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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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空には見渡すかぎりの光の砂




地上数千メートル。
月と星だけの明かりが頼りのこの世界で。
仮面ライダーW(ダブル)は空を飛んでいた。
より正確にはハードボイルダーの換装形態の一つ、ハードタービュラーに乗って空中の帆船、アークを目指していた。
『時間はもうあまり残されていねぇ、早速行動だぜ!』
決意を固めたダブルはすぐにダブル専用の装甲車両、リボルギャリーを呼んだ。
そしてダブルのバイクであるハードボイルダーの車体後部をターピュラーユニットに換装。
空中を自在に飛びまわるバイク、ハードターピュラーとなって空中を直進していた。
音速以上の速度で飛行する黒と赤のバイクはあっという間に目的の帆船にたどり着く。

そこには、神話の時代に登場するような規格外の大型帆船が浮かんでいた。

「凄まじい光景だね・・・・・・」
間近で帆船をみたフィリップが率直な感想を述べる。
長さが100メートル以上はある巨大な船がプロペラもジェットエンジンも使わずにただ宙に浮かんでいたのだ。
一般的な人間が知っている科学力では到底不可能な光景が、そこにはあった。
「・・・・・・夜空に浮かぶ神代の帆船、か・・・・・・」
翔太郎は思わず呟く。
「・・・・・・すげーな、こう言うとえらくメルヘンチックに感じるぜ。まるで子どもの頃に読んだ絵本の世界さながらだな!」
翔太郎は少しテンションが上がっているのか、若干声が弾み気味だった。
「ふむ、確かに。人を化物に変える煙を吐き出すこと、船の素材が人体で構成されていることを除けば、幻想的な光景ではある」
「・・・・・・」
翔太郎はフィリップのコメントに笑顔を凍らせる。
この相棒にロマンだのファンシーだのが通じないことを今さらながらに思い知る翔太郎だった。
「ともあれだ」
フィリップは言葉を続ける。
「彼を倒せば、ようやくお開きにできるというわけだ。・・・・・・僕たちにとっても、そして、"彼"にとっても悪夢のようなこの世界が、ね」
フィリップは帆船を見ながら感慨深げに言う。
「いい加減、ガイアメモリの呪縛から彼を解放してあげなければね、翔太郎?」
「・・・・・・」
確かにこの相棒にロマンやファンタジーは通用しない。
しかし、それと同時にこの男が何が一番大切なことなのか理解できる人間だということを翔太郎は改めて思い出した。
「行くよ、翔太郎?」
「おうよ!」
改めて、倒すべき敵と救うべき者を認識した二人。

「「さあ、」」

仮面ライダーW(ダブル)という名の二人は、この街を泣かすものがいる限り永遠に囁き続けるある言葉を告げる。

「「お前の罪を数えろ!!」」

最後の戦闘の開始だった。