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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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KY刑事Mさん、屋上へ来る




「やめろー!」

とどめを刺そうとする宮部と絶体絶命のダブルの間に別の声が割って入る。
「き、貴様が今回の首謀者のドーパントだな!? このっ、車の排気ガスみたいなものをぷかぷか出しおってっ! けしからんヤツめっ!!」
その声は工場の屋根に上るための作業用の梯子近くから聞こえた。どうやら声の主は梯子を使って屋根まで上ってきたらしい。
「起きたら何故か探偵逃げてるし、屋根にどデカい穴が空いているから、もしやと思って上ってみたら・・・・・・さぁ、変身を解除しておとなしく縛につくんだ!」
よく見るとその声の主は腰が引け気味で少々不恰好ながらも拳銃の銃口をしっかり宮部に構えていた。
「くそ、なんか手は犬みたいに毛もくじゃらになるし、街中に排気ガスみたいなものが充満しているし、」
そこにいたのは風都署の超常犯罪捜査課の刑事。

「もう、一体何がなんだというんだ!?」

若干空気の読み切れていない第三の来訪者、真倉俊の姿だった。
「・・・・・・」
「と、とにかく! い、今すぐ変身を解除して両手を上げるんだ。今ならまだ、ゆ、許してやる。だ、だがもし抵抗するというのなら、う、うう撃つぞコノニャロー!」
異様な雰囲気のドーパントを前に、腰を引き気味でしゃべりもままならないが、それでも銃を構えて少しずつこちらににじりよってくる真倉。
みると、その手は獣のように変わっていた。
真倉もアークメモリの銀の煙の侵食を徐々に受けているようだった。
それでも、真倉は警察官として犯罪者に銃を構える。
「・・・・・・」
宮部は真倉を一瞥すると、それ以上は大した意識もすることなく再びダブルにとどめを刺そうとする。
「ちょ、無視すんなっ!」
バン! バン!!
チュイン! チュイン!!
思わず発砲する真倉。しかし弾はアークドーパントの装甲に弾かれる。
「げげっ!? うっそ!?」
倒せないのは何となく予想はついていたが、全く効かないのは想定外だった真倉。
あまりの無力さに逆に吃驚する。
「・・・・・・ふぅ」
宮部はうざったそうにため息をつくと未だへっぴり腰で銃を構えている真倉のほうに向き直る。そして、
びゅん!
超スピードで真倉の前まで駆けていき、とん、と真倉を軽く突き飛ばす。
「うぉう!?」
軽くと言っても、それはドーパントの攻撃。真倉は地面を擦りながらふっ飛ぶ。
「かは・・・・・・っ!」
「・・・・・・おとなしくしていろ。私は無意味な殺生は好まない。・・・・・・あと少しすれば君も完全無欠の体を手に入れられるだろうしな」
宮部は再びダブルのほうへと向き直りとどめを刺そうとする。
「か、完全無欠の、体、だとぉ・・・・・・?」
よろめきながらも立ち上がろうとする真倉。
「・・・・・・そうだ。完全無欠。誰も痛まず誰も傷つかない、みんなが悲しい涙を流さなくて済む、そんな素晴らしい体だ」
自分の研究成果が問われたのが嬉しかったのか、宮部は少しだけ誇らしげに胸を張る。
「・・・・・・君は今はまだ腕だけのようだが、いずれそれは全身に回る。そうなれば君もこの星を担う新人類の一人となる。・・・・・・そしてそれはとても光栄なことだ」
自分の成果を自慢するかのような、若干弾んだ声。
「・・・・・・君だって嬉しいだろう? 人類の進化はあと目と鼻の先だ」
そう語りながら、宮部総一は夢想した。
もうすぐ自分が随分前から思い描いていた、夢みた世界が実現する。
この世の全生物を次の過程へと進化させ、それらが明るい未来を拓いてくれる。
それは、なんて素敵な事だろう。
信じすぎて疑うことを忘れてしまった希望。
宮部がガイアメモリの研究に本気で携わろうと決心させた根本にある願い。
そのために己の半生をつぎ込んだ、代え難い神聖な目標。
そんな、どこまでも侵しがたく崇高で純粋な気持ちに―――、

「ふざけるな! こぉーんな化物の体のどこが進化だ!」

KY刑事(デカ)こと真倉俊という男は、真っ向から冷や水をぶっかけた。