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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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美女とランチタイムとクロス・ザ・スティックス




翔太郎と真倉は捜査を続けていた。
刃野の写真の場所は言うに及ばず、知り合いの情報屋、この手の事件に詳しい女子高生など、心当たりの場所は大体あたった。
しかし、その成果は思っていたよりも良いものではなかった。
人が消える。
人間の行方が不明になる。
この話自体は、聞き込みをした人間の大体は知っていた。
『○○さん家の息子さんが忽然と姿を消した』、『××会社の課長が家にある日突然帰って来なくなった』など。
誰かが消えた、ということはみんな分かっている。
しかしどうして消えたのか、という理由は分からない。
単なる家出? 悪質な自作自演? 怨恨や金目当ての誘拐?
翔太郎と真倉は多くの人間に聞き込みをしたが、いなくなった人間の共通点というものは一切みえてこなかった。
それは別行動を取っている亜希子も同じで、
『どうなってんのよこの事件!? 私聞いてないっ!』
と、電話越しで若干パニックを起こしていたほどだ。
完全誘拐犯、サイレント・キーパー。
依然としてその犯人像は正体不明(アンノウン)だった。

「まだだっ!!」

しかし、この街の探偵代表(自称)、左翔太郎はまだ諦めていなかった。
「こんな不自然な誘拐事件がこんなにたくさん一気に起こるわけがねーんだ! きっと、何かあるはずなんだ!」
「探偵のいうとおりだ! まだ諦めるわけにはいかない!」
真倉もそれに賛同する。
「よし、もう一回現場を洗い直してみよう。きっと何か手がかりがあるはずだ」
「おうよ!」
翔太郎と真倉はイチから捜査をやり直すために歩き出す。

「あ、いたいた。探偵さん、刑事さん!」

それを呼び止める女性の声が聞こえた。
柏木だった。
「あー! 柏木さっはーん!」
さっきのシリアスな表情をだらしなく崩す真倉。
その変わり身の早さにコケそうになる翔太郎。
「お疲れ様です、皆さん。捜査のほうは順調ですか?」
「今はまだ。しかしご安心ください。この真倉が必ずやお友達を見つけますので!」
真倉は柏木の前で気取った調子で胸を張る。
「うふふ。ありがとうございます」
それを柏木は柔らかい微笑みで返し、真倉より顔をだらける。
「それで、どうしたんだい、柏木さん。なんか俺達を探していたみたいだが?」
その真倉をかき分け、翔太郎は柏木に問いかける。
かき分けられた真倉は、おべろ、と奇妙な声を上げて翔太郎に押し下げられる。
「あ、そうでした。・・・・・・あの、皆さん、お昼ご飯はもうお済ですか?」
「? いや、今日はずっと駆けまわっていたからまだだけど?」
「そ、そうですか! ああ、よかったぁ」
柏木の顔がぱぁぁ、と明るくなる。
「じ、実はですね、私、皆さんのために、その、お弁当をつくってきまして・・・・・・」
そう言うと柏木はモジモジしながら持っていたバッグのなかから立派な重箱を取り出した。
「うお、すげー!」
翔太郎は感嘆の声を上げる。
「え、マジっすか!? これ、柏木さんが手作り? マジっすか!?」
真倉のテンションはかなりのレベルまで上がっていた。
「は、はいっ。あの、もしご迷惑でなかったらどうぞっ」
柏木はおずおずしながらお弁当を勧める。
「迷惑なもんか。なぁマッキー」
「もちろんです! おいしく頂かせてもらいます!」
「え、えへへ」
ふにゃっと嬉しそうに笑う柏木。
二人もその花のような笑顔をみてどこか気持ちがほっこりする。
「よし、んじゃマッキー、そこの公園のベンチにでも座って頂こうぜ!」
翔太郎は近くの公園のなかにある手ごろなベンチとテーブルのある休憩所を指差した。
「ふむ、そうしよう!」
もちろん真倉にそれを断る理由はない。
三人はその休憩所へ行き弁当を広げる。
「今日は天気もいいし、事件のことがなけりゃ絶好のピクニック日和だな」
今まで捜査のことで頭がいっぱいだった翔太郎。
一息ついたところでようやく今日の空の青さに気づく。
「その上、綺麗なお姉さんの弁当なんて夢にも思っていなかったからな。へへ、なんか今日は得した気分だぜ」
翔太郎がそういうと、柏木はテレたように顔を赤くする。
「あの、でも、あまり自信がないっていうか、急いでいたのでちゃんと味見せずにもってきちゃったんですけど・・・・・・」
そう言ってどこか心配そうに柏木は重箱のフタを開ける。
パコ。
「「お、おお〜!」」
翔太郎と真倉から驚嘆の声がもれた。
その弁当の中身はハンバーグやタコさんウィンナー、玉子焼きにおにぎりなどなど、およそ弁当の定番と言えばコレ!といった内容のラインナップだった。
「す、すげー、こいつは力入っているな!」
「あ、ああ、これは本当に美味しそうだ!」
そして一品一品が可愛らしく盛り付けられており、まるで食材が神々しく輝いているようにみえた。
「自信がないなんて嘘だろ、柏木さん。とっても美味しそうじゃないか!」
翔太郎がいたづらっぽくいうと、図星だったのか柏木は頬を赤く染める。
「そ、そうですか? うふふ、嬉しいなぁ」
そしてにっこり微笑んでみせた。
「探偵、早く食べよう! 食べてみたい!」
真倉は目を輝かせて翔太郎を催促する。
「おいおい、ガキみたいにがっつくなよ、マッキー」
そう言っている翔太郎も弁当から目が離せないでいる。
「よーし、それじゃあ食うか!」
翔太郎と真倉はベンチに座り食事の準備をする。
「「いただきまーす!」」
二人は手を合わせてから箸で料理を取り、ほぼ同時に口へと運ぶ。
ぱくり。
翔太郎は玉子焼きを。
ぱくり。
真倉はハンバーグを、それぞれ口に入れた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「うふふ、お味はどうですか、みなさん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「? どうしたんですか、みなさん?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
バタッ! ブルブルブルブルブルブル。
ゴトッ! ビクンビクンビクン。
そして二人はテーブルに突っ伏す形で倒れた。
「あ、あれ!? 本当にどうしちゃったんですか!? みなさん! みなさん!?」
心配そうにおろおろする柏木。
むくり。
すると、翔太郎が起き上がった。
「た、探偵さん? 一体何が?」
「・・・・・・(グッ)!」
翔太郎は笑顔で親指を立ててサムズアップをする。
しかしその笑顔は有り得ないくらい血の気が引いており、何故か膝が貧乏ゆすりをしているみたいにブルブル震えていた。
「えっと、その、美味しかった、ということですか?」
「・・・・・・(コクリ)」
「ああ、そうですか! 良かったぁ。もしかして有り得ないほど不味くて言葉も発せられないくらい危険な状態なのかなと思っちゃいました」
「・・・・・・(ぶ、ぶんぶん)」
「でも、どうしてしゃべらないんですか?」
「・・・・・・・・・・・・あ゛ー、柏゛木゛ざん゛?」
そう言葉を発した翔太郎の声はガラガラにしゃがれていた。
「探偵さん!? どうしてそんなに声がガラガラなんですか!??」
「ばっばっば。 何゛言゛っでい゛る゛ん゛だ、柏゛木゛ざん゛。 俺゛ば前゛がら゛ごん゛な゛声゛だっだじゃな゛い゛が」
明らかに扁桃腺がやられているダミ声で翔太郎は可能な限り気さくに笑う。
「え、あれ? ・・・・・・そう、でしたっけ・・・・・・?」