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One Year Later 2

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――― 
ハボック少尉は隣駅まで車を飛ばし、駅舎で電話を借りて、大佐に報告していた。
「ってわけで、大将の見立てでは、錬金術師、または錬丹術師の仕業で間違いないそうです。しかも凄腕。なんでも壊したところからは龍気がみなぎってるんですってよ。」
『龍気!?・・・なんだそれは?』
「え~っと、アルが言ってたところでは、確か錬丹術の力の源みたいっす。大佐がよこしたリンに確認したところ、まるでシンみたいに龍気がみなぎってるって。」
『錬丹術に龍気か・・・やっかいだな』
「そうっすね~、で、俺は今から多分壊すんじゃないかっていうところのトンネルの上を見張ることに・・・」
『鋼のと一緒じゃないのか?』
「大将たちはアーカルの村で聞き込みするってことで、一足先に俺だけ来ました。うまくすれば現場を抑えられるってことで」
『そうか・・・わかった。例え現場を抑えても一人で行動するなよ』
「しませんよ、錬金術師と渡り合えるほどの力はありません。正体を掴むことだけに専念します。」
『そうしてくれ』


電話を切ったが、妙な胸騒ぎがする。そういえば、鋼のが関係して今まで穏便に済んだ調査はなかったような。
今回の調査も錬金術師が関わっているとは思ったが、錬丹術、龍気に発展するとは思わなかった。・・・マズイな・・・鋼のは錬金術が使えない、リン・ヤオも。アルフォンス・エルリックは使えるが、果たして今回の国土錬成陣を壊して回る術師とどれだけ張り合えるか・・・ハボックが一緒ならまだ安心なんだが、あのバカは別行動をしていると報告してきたし・・・仕方ない。
「中尉、切符の手配を」
「出来ています。30分後に出発ですので、お早く駅に。」
「・・・手回しがいいな。」
「今までエルリック兄弟が関わって、穏便に済んだ調査はありません。そして、今はエドワード君は錬金術が使えませんから。」
人の行動を思い通りにするのは気分がいいのだが、自分の行動をこうもあっさり部下に見破られるのは、あまりいい気がしない。だが、おかげでスムーズに移動出来るのも事実だ。
「・・・アーカルへ出掛ける。支度を」
「はっ」


――― 
「アルフォンス・エルリック・・・だよね?」
「そうだけど・・・兄さんとリンさんに何をしたの?」
「心配ない。ちょっと料理に睡眠薬を混ぜただけだ。」
「どうしてそんなことを?」
「静かに話がしたかったからかな、ホーエンハイムの息子のキミと。」
「父さんを知ってるの?」
「うん、・・・というか、ホーエンハイムから何も聞いてない?」
「父さんから・・・?何もって何を?」
「あぁ、うん、わかった。何も聞いてないんだね、ったく、相変わらず言葉が足りないんだな、アイツ・・・」
「あの・・・?」
「とりあえず、二人きりで静かに話ができる場所に移動しないか?」
「でも・・・」
テーブルに座ったまま眠っている兄さんとリンさんを見る。
置いていっていいんだろうか。きっとすごく心配するだろうし・・・
「それにこのままってわけにはいかないだろう、お互い。」
「えっ!?元に戻れるの?」
「もちろん。じゃないと、困る。」
「うん・・・」
今回、どうしてこうなったかわからないけど、自分の魂と体の問題だ。なるべく誰にも迷惑はかけたくない。自分ではどうやったら元に戻れるかわからないケド、もう一人の体の人が戻れると言っているのだ。この機会を逃したら・・・きっと後悔する。
「わかった、一緒に行く。」
「・・・信じてくれて、ありがとう。」
それに、こんなに寂しそうに笑う人を何だか放っておけなかった。ちょっと父さんに似ていると思うのは、息子である僕の体で笑うからだろうか。
僕は兄さんたちを起こさないように、静かに席を立った。


女将さんに一言、兄さんとリンさんのことを頼む。
食事の途中で寝ちゃったんで、2階の部屋に寝かせて欲しいとお願いしたら、快く引き受けてくれた。・・・なぜか兄さんのことをとても子供扱いしていたような気がするのは、気のせいだろうか。ついでに女将さんに車を貸してくれるよう頼んだくれと言われたので言うとおりにした。
「あの~、えっと」
「ナギでいい。」
「はい、ナギさん。」
「・・・なんか自分の体にさん付けで自分の名前を呼ばれるのは、変な気分だな。」
「僕もそう思います。さっき、フルネームで呼ばれたとき、変な感じがしましたから。」
「・・・あー、じゃ、アルって呼んでもいいかな。」
「はい、ナギさん。それで、どこに行くんですか?」
「山」
「山?」
「そう、多分、君たちが調査したところ。」
にっこり笑うナギさんに、直感的に思った。
「まさか、あの錬成陣でトンネル壊したの・・・!?」
「私だ。ホーエンハイムから頼まれてね。」
「父さんから?」
「そう、ちょっと命を助けてもらったことがあってね。お礼がしたいって言ったら、2つ頼まれた。一つは約束の日が過ぎたら、国土錬成陣を破壊して欲しいということ、もう一つは絶対に人前で、特に軍関係者の前では錬金術を使わないこと。」
「そうだったんですか。ってことはナギさんは錬金術師なんですね。」
「あぁ、結構使える。シンでは錬丹術を習得してたし、こっちではホーエンハイムにも習ったし。」
「錬金術を父さんから習ったんですか!?」
「あぁ、君たちも習ったんじゃないのか?」
「いえ、僕たちは・・・父さん、僕が小さい頃家を出ているので・・・直接習ったことはないです。家に残していた本で学んだんです。」
「そうか。ところでホーエンハイムは今どこにいるんだ?」
「・・・父さんは・・・亡くなりました。」
「亡くなった・・・ウソだろ、だって・・・不老不死の賢者の石そのものなのに!?」
「・・・そんなことまで父さん、話したんですか。」
「あー、うん、話したっていうか、知っていたんだ。彼が西の賢者だと。」
「?」
「私の一族はね、シンでも最古の一族で西の賢者から直接錬丹術を習った者が祖なんだ。で、錬丹術の知識と一緒に西の賢者の詳細も伝え聞いていてね。一目見てわかった。金の髪に金の目。そして不老不死。・・・私の命の恩人が西の賢者だってね。
その・・・私は生まれつき魂が肉体から離れやすい体質なんだが・・・そんな私の魂をいとも簡単に肉体に戻す西の賢者特有の特徴を持つ人物・・・で、西の賢者様って本当に不老不死なんだなって呟いたら、賢者様なんて呼ばれるほど偉くないよって言われて、で、いつもの調子で淡々と教えてくれたってわけ。いや~、ビックリしたよ。伝説の人物が目の前にって。本人はとっても普通に対応してたけどね。」
「そうなんですか。」
「しかし、驚いた。私以外に魂が離れやすい体質の人は初めて見た。しかもそれがホーエンハイムの息子だなんて・・・世間って狭いな。」
「いいえ、僕は魂が離れやすい体質ってわけでは・・・こんなこと初めてです。」
「私も魂が離れることはあるが、他人と入れ替わったの初めてだ。じゃ、なんだって、こんなことになっているんだ?」
ナギが体を交互に指差す。確かに魂が入れ替わるなんて、通常考えられない。
「多分、僕が魂と体が別々だった時期があったからじゃないかと思うんですけど。」
作品名:One Year Later 2 作家名:海人