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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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Don't ask me why!




「・・・・・・」
所々傷だらけの赤い革ジャンの男。
「・・・・・・」
絶えず全身から発光し続ける光の怪人。
刑事・照井竜と検体番号68番は、無言でお互いに睨み合っていた。
その異様な緊迫感に一瞬のまれそうになったダブルだったが、照井竜が闘える状態ではないほどの重傷を負っていることを思い出すと、はっと我に返る。
「おい、照井。お前、まだその怪我じゃ無理だ。お前はここから避難するんだ」
「ここは僕たちがあのドーパントを引き付ける。君は早くこの場から立ち去りたまえ」
照井の体の状態を考えてのダブルの言葉。
「・・・・・・こいつは、俺がやる」
しかし、照井はダブルの言葉を無視し自分の要求を端的に突きつける。
そう言った照井の歩みはまだ先の闘いの負傷せいかぎこちないものだった。
明らかに体に重いダメージをかかえている。
頑なともとれるその照井の態度に、ダブルは驚愕と動揺を隠せない。自然と声が大きくなる。
「いや、つか、お前、そんな傷だらけで大丈夫なわけねーだろっ!!」
「そのとおりだ! 今の君は明らかにダメージから回復していない。それとも何か勝算があるのかね!?」

「俺に質問をするなっ!!」

ダブルの動揺からくるセリフを照井の怒号が吹き飛ばす。
クールな彼の印象には似つかわしくない、熱い叫び。
「・・・・・・照井」
「・・・・・・照井竜」
照井の叫びに動揺で熱くなりかけていたダブルの頭が冷める。
「・・・・・・刃野刑事が捕まえてきた永田たちの話では、サイレント・キーパーのボスは他にいる」
ここに来る途中で刃野たちから情報を得たのか、照井はそんなことを話し出す。
「・・・・・・連中の話では、『計画』はすでに最終段階まで進んでいる。実行に移すのは今日中にでも可能だそうだ。・・・・・・まぁ、永田と柏木は下っ端だったから『計画』の中身までは知らされてなかったらしいがな」
照井は目の前の敵、―――光の怪人を油断なく睨みつけながら話を続ける。
「・・・・・・もはや一刻の猶予もない。『計画』とやらがどんなものかは知らないが、罪のない人間を何十人も連れ去って行う研究などろくなものではないはずだ! お前達は一秒でも早くサイレント・キーパーのところへ行きそれを阻止するんだ! だから、」
ザシュ!!
彼は愛剣・エンジンブレードを地面に突き刺し、

「ここは、俺にまかせろ!!」

ダブルを守るように一歩前へと踏み出した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
それを黙って聞いていたダブル。しかしやがて、
「・・・・・・やれやれ。一回熱くなるとどこまでも突き進んじまうヤツだよな、お前はよ」
「・・・・・確かに。普段はゾッとするほどクールなくせに、ね」
ダブルは呆れた調子で肩をすくめると、照井に背中を向ける。
そして真剣な声色で、
「照井・・・・・・死ぬなよ?」
「・・・・・・約束したまえ、必ず生きて帰る、と」
そのセリフに照井竜は一瞬きょとんとする。
「・・・・・・全く、鳴海探偵事務所というのは、そろいも揃って・・・・・・」
それからわずかに頬を緩めた。
「あん?」
「うん?」
照井の奇妙なリアクションにダブルは怪訝な顔をする。
「いいから行け、左、フィリップ! 本当に倒すべき敵はこの奥、第三工場だ!!」
照井はダブルを押し出すような勢いで叫ぶ。
「お、おうっ!」
「了解した」
それにダブルは戸惑いながらもその場を照井に譲り奥へと走っていく。
「・・・・・・っ!」
今までダブルたちのやり取りを静観していた検体番号68番だったが、ダブルが走り去るのに反応しあとを追おうとする。

(Accel!!!)

しかしその追跡は、次の瞬間に停められた。
「・・・・・・っ!!」
真っ赤なガイアメモリ。
中央にはアルファベットの"A"の文字が入った、燃えるような真紅のメモリ。
「どこへ行く?」
それが発した電子音と使い手の低い声が、68番の歩みを止めさせる。
「・・・・・・先ほどの傷の借り、返させてもらうぞ」
「・・・・・・」
彼の腰にはバイクのスロットルのような形のベルト。

「さぁ、―――振り切るぜ!!」

アクセルドライバー。彼の持つアクセルメモリの力を最大限に引き出すベルト型のコントロールユニット。
「変、」
それを身に付けた照井の眼は、
「―――身っ!!!」
彼の普段のクールさから程遠いものになっていた。
(Accel!!!)
ガチャ。
照井その上部のスロットにメモリを装填する。
ブォン! ブォン!! ブォォォンッッ!!!
台風のような轟音をあげて唸るパワースロットル。その轟音とともに生じた赤い熱風が照井を包む。
そして、彼の前に現れた巨大なタコメーターが限界の数値を振り切るとき―――、
パシュゥゥ。
そこには炎のように赤い、仮面の怪人の姿があった。
「・・・・・・」
一連の照井の変貌を、検体番号68番は沈黙してみていた。
「・・・・・・永田たちから聴き出した情報では、貴様のそのライトニングメモリは、"T"の名が冠せられる音速移動能力をもつガイアメモリの雛型、なのだそうだな?」
「・・・・・・」
照井の問いに沈黙する68番。照井はそれを肯定と受け取る。
「・・・・・・ふ。それは奇遇だな、―――ちょうど俺の持っているメモリと全く同じ能力だ」
そう言って取り出したのは信号機の装飾がほどこされたストップウォッチのようなガイアメモリ。
「・・・・・・『挑戦の記憶』を宿したメモリ、『トライアル』。・・・・・・俺はこのメモリをミュージアムではなくとある女性からもらったのだが、・・・・・・あの女がミュージアムから研究素体の一部を持ち出したとしても不思議はないか」
アクセルは話しながらメモリをぐっと握る。
「・・・・・・貴様は、―――このメモリのプロトタイプなのだろう?」
アクセルは68番をみる。明らかな敵意をこめて。
「・・・・・・」
その敵意に気づいているのかいないのか、68番はただ沈黙を守る。
赤い、無機質な複眼を光らせながら。
「・・・・・・その姿形から左たちはライトニングメモリをダブルの試作メモリだと勘違いしたかもしれないが実はそうじゃない。貴様はこのトライアルの試作だったんだ。・・・・・・考えてみれhば、このアクセルもダブルも同じ純正型のドライバーを使用して変身する怪人、要は同じタイプのメモリだったということだ。・・・・・・試作の過程で姿形が似通ってくることもあるだろう」
ヒュン、フッ。
突然目の前の68番が消える。
「甘い!」
ガンッ!!
アクセルは何もない虚空で剣を一薙ぎ。丁度そこに現れた68番に剣がヒットした。
「・・・・・・っ!? っ!??」
68番は何が起こったのか理解できなかった。超スピードで動いている自分の動きを捉え、あまつさえ一撃を入れた。そんなことは今までに一度もなかったことだ。
何故?
「・・・・・・浅はかだな」
アクセルは68番の心を見透かしたように言う。
「・・・・・・貴様の戦法はその圧倒的なスピードに頼んだ闘い方だ。相手の虚を突いたり伏線を張るような攻撃は一切ない。・・・・・・突進からの電撃、至極読みやすい攻撃だ」
「・・・・・・っ!!」