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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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風都最高峰の格闘戦




街の守護者・仮面ライダーダブルと連続誘拐犯の首領・宮部総一との闘いは唐突に始められた。
「はぁ!」
宮部はダブルに向かって突進する。
「来たよ、翔太郎!」
「分かってるっつーの!」
ダブルは未だ相手の能力が掴めていない。どんな能力を持ってどんな闘い方をするのか、あの体中のダクトから放出されている銀の煙はなんなのか。
その能力は今も分からないままダブルは宮部と対峙しなければならない。
「たしかに、分からないことだらけではあるがよー」
しかし、翔太郎は手には新たなメモリが握られている。
「『こっちに向かって突進してくる』ってことは、―――攻撃の射程は短いってことだよなぁ!!」
(Cyclone!!!)
(Trigger!!!)
ダブルの左側、ボディサイドのメモリがジョーカーからトリガーにメモリチェンジされる。
その結果現れたのは青と緑の銃撃手、ダブルの亜種形態・サイクロントリガーだった。
「疾風の速射弾だ、くらえ!」
パパパパパン!!
サイクロンメモリの素早さを加えたダブルのトリガーマグナム。
先ほどのライトニングドーパントとは違い、このアークドーパントには高速移動の能力はないように見受けられた。
戦闘の経験や武道の心得がない宮部のような研究者がメモリの力だけで避けられるような弾丸では―――、
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ。
避けきれないよう広範囲で放たれたダブルのエネルギー弾を、無駄のない軽い身のこなしで避ける宮部。、あっという間にダブルの懐へと潜り込む。
「なっ!?」
「ぬん!!」
シュ、ドン、ガン!!
ダブルが驚愕している間にパンチと蹴りの三連撃。
「ぐあああ!!」
防御が間に合わなかったダブルは攻撃をモロに喰らってしまう。
ドサリ、と派手な音を立てて吹っ飛ぶダブル。
「はぁ!!」
それに宮部は間髪いれず、倒れているダブル向かって跳躍。ダブルの頭を踏み抜かんと着地する。
「うおっ!!」
ドガンッ!!
それを間一髪、首を捻ることで避けるダブル。すぐ横にはコンクリートの床が足型に抉られていた。
「ぬん!!」
しかし宮部は攻撃の手、―――否、足を休めることなく、今度は着地したほうとは逆の足でダブルの頭をサッカーボールを蹴る要領で蹴り飛ばす。
ドゴーン!!
「ぐあああ!!」
再び吹っ飛ばされるダブル。今度は壁に激突する。さらわれた人たちが眠っている寝台側ではなく祭壇側の壁まで吹っ飛ばされたので、設置していた台座が派手にくだける。
「これは、素人の動きじゃない・・・・・・っ!?」
一連の猛攻を喰らったフィリップは宮部の動きをそう結論づける。
「ああ、かなり闘い慣れしているって感じだぜ!」
その意見に同意する翔太郎。
「・・・・・・どうした? 白兵戦に長けていることが君たちだけの専売特許だとでも思ったかね?」
倒れているダブルを見下す形で宮部は話す。
「・・・・・・ダブルのボディサイド、左翔太郎が格闘術に優れている事は、我々ミュージアムでも重々承知している」
宮部は、タン、と地面を蹴ってまたもダブルまで突進し始める。
「・・・・・・どの程度の理解かというと、」
そして、宮部は突進の勢いを殺さず空中へジャンプ。
「それは一部の研究部署では対仮面ライダー用の格闘術の訓練も行われているほどに、なぁっ!」
そのままスケートのアクセルジャンプのように回転し遠心力に任せて回し蹴りを放つ。
ローリングソバット。
強烈な後ろ回し蹴りが、ダブルのわき腹をとらえる。
ドゴン!
「ぐはぁ!」
鈍い音とともにダブルの苦悶の声が聞こえた。
ダブルは腹部の痛みで体がくの字に曲がる。
「・・・・・・ここは神聖な礼拝堂だ。野蛮な闘いをする場ではない。―――ステージを変えよう」
宮部は拳を握ると体全体の筋力を生かしてダブルの顎を跳ね上げる。
「ぬん!!!」
バキィ!!!
強烈なアッパーカット。下から上へ突き上げられる強烈な衝撃にダブルの体は宙に浮く。
「がほぉ!!」
否。浮かぶなどと生易しいものではなくダブルの体はそのまま垂直に吹っ飛び―――、
ドガーン!!!
工場の天井を突き抜けた。
そしてなおも空中へ投げ出されるダブル。
「く、くそ・・・・・・っ! ダブルを天井まで吹っ飛ばすなんて、あ、あの煙人間、なんつー馬鹿力だ!? 神父にそんな力必要ないだろ!!」
宙に舞いながら、それでもまだなんとか悪態をつく元気を残していた翔太郎。
「翔太郎、メモリチェンジだ! トリガーメモリではヤツのパワーとスピードに対応できない!」
トリガーメモリはあくまでダブルに射撃能力を付与させるガイアメモリ。接近しての格闘戦には不向きなメモリだった。加えてサイクロンメモリとの相性があまり良くなく、サイクロンの持ち味である素早い動きも出来なくなってしまっている。
「ここは、サイクロンジョーカーに戻って格闘術で応戦する!」
今の宮部の猛攻で半端な射撃攻撃ではさっきの身のこなしとスピードで見切られてしまうと考えたフィリップは、同じくらいの機動力と格闘センスを持つサイクロンジョーカーで闘うことを翔太郎に提案した。
「おうよ、了解だぜ!」
(Joker!!!)
異論のない翔太郎は空中で素早くトリガーメモリをジョーカーメモリに挿し換える。
(Cyclone!!!)
(Joker!!!)
そして工場の屋根に着地する頃にはダブルの基本形態、サイクロンジョーカーへと戻っていた。
「・・・・・・ふん。またサイクロンジョーカーへと戻ったか」
ダブルが開けた屋根の穴から宮部も追って来た。
「・・・・・・また元の形態へ逆戻りする。・・・・・・勝負を諦めたかな、街の守護者よ!!」
「ほざけ、こっから本番だぜ!!」
月光が照らす工場の屋根の上。二人の怪人は互いに向かって走り出す。
「うおら!」
「ぬん!」
空を衝く拳。風を切る蹴り。二人の怪人は凄まじい格闘戦を始めた。
「はぁ!!」
「おりゃ!!」
その攻防は、目で捉えるのが困難なほど疾く、割ってはいることを許さぬほど剛く、息を飲んでしまうほど美しかった。
まるで、舞を踊るかのように華があり、しかしそれでいて相手を確実に倒すような無駄のない動き。
バチーンッ!!
「ぐおお!?」
「ぬうう!?」
闘いの中で互いが互いの攻撃を避けきることが出来ず、双方は屋根の両端まで吹っ飛ばされる。
「くっ! これがアークメモリの力か。厄介だな」
翔太郎は思わず呻く。何の術や能力を用いず、純粋な格闘戦でここまでダブルと互角にやり合えた相手はなかなかお目にかかれなかった。
「確かに。どうやら相手はかなりの力の持ち主のようだ」
フィリップもそのことを認める。
「しかし翔太郎、何かおかしいとは思わないかい?」
戦闘の真っ只中、フィリップは疑問を口にする。
「あぁ? 何がだよ?」
「見たところ、アークメモリは使用者の総合的な身体能力を向上させるメモリ、つまりは翔太郎。君のジョーカーメモリと同じタイプのメモリのようだが」
「はぁ!」
ゴッ!と地面を蹴り話している最中のダブルに向かって再度突進してくる宮部。
その手にはいつの間にか長い円筒形の棒、人間が原初の時代から使用してきた最も基本的な武器の一つ。
棍棒が握られていた。
「げぇ、今度は棒を持っていやがる!?」