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灰色

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手放す


(緑間side)



もしかしたら、自分は馬鹿なのかもしれないと思った。


高尾が初めて彼女に出逢う1時間前、「別れて欲しい」と言ったのは俺だった。
どうしようもないくらいに好きだった彼女を手放したくはなかったが、幼い子供のように彼女を試して、困らせた。





しばらく彼女は黙ったあと、「わかった」と言いそれから何も喋らなくなった。


嫌だと言ってくれることを望んでいた俺には絶望しか出てこなかった。








後悔など、馬鹿になる程したのだよ。



ヤケになって高尾をたぶらかして夏生を好きになるよう仕組んだりした。
でも気づいた時にはもう歯止めすら効かない所まで来ていたなんて考えもしなかった。




本当は彼女とヨリを戻すつもりで花火をしている夏生に近づいた。





・・・それを彼女は望んでいない事に気づきもしないで俺は。

拒絶された。



高尾に助けを求めた、と咄嗟にそう思って悲しくなった。





彼女はもう、俺のもとには戻ってこない。

高尾を好きになって2人が付き合う。
俺と夏生が2人でいた頃のように幸せに過ごす。




それが最善策で、彼女にとって一番幸せな選択。



自分が悪い。

あの日、「別れれ欲しい」などと言わなければ



作品名:灰色 作家名:まつひさ