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One Year Later 2

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「・・・詳しく教えてくれないか。あと辛くなければホーエンハムの最期も。約束の日に具体的に何があったのかも。」
「・・・それを全部話すとなると夜が明けるかも。」
「ちょうどいい。」
「?」
「魂の入れ替えなんだが、・・・初めてやるんだけど、その術は夜明けじゃないと行うことが出来ない。」
「・・・わかりました。僕が知っていることは全部話します。」
「頼むよ、アル。ずっと気になっていたんだ。」
よく考えると今日初対面の人に、アルフォンスは長い長い話をすることとなった。


―――
夜中、やっとアーカルの村に列車が着いた。
ハボックから連絡があったが、鋼のたちからの連絡は特にないらしい。
全く、どこにいるのやら。こんな夜中に探し回るわけにもいかない。今夜は宿に泊まって、捜索は明日からと中尉に指示しようとしたとき、ちょうど宿屋の前が騒がしくなって、見慣れた姿が飛び出してきた。

「アルフォンスーーっ!!あのバカ、どこ行きやがった!?」
「落ち着け、エドっ!あのナーグの姿のままかも・・・」
「鋼の!!」
「大佐っ!中尉まで。ちょうど良かった、アルを見かけなかったか?」
「見かけるもなにも、我々は今着いたばかりだが」
「そっか、あ、じゃぁ、黒髪で前髪で片目を隠したヤツ、見かけなかったか?」
「だから、着いたばかりだと言っているだろうが。」
「じゃ、アルはどこに行ったんだよ!?探さなきゃ・・・」
「落ち着け、鋼の。リンも。・・・アルフォンス・エルリックが行方不明なのか?」
「そうだ。俺たちが寝ている間に、あのバカ・・・絶対に一人で体を取り戻す気だっ!!」
「?・・・体を取り戻す?」
なんだか懐かしいフレーズだ。だが、体を取り戻すもなにもアルフォンス・エルリックはもう鎧じゃなく自分の体であったハズだが。
「あぁ、俺たち一服盛られて眠らされて・・・意識失う前、アルの声が聞こえてたのは覚えてる。ホーエンハイムの息子がどうこうって言ってた。で起きたらアルがいなくなってた。・・・っていうかアルじゃないっていうか・・・」
「・・・さきほど言ってた黒髪の者が関係しているのか?」
「アルじゃないけど、アルなんだよっ!!」
「・・・?先ほどから話がまるでわからないな。体を取り戻すとはなんだ?わかるように説明したまえ。」
「そんなヒマはねぇっ!!見かけてないなら、いい。大佐たちに用はねぇ。俺が自分で探し出すっ!!邪魔すんなっ!!」
「・・・鋼の。こんな夜中に騒いで人探しもなにもないだろう。とりあえず落ち着き給え」
「これが落ち着いていられるかっ!!アルがいなくなって、しかも、ホーエンハイムの息子だって・・・アル自身が狙われている可能性大だ。・・・相手はホーエンハイムのことまで知っている錬金術師かも・・・アルは今は自分の体じゃないのにっ!!」
ダメだな。これは。・・・リン・ヤオを見ると、先ほどよりは落ち着いて、少なくとも鋼のよりも話が通じる様子だ。
「どいういうことだ、リン・ヤオ?」
とりあえず、今にもどこかに走っていきそうな鋼のは中尉に任せるとして、事情を知っていそうなもう一人に声をかける。
「さっきエドが言った黒髪の者は、シンの元第2皇子だ。名前をナーグ・ナユという。それで・・・その体にアルの魂が入っている。」
「!?それはどういう・・・?」
「ナゼだかわからないが、ナーグの体にアルの魂がある。逆にアルの体は今日の昼過ぎから行方不明だ。で、アルの魂とナーグのことを確認しているときに、俺たちは眠ってしまっタ。その後、今起きたら、ナーグの姿のアルも消えていた、というワケだ。
・・・因みにナユ家はシンでも最古の一族だ。錬丹術に精通している一族で、モチロン、ナーグ・ナユも錬丹術の使い手だ。それこそチャン家の皇女など足元にも及ばない。」
「そんな話は聞いてねぇっ!!」
中尉に銃向けられながら説得されていた鋼のが話に割って入ってきた。
「話すヒマはなかっただろう。すぐに眠ってしまったし。」
「・・・じゃぁ、あのトンネル壊した錬成陣は・・・」
「多分、ナーグの仕業だ。ナユ家なら龍気を生じさせる錬成陣があるかもしれない。」
「ってことは、あいつが犯人なんだなーーっ!チクショウ、まんまと騙されたっ!!」
「・・・それで、その者が行きそうな場所は?」
「「・・・・・・・・・・」」
「はぁ、いったいドコを探す気だったんだ、鋼の?」
「うるさいっ!!」
「その者の知り合いは村にいないのかね。」
「・・・女将さんっ!!」
今出てきたばかりの宿屋にエドはとんぼ返りする。確かナーグ・・・ナギと名乗っていた者と女将さんは知り合いだ。
「女将さんっ!!ちょっと起きて、聞きたいことがあるんだっ!」
ドンドンドン、遠慮なく鋼のは宿屋の主人のいるであろうドアを叩く。
「は~い、なんだい、こんな夜中に・・・」
そのままの勢いで女将さんに掴みかかっていきそうな鋼のはとりあえず後ろに引きずり倒して、挨拶をする。
「夜分、申し訳ありません。」
「あれま、軍人さんが何か用かい?」
夜中に訪れる軍人、途端に警戒した気配が伝わる。
「えぇ、ちょっとお聞きしたいことが・・・そうそう、この者たちの面倒を見ていただいたみたいで、ありがとうございます。」
ちょっと体をずらして、鋼のとリンを示すと、女将さんは、納得いったようだった。
「起きたのかい?食事の途中で寝るなんて、子供みたいだねぇ。それで、この子たちは軍人さんの知り合いだったのかい?」
「そうなんです。それでちょっとお聞きしたいことがあるんですが・・・」
「あいよ、なんだい?」
「一緒に食事をしていた者・・・え~っと」
「ナギのことかい?」
「はい、是非お礼を言いたいと思いまして。どちらにいるかご存知ないですか?」
「ナギならまた山に行ったよ。」
「山に?」
「あぁ、あの子たちを宿に泊めてくれって頼んだときに、ついでに車を貸して欲しいって言われてね。何に使うんだって聞いたら、ちょっと忘れた薬草があるから山まで取りに行ってくるって。明日にしなよって一応言ったんだけど、急ぎだから、明日には必ず車は返すからって行っちまったよ。」
「そうですか。・・・そのとき誰か一緒ではありませんでしたか?」
「そうそう、いつも一人なのに、珍しく連れがいてね。そこの坊やと同じような金髪の子が一緒だったよ。」
鋼のが大きく息を呑む。
これで目的地も二人が一緒にいることもわかった。
「いろいろありがとうございます。」
「いえいえ、お役に立てたなら何よりだよ。ナギに会うなら車は明日使う予定はないから急がないでいいって伝えてもらえるかい。」
「はい。」
にっこり笑ってお礼を言うと、女将さんは満足げにこちらも笑ってドアを閉めた。

「・・・よく、あんな次から次へと嘘が出るよな。」
「失敬だな、嘘など一つも言っていないだろう。ま、本当のことも言っていないが。おかげで二人の居場所も、一緒にいることもわかったじゃないか。」
「「・・・・・・・・」」
鋼のとリンの呆れている視線は無視する。
「中尉、車の用意を。」
「はっ」
――― 夜空は瞬く星がだんだん少なくなっていく。
もうすぐ夜明けだというこのとき、最悪のタイミングで追跡が始まった。



――――――
作品名:One Year Later 2 作家名:海人