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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 10

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第37章 決戦、封滅


 剣の閃光が煌めいた。
 刃は魔龍オロチの緑の鱗に包まれた身体を斬りつける。
 オロチは酒にすっかり酔っており、スサが剣を振るっても何の反応も見せなかった。剣は迷うことなくオロチを斬り裂いた、かに思われた。
 しかし、オロチはその身体に一切傷を負っていない。手応えは確かにあった、一体どうした事なのか。
「くそ、これならどうだ!」
 スサは剣の刃を自らの背面に下げ、脇で構えて力を込めた。
 剣の閃光と共にスサはオロチへと飛びかかった。
「閃光斬!」
 空中にオロチのどす黒い血が舞った。
「ぬう?」
 与えた傷は全く深くなく、傷はすぐに塞がってしまった。しかし、オロチには気付かれてしまった。
「なんだ…貴様、我に逆らおうと言うのか?」
 酒臭い顔がスサへと向いた。
「そんな…、これでも倒れない!?」
「よかろう、それほど地獄へ行きたくば今すぐ送ってやろう…」
 オロチは大きく息を吸い込むと、炎の息を吐き出した。酒の成分も相まって炎の威力は上がっている。
「ぐあ!」
 スサはかわそうとした。しかし、オロチの炎は回りが早く、脚を僅かに焦がされた。
 スサは右足に火傷を負ってしまい、その場に崩れた。火傷の痛みは激しい。
――く、酒に酔わせただけじゃオロチは倒せない…――
「死ねえ!」
 オロチの爪が、スサへと襲いかかる。
『スパイアクレイ!』
 オロチとスサの間に土の槍が雨のように降りかかった。
「ぬう?」
 オロチは爪を引き、土の槍が飛んできた方向を見た。
 スサもそちらに目をやる。
「あいつらは…!」
 こちらに手を向けた金髪の少年、大柄で逆立った髪をした少年、一見少女のようにも見える少年の三人がそこにいた。
「ふん…貴様らか…」
 オロチは言った。
「うわ、酒臭せぇ…こいつかなり飲んでやがるな…」
 ジェラルドは鼻を覆った。
「日の光も浴びてますし、きっとボク達でも相手になるはずです!」
 イワンは剣を持った。
「おう、その通りだ。行くぞイワン!」
「はい!」
 ジェラルドとイワンはオロチへと向かっていく。
「大丈夫か?」
 ロビンはスサへと駆け寄った。
「お前達、さっきの…」
 く、スサは火傷の痛みに顔を歪めた。
「話は後だ、まずはその傷を手当しないと…」
 ロビンはスサの脚を見やり、かがみ込んだ。
 火傷した皮膚は真っ赤に爛れており、かなり痛々しい傷であった。思わずロビンも顔を歪めた。
「待ってろ、今治してやる…」
 ロビンはスサの火傷に手をかざした。
『キュアライト』
「何!?」
 スサは驚いた。ロビンが使ったのはスサ達の言うところの呪術である。しかもこれは姉であるウズメの得意とするものだった。
「よし、治ったな」
 スサが呆けたようにロビンを見ている間に火傷はすっかり治っていた。爛れた肌は綺麗になり、あれほど激しかった痛みもすっかり消えていた。
「お前、どうして呪術を…?」
 スサは訊ねた。
「呪術?」
 ああ、ロビンは言った。
「これはエナジーって呼ぶんだ」
「エナジー?」
 耳慣れない言葉であった。さらに訊ねようとすると、ロビンが言葉を遮った。
「まあ、ここはオレ達に任せていてくれ。必ず奴は倒す!」
 ロビンは背中の剣を抜き、オロチへ向かおうとした。
「待て、奴をどんなに斬っても絶対に死ぬことはない!」
 スサは止めた。
「何だって?」
 ロビンは振り返った。
「本当だ、奴はどんなに傷付いてもたちどころに傷を治してしまう。たとえ致命傷を受けてもな…」
 それは事実であった。先ほどロビン達が戦った時、ロビンが放ったタイタニックをまともに食らい、致命傷と言える傷を負ったというのにオロチはその傷を一瞬で塞いでしまっていた。
「でも今はヒナさんのおかげで奴は弱っているはず、きっと倒せるはず…」
「ヒナさん?まさか、あの人が来ているのか!?」
「ああ、踊る人形ってのを使って、雲に隠れた太陽を出したんだ」
 ロビンは説明した。
「まさか、太陽の巫女の儀式を…?」
 スサはふと上を見上げた。
 松明の灯りも相まって今まで気づかなかったが、上からはごく細い四条の光が射し込んでいた。
 考えてみると、先ほどオロチは突然苦悶の声を上げていた。あれは酒に酔ったのではなく、弱点である日の光を浴びたせいだと考えれば頷ける。
――これならひょっとすると…――
 スサは何か思いついたようにロビンに告げた。
「お前、ロビンって言ったか。オレに考えがある、聞いてくれるか?」
「考え?」
「ああ、それはな…」
 スサは説明した。
 弱点である太陽を受けたオロチならば恐らくこれまで以上のダメージを与えることができる。しかし、それでも、どんなに傷を受けたとしても絶対に死ぬことはない。
 そこで考えたのはオロチを瀕死に追いやる事だった。ロビンの持つガイアの剣を使うことによって、一気にオロチにダメージを与えるのである。それも先ほど放ったタイタニックよりも強い、更なる力を込めたタイタニックを打ち込むのである。
「やってくれるか?」
「待て、瀕死に追い込んだ所でどうする気だ。弱ったオロチならそのまま殺す事もできるんじゃないのか?」
「さっきも言っただろ、奴は絶対に死なないってな。頼む、ここはオレに任せてくれないか?」
 スサは頭まで下げてきた。よほどの考えがあるのだろうか、ロビンは思い、それ以上は何も言わず、スサに従うことにした。
「…分かったよ、スサ、君の判断に任せよう」
 ジェラルド、イワン、とロビンは今オロチと対峙する彼らを呼びかけようとした。
「待ってくれ、下手に大声を出したらオロチに気付かれる」
 スサは制した。
「奴は今オレ達に気をかけていない、今のうちに力を貯めておくんだ」
 今、ジェラルド達が戦っている。しかし、オロチは若干傷を負いやすくなってもすぐにそれを回復してしまう。オロチによる反撃も相まって、あまり長くは保ちそうにない。
「さあ、早く!」
 スサは言った。
「く…、仕方ないか…」
 ロビンはタイタニックを発動すべく、剣に力を込め始めた。オロチの再生が間に合わないほどに瀕死に追いやる為にはそれ相応にかなりの力が必要となる。そのため力がたまるのに時間が必要だった。
――頼む、ジェラルド、イワン。持ちこたえてくれ…――
 ロビンは祈るのだった。
「どりゃあ!」
 ジェラルドは大剣を振るった。刃はオロチの体を斬るが、傷は浅い。
『シャインプラズマ!』
 イワンは詠唱し、オロチの頭上に輝く雷を落とした。
 地と風は共に相反するエレメンタルである。地のエレメンタルに属するオロチにイワンのエナジーは効果てきめんであった。
「いいぞイワン!」
 ジェラルドは賞賛した。
「このまま一気に畳み掛けましょう!」
「おう!」
 二人は剣をオロチへと向け、一気に駆け、距離を詰めた。
 オロチへ攻め寄せ、ジェラルドが先に攻撃した。与えられる傷は微々たるものであるが、弱点の太陽を浴びたことで傷が塞がる速度は落ち始めていた。
 次にイワンがオロチに斬りかかった。イワンの持つスイフトソードが脈動を放った。武器に秘められた力が解放される瞬間である。
「ソニックスマッシュ!」