二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

INDEX|77ページ/98ページ|

次のページ前のページ
 

9.95秒の思考時間




「お、おおおおああああああ!!!」
声帯が切れそうなほどの高い叫び声。
その声とともに一直線に走っているのは、光の怪人・ライトニングドーパント。
本体の名を、検体番号68番。
「あ、ああああああああああ!!!」
それに真っ向から吠え立ち向かうのは、青き音速の騎士・仮面ライダーアクセルトライアル。
本体の名を、照井竜。
「「あああああああああ!!!!」」
二人は叫ぶ。そこに己の全存在をかけるために。
絶対に、目の前の敵を倒すために。
(Accel!!!)
アクセルトライアルはアクセルメモリを取り出す。
一度、68番に完膚なきまで負けた、遅いメモリ。
(Accel!!!)
アクセルドライバーからトライアルメモリは外され、アクセルメモリが装填される。
そして現れたのは、赤き騎士。
体中を重い装甲で覆いかぶされた、光の怪人からみれば、鈍重の怪人。
「・・・・・・っ!?」
何故彼が今さら一度敗北しているアクセルフォームになったのかはよく分からない。
「・・・・・・」
しかし、何故これから死力を尽くして闘おうという人間が、

からん。

武器である剣を捨てるのか?
「・・・・・・っ!? ・・・・・・・っ!」
アクセルは構えの姿勢を取る。しかしそれは攻撃の構えではなく、急所をがっちりガードした防御の構え。
「・・・・・・」
68番には、アクセルのとった一連の行動の意味が分からない。
「・・・・・・」
しかし、彼の取った行動は、
「・・・・・・」
この戦闘に全てをかけている68番を、
「・・・・・・っ!!!」
完全に怒らせた。
ドドドドドドドドドッ!!
高圧電流混じりの猛ラッシュ。
「ぐ、ぐうう・・・・・・!」
音速の世界で動けていたアクセルトライアルのときとは違い、相手の攻撃は全く目に見えない。否、目に写りもしない。
ドドドドドドドドドッ!!
急所がガードしているが急所以外のところに虻や蜂にでも刺されたような鋭い痛みが走る。
「う、うう・・・・・・」
堪らず膝をつくアクセル。
ドドドドドドドドドッ!!
ドドドドドドドドドッ!!
ドドドドドドドドドッ!!
それでも68番の猛攻は終わらない。むしろ勢いが増す一方だった。
その動きはすでに目で追えるものではなく、アクセルの身体に殴打の打撲痕が凄い勢いでつけられていく。
「く、おおお・・・・・・!」
そこまで喰らってもアクセルは68番とは闘わず、ただその猛攻に耐える。
最後に立ち膝状態も苦しくなったのか、体を折り、ダンゴのように丸くなる。
「・・・・・・」
ブゥン。
68番は、虚空から光の棒をつくり出す。
ヒュン、バコベキガコンドカドカドゴーン!!!
それを丸まっているアクセルの背中に向かって容赦なく振り下ろす。電流の棒によるメッタ打ち。
「ぐああああ!!」
堪らず叫ぶアクセル。それでもまだ、トライアルに変身しようとはしない。
ただ耐える。
「・・・・・・っ!!!」
バギギィィ・・・・・・、
68番は自分の右足にありったけの電流を込めて
ドッゴーーーーン!!!
蹲っているアクセルの顔を大きく蹴り上げた。
「ぐああああ!!」
アクセルの体が大きく仰け反り、ひっくり返される。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・・・・」
返されたアクセルの呼吸は明らかに不安定だった。彼の体は連続で喰らった電流攻撃により既にボロボロだった。
「・・・・・・」
68番はトドメを刺すために、光の棒を振り上げ、
ビュン。
真っ直ぐに、アクセルに向かって振り下ろす。
そして振り下ろされた光の棒は、
パシュウゥゥ。
と、音を立てアクセルに一撃を食らわす前に再び虚空へと霧散した。
「???」
突然の不可解な現象に68番の頭には大量のクエスチョンマークが発生する。
バチ!
そして疑問が解消されないうちに、
バチ!
「?」
ピカッ! バリバリバリバリィィーーーーッ!!
68案の体中から青白い電流がスパークした。
「?! ギ、ギギ、ギィヤアアアアアアアアアアアアアアア!??」
先ほどと同様、苦しみ出す68番。
「ガアアアアアアアア!!!」
メモリの強制射出までには至らなかったが、明らかにさっきと同じ現象だった。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・・・・」
その様子をアクセルは荒く息をつきながらも冷静に観察する。
「・・・・・・よう、やく、こちらの、狙い通りの、展開に、なったか・・・・・・」
おぼつかない足取りで、咽ながらもアクセルはゆっくりと立ち上がる。
「・・・・・・っ? ・・・・・・っ!? ・・・・・・っ!??」
未だ疑問と苦痛のなかにいる68番は、アクセルのそのセリフにもまともに反応することが出来なかった。
「・・・・・・貴様・・・・・・いや、君の能力はその圧倒的過ぎる出力であるがゆえに、そのメモリを長い時間の使うことは難しい」
アクセルは静かに語る。
「・・・・・・まして使用している人間はまだ成人になっていない子供。・・・・・・仮にそのメモリの過剰適合者だったとしても使用時の高い負荷に体が耐えられるわけがない」
「・・・・・・っ? ・・・・・・っ?? ・・・・・・っ???」
体中から青白い火花を散らしている68番は苦しそうに頭を抑えておぼつかない足取りで辺りをうろうろする。
その姿に心を痛めながらもアクセルは説明を続ける。
「・・・・・・さっきと今の放電現象がそのいい証拠だ。君の体がライトニングメモリの強烈な力を抑え込むことが出来ずにその力がオーバーフローしたのだ」
ライトニングメモリ。
光速に近い速度の移動を可能にし、加えて電気を自在に操作するだけでなく成形までしてしまうガイアメモリ。
まさに無敵の能力。使いようによってはダブルとアクセル二人がかりでも太刀打ちできないかもしれない。
「・・・・・・実際、不意打ちとはいえ、二人がかりで負けたしな。・・・・・・だから俺は君のその能力を目の当たりにして一つの疑問が浮かんだ。それは『何故、俺たちはあのとき裏路地で始末されなかったのか』? ・・・・・・おそらく君が情け心をかけたとかそういう話じゃない。洗脳された今の君にそれは持ち合わせているはずのない感情だからな」
つまり、とアクセルは言葉を切り、
「実はオーバーフローを起こしていたのだ、あの裏路地でも、ね。だから俺たちにトドメを刺す前に君はあの裏路地から去った」
自分の推理を口にするアクセル。
「・・・・・・っ? ・・・・・・っ!? ・・・・・・っ!??」
68番は相変わらずの倒錯状態。苦しみ方すらインプットされているのではないかと思うほど機械的に同じ行動を繰り返す。
「・・・・・・」
高い能力を発動し続ければ、その使い手の人間にも高い負荷がかかる。
至極当然の理屈だった。
ライトニングメモリはそれが極端なガイアメモリだっただけのこと。
これは同じスピードタイプで且つ負荷の大きいトライアルメモリを持つアクセルだからこそ気がつけた推測。故にアクセルトライアルはその変身を解除し少しでも防御力の高いアクセルへと戻り、68番の猛攻にひたすら耐える。
デタラメに攻撃させて、68番にもう一度能力のオーバーフローを起こさせるため。
「・・・・・・高速移動タイプのメモリの危険さは俺にもよく分かる」