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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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捜査の収穫




「"柏木多香子の料理には気をつけろ"。君と昨日話した時点でそれだけでも伝えておくべきだったね」
まだ血色の悪い顔色のまま、フィリップはそう告げた。
「・・・・・」
告げられたほうの相手、左翔太郎は半ば放心状態で事務所の椅子に腰掛けている。
目の焦点は合っておらず、彼の周りの景色だけがモノクロになっているような雰囲気。
その姿は往年のボクシング漫画の主人公のように真っ白に燃え尽きていた。
「僕も昨日、君たちと別れたあとに彼女にお弁当を勧められたんだ」
『あ、あの、もしご迷惑でなければ、お弁当をどうぞっ!』
みんなが捜査に出かけたあと、ひとり事務所に残ったフィリップに柏木は恥ずかしそうにしながら自分の手料理を勧めた。
「ひと口食べて理解できたよ。『この料理は本物だ』ってね」
そう語っているフィリップの額には脂汗が滲んでいた。
「僕の体調不良になったのも、言わずもがな彼女の差し入れ弁当のせい。―――いわゆる食あたりだったのさ」
「お前、よく彼女に本当のことを言わなかったな・・・・・・」
「あんな必死そうな顔をみせられたら断りようがないだろう。・・・・・・しかし重箱を半分くらいまで食べたときにはさすがに人生を諦めそうになったよ」
「ちょっと待て! まさか、お前、あの重箱の中身を、たった一人で・・・・・・?」
「ハンバーグを食べる度に、河の向こうで姉さんたちが手を振っているんだ。『来人、全て諦めてこっちへいらっしゃい』って。・・・・・あの恐怖は体験したものしか理解出来ないだろうね・・・・・・」
フィリップにしては珍しく凹んでいる。
「・・・・・・フィリップ。お前、男だわ」
そんないろいろ戦った後のフィリップに翔太郎は素直な賞賛をおくる。
「それよりも捜査の収穫はあったかい、翔太郎? このとおり僕の回復にはもう少しかかる。『検索』はまだ使えない」
「まぁ、それなりに、な」
翔太郎はメモを開いて答える。
「あのあと、もう少しだけ捜査を続けてみたんだが、どうやら数日前に飲み屋で『自分がサイレント・キーパーだ』とか叫んで店から追い出された男がいたらしい」
「・・・・・・ほう、それは興味深いね」
「男の名は、永田省吾、27歳。この街の土木関係の作業員だ」