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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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これは誰の断頭台ですか?




「お、おおおおおおォォォォォォォォオオオアアアアアアアアア!!!!!!」
いつの間にか、宮部総一は絶叫していた。
喉が引き裂かれんばかりに叫び、宮部はダブルに突進していく。
「があああああああ!!」
肉食の獣を連想させるような、およそ人間らしくない叫び声。
「・・・・・・っ!? くっ!」
あまりの迫力に一瞬怯むダブルだったが、すぐに正気を取り戻し、すぐさまトリガーマグナムで攻撃をする。
ドン! ドン! ドン! ドン! ドン!
再び、変幻自在のエネルギー弾が宮部を襲う。
ドドドドドーーーンッッ!!!
全弾命中。というよりか、宮部は弾を避けることをしなかった。
半狂乱に叫び、弾が来てもおかまいなし、バカみたいにただ真っ直ぐダブルへと突っ込んできたのだ。
結果、宮部は発射されたエネルギー弾をモロに喰らってしまうかたちとなった。
当然それは、アークドーパントの装甲では吸収しきれないダメージ。
宮部は沈黙する。
・・・・・・沈黙する、はず、だった。
「な、」
「に?」
ダブルは驚愕する。
「・・・・・・」
そこには、アークドーパントによく似た、しかし別の怪人が立っていたからだ。
そこにいたのは、長身痩躯の人型。
しかし、その表面はさきほどのような白いものではなく鍛えられた鋼のように黒光りしていた。手足のリーチも明らかにさっきより長くなっており全体的に大きく見える。
「がぁ!!」
怪人は唸るように咆哮すると、驚異的なスピードであっという間にダブルのフトコロへと入り殴り飛ばす。
「ぐあああ!!」
ダブルはその凄まじいパワーでふっ飛ぶ。
ドガガガガッ!!
そのまま地面を抉るように大きく弾かれ倒れる。
「・・・・・・がはぁ。・・・・・・く、くそ、一体どういうこった!? あ、あの怪人は何なんだっ!?」
翔太郎は突然の新たな怪人の出現に、動揺と混乱を隠さずわめく。
「スピードは、さっきの68番ほどじゃねーが、それでも一瞬で距離を詰められるなんてシャレになってねぇ! 力だって一撃でダブルを吹っ飛ばすとか尋常じゃねーぞ、くそ! つか、宮部は!? アークドーパントはどこに行ったんだよ!?」
今の手合わせだけで相手の戦力が分かってしまった翔太郎は、それだけに混乱の渦から抜け出せず、誰に言うでもなく戦闘の評価と疑問を叫んだ。
「あれは、・・・・・・おそらくアークドーパントだ」
その疑問に、少し正気を取り戻した相棒は答える。
「な!? あ、あれがアークだって!?」
フィリップの回答にオウムがえしなセリフを言う翔太郎。
フィリップは、ああ、と頷く。
「信じられないことだが、宮部はアークメモリの能力で自分自身を進化させたんだ」
そして、さらに驚愕の事実をつげた。
「自分自身を・・・進化・・・だと?」
フィリップの説明についていけない翔太郎は、もはやオウムがえしすらままならない。
「アークメモリとは本来、生物の進化を促進させるメモリだ。宮部はその能力を応用し、自身の能力をより強力なものへと進化させた」
翔太郎に構わず、フィリップは自分の推論を口にした。
「そんなことが、できるのか・・・・・・?」
ようやく思考がまとまってきた翔太郎がその推論に対して疑問をなげる。
フィリップは、確証はない、と前置きをした上で、
「あくまで理屈の上ではの話だ。・・・・・・しかしそれはありえない。彼の使用しているガイアメモリはリジェクトメモリ。廃棄物一歩手前の非常に不安定なメモリなんだ。そんな欠陥のレッテルが貼られたメモリで能力の自立進化なんて無茶をすれば、肉体が進化する前に精神が壊れてしまう。・・・・・・ましてや、動くことなんてできるはずもない」
「でも実際に動いているじゃねーか!」
「おそらく彼は、アークメモリの過剰適合者なんだ。それもかなりの高率の・・・・・・いやしかし、・・・・・・仮にそうだとしても、それだけではやはり説明がつかない。・・・・・・もう一つ、何か決定的な条件が必要だ」
フィリップは思考を巡らせる。
「例えば・・・・・・そう、何か強い、ガイアメモリにまで影響を与えしまうような強力な意思があれば、」
「・・・・・・っ! おしゃべりは終わりだ。来るぞ!」
その思考は相棒の探偵の切迫した声で断ち切られる。
「・・・・・・っ!」
フィリップの視線の先。
そこには、アークドーパント、宮部総一がダブルに向かって歩き出していた。
「・・・・・・お前はこの街のヒーローなんだろぉ?」
体中を黒光りさせ銀の煙を吐く怪人。
怪人は静かに問う。
「・・・・・・この街の危機には必ず駆け付けて、平和を守り、弱き者を助け、悪しき者を蹴散らす、正真正銘、掛け値なし言い訳なしのスーパーヒーローなんだろぉ?」
その怪人は一歩、また一歩と、さらにダブルへと近づく。
まるで一歩進むごとに体のなかの憎悪を増幅するかのように、踏みしめながら歩く。
「・・・・・・・っ!!」
その異常な様子に、ダブルは何とも言えない危機感を感じて立ち上がろうとする。
「・・・・・・ぐっ!」
しかし、さっきふっ飛ばされたダメージでまだ立ちあがることができない。
「・・・・・・・だったら救ってやれよ」
そんなダブルに、怪人は構わず続ける。
「だったらあの子も救ってやれよっ! 私みてーなパチモンの偽善者じゃあなく、お前よーなホンモノのヒーローがよぉぉお!!」
怪人は炸裂したように疾走し、立ち上がろうとするダブルに鋭い前蹴りを喰らわせた。
「があっ!?」
ドガガガガッ!!
まるでダンプカーと正面衝突したような衝撃。ダブル再び地面を抉りながらふっ飛ぶ。
「が、はぁ・・・・・・っ!」
ダブルは立ち上がることができず悶絶する。
宮部はそんなダブルの前歩いていき、そして、
「なぜお前は、あのとき現れなかった?」
ドスっ!
「ぅぐぅっ!!」
仰向けで悶絶しているダブルを容赦なく踏む。
「なぜお前は、あの子どもを助けない?」
ドスっ!
踏む。
「うぐっ!!」
「なぜお前は、のうのうと生きていられる?」
ドスっ!
踏む。
「かはっ!!」
「なぜ」踏む。「なぜ」踏む。「なぜ」踏む。
「なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ」
「なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ」
「なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ」
踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏
踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏
踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏
踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏踏。
「答えろよォォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!」
「ぐああああああああああ!!」
ダブルは痛みに耐え切れず絶叫する。
理不尽な怒り。
宮部自身も己が矛盾していることは理解していた。
自分がしているのは筋違いの八つ当たりであると。
しかし、言わずにはいられなかった。考えずにはいられなかった。
理由は今、自分の目の前にいる者。
彼が。この仮面ライダーと呼ばれる者が、この街の正義の使者であり、人々の悲しい涙を止めてくれる存在だというのなら。
なぜ彼は自分たちの前に現れてくれなかったのか?
なぜあの親子の悲しみの涙を止めてくれなかったのか?