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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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Aという名の大きな舟




『A』。
宮部総一の持つメモリの前面のアルファベットはそのように読めた。
(Ark!!!)
「・・・・・・このメモリ、『アーク』の発動によって、この世の全生物は次の過程へと進化する!!」
それだけ言うと宮部は迷うことなく祭司服の袖をまくる。そこにはガイアメモリの生体コネクタがあり―――、
(Ark!!!)
やはり躊躇うことなく、宮部はそこにメモリを押し付けた。
ブワッ。
途端に宮部の周りを銀色の煙が覆う。
「ぐ、うう、うおおおおおおお!!」
パシュゥゥ。
そしてほどなくして宮部は宮部ではなくなり、一体の怪人としてここに顕現する。
アークの超人形態後の姿は長身痩躯で肌が陶磁器のように硬く滑らかで白い怪人だった。
体は単に痩せているのではなく軽量級のプロボクサーのように無駄なく引き締まっている。白い布が右肩を露出するようにして体に巻きつけられており、その姿だけならば神代を生きた聖人を連想させた。
しかし。
実際に彼と対峙したものは、きっと彼のことを聖人などとは呼ばず化け物だと恐れ慄くであろう。体の至るところにある車の丸いエアコンダクトのような突起があり、そこから銀色の煙を発生させている。それらの特徴が彼がすでに"人の外側"であるということを雄弁に物語っていた。
「・・・・・・旧約聖書で箱舟に乗れたのは聖人ノアとその家族、あとは彼が取った番の獣だけだったが、」
宮部は静かに語る。
「私は違う!」
厳粛かつ強固なその決意を声色に乗せて。
「正しき者も、邪な者も、全き者も、欠き者も、清も濁も何もかも、全て等しくこの進化という名の箱舟に乗せる!」
ボバッ!!
宮部の体中にある突起から漂っていた銀色の煙が勢いよく噴出す。
「そして、」
そして、宮部は目の前の敵、―――この街の守護者の仮面の怪人を睨みつける。
「何人たりとも、この私の邪魔はさせない!!」
明確な殺意とともに。