦っている恋人に思いを募らせた