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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 10

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 風を纏い、疾風の如き動きでオロチを切り裂く。その剣閃は右下、左下、真ん中と三度煌めいた。
 風の力の込められたほぼ一瞬の連続攻撃にオロチは深い傷を負った。
「あいつもそこそこ傷だらけになってきたな」
 ジェラルドは笑みを浮かべた。
「油断はできませんよ、ジェラルド」
 イワンは下がり、ジェラルドの横で剣先をオロチへと向けた。
 イワンの言うとおり、一見彼らはオロチを圧倒している様に見えるが、これまでに与えた僅かな傷はもう塞がっている。先ほどイワンが与えた大きな傷ももう回復を始めていた。
「ち、本当にあれで弱ってるって言うのかよ…」
 ジェラルドは一転して顔をしかめた。
『キュアベスト…』
 オロチはエナジーによって自信を回復した。これによりオロチは全快してしまった。
「くそ、回復までしやがったぜ」
「何度回復しようとも、その度に攻撃するだけです!」
 イワンは切っ先をオロチへ向け、再び駆け出した。
「待て、イワン!」
 イワンはソニックスマッシュを使うべく剣へと力を込めた。剣が力に反応し、唸りを上げ脈動を発するとそれを解放した。
「ソニックスマッシュ!」
「甘いわぁ!」
 オロチは剣へと爪を振るった。ギャン、という金属音と共にイワンは弾き飛ばされた。
「うわぁ!」
 イワンは背中から地面に倒れた。
 空中を何か輝くものが飛んでいる。それはざくっ、と音を立てて地面へ突き刺さった。
 それの正体はイワンのスイフトソードの刀身であった。オロチの爪の一撃によって真っ二つに叩き折られてしまったのだった。
 イワンは刀身のなくなったスイフトソードを両手で持ち、呆然としていた。
「死ねぇ、小僧!」
 オロチがイワンへと飛びかかる。
「イワン!」
 ジェラルドは助けようと駆け出した。しかし、とても間に合いそうにない。
 ロビンの方もまだ力は貯まっていない。今タイタニックを放ってもオロチを瀕死にまで追い込めるか分からない。
 オロチの爪はイワンの寸前まで迫った。最早一刻の猶予もない。
――く、仕方ない…――
 ロビンはタイタニックを放つべく、剣を振り上げた。
『レイデストラクト!』
 強力な電流の渦巻く磁気嵐がオロチの周りに発生した。
「ぐおおおお!」
 オロチは電流を浴び、苦悶の声を上げた。
 イワンは目を丸くしている。風のエナジーではあるが、これはイワンの放ったものではないようだった。となれば他に風のエナジーを使える人物はただ一人。
「みんな、大丈夫か!?」
 ロビンが振り向くと、そこにはリョウカがいた。すぐ横にはヒナも立っている。
「遅くなったわね」
 すっ、と目を閉じるとヒナは一瞬にしてロビンのそばへと移動してきた。今まで見たことのない能力であり、ロビンが不思議そうにしているとヒナはそれを見越してそっと告げた。
「気の流れに乗れば一瞬で動くこともできるのよ。まあ、気の錯乱みたいなものね」
 ヒナは笑みを見せた。説明はされたが、恐らくこのような芸当は彼女にしかできないだろう、ロビンは思った。
「ヒナさん、まさかあなたが本当にいらっしゃるなんて…」
 スサは驚いて言った。
「相手はオロチよ、大勢の力を使わなきゃ倒せないわ。もちろんスサ、あなたの力もね」
 いえ、ヒナは言葉を言い直した。
「スサ、あなたの力でしかオロチは止められない…」
 ロビンはどういう意味か分からなかったが、スサは全て悟っているようだった。
 先ほどヒナがやったように、リョウカも一瞬にしてイワンのもとへ近寄り、肩を貸し立たせた。
「大丈夫か、イワン?」
「はい、ボクは…」
 そこへメアリィが息を切らして部屋へと辿り着いた。
「はあ…はあ…、やっと追い付きました…」
 ガイアロックの頂上でヒナが体力を回復し、リョウカが意識を取り戻した後、彼女達はすぐにこの洞窟の最奥部を目指した。
 もとより、メアリィの足は並程度の速さであり、ヒナとリョウカの姉妹のそれはメアリィどころか身体能力にすぐれる男よりも遥かに高い。とても一緒について行く事などできなかったのだった。
 リョウカはメアリィを見るとイワンを担いだまま一瞬でメアリィのもとへ近付いた。
「メアリィ、疲れてる所悪いけど、イワンを頼む」
「分かりました…」
 イワンを預けると、すぐにリョウカはジェラルドの隣へ移動した。
「待たせたな、私も戦うぞ」
「驚いたな、さっき倒れちまってもう治った上に瞬間移動まで使えるようになったのか?」
 ジェラルドの言う瞬間移動とは気の錯乱の事であった。
「そんな大層なものじゃないさ。それにこれは元々持っていた技だ」
 実際、リョウカが手に入れたものはあった。それは先ほど放ったエナジーである。風のエナジーでも最大級の威力を誇り、風のエナジストのイワンでさえ使えない強力なエナジーである。
 風のエナジーだけではない。火も、地も、さらには水の新たなエナジーをリョウカは得た。頂上で倒れ、意識を失い、そして取り戻した時、すでにそれらの力はリョウカの内にあったのだった。
 一体どうしてなのか、リョウカには分からない。しかし、今は考えている時ではない。目の前に立ちはだかる敵、オロチを倒さねばならない。
 オロチは先ほどの電流により大きなダメージを受けた。しかし、その傷すらも今はもうほとんど癒えてしまっている。
「行くぞジェラルド、付いて来れるな?」
「へ、当たり前だ!」
 リョウカとジェラルドはオロチへと向かった。
「二人が戦っていてくれてる、あたしも行かないと…」
 ロビン、ヒナは呼んだ。
「あなたはあまくもの剣の力を高めなさい。あたし達ができる限りオロチを弱める。そこを一気に叩くのよ」
 スサにも言われており、ロビンは既に最大のタイタニックを放つべく、力はほぼ貯めていた。完全なものとするのにそう時間はかかりそうもなかった。
「任せてください」
「それからスサ」
 ヒナは告げる。
「あなたの力が一番必要になるわ。頼んだわよ」
 スサは無言で頷いた。
 それからヒナは目を閉じると一瞬にしてジェラルド達の元へ移動した。そして腰の刀を鞘ごと抜くとオロチに向かって構えた。
「二人とも、オロチが回復する隙ができないように攻め続けるわよ。特にジェラルド、かなり動き回る事になるけど頑張れるかしら?」
 比較的大柄であまり小回りの利かないジェラルドには少々大変な戦いであった。しかし、ジェラルドは笑ってみせる。
「あんた達が来るまでに片付けるなんて言ったけど、やっぱ無理だったよ。その代わりと言っちゃ何だが、役には立ってみせるよ!」
 ヒナも笑みを浮かべた。
「頼もしいわね、それじゃ行くわよ。ジェラルド、リョウカ!」
 はい、おう!とそれぞれ応えると三人はオロチへと攻めかかった。
 リョウカとヒナは気の錯乱を使い、素早い動きと重い一撃でオロチを翻弄した。
 ジェラルドは渾身の力で大剣でオロチを斬りつける。リョウカ達の動きによってオロチは翻弄され動けず、ジェラルドの攻撃は直撃した。それにも関わらず、オロチに与えられる傷はリョウカ達よりも僅かに深い程度であった。
 オロチに与える傷は全体的に浅く、すぐに回復を始めてしまっている。
「飛翔・飛燕刃!」