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ディオジョナ詰め

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さあしあわせになりましょう(ディオが女装)




「本当によく似合っているよ!ディオ!!」

そういいながら拍手でもしそうに顔をほころばせているジョナサンを、どうにかこうにか一発くらい殴り飛ばしてやりたかったが、動かないで!という普段からは想像もつかないような女子の叱責が飛ぶので、ディオは歯噛みしながらじっとしていた。衣装・化粧担当の女子がディオの肌にチークをのせ、仕上げとばかりにグロスまで丁寧に塗ってくれる。ディオは内心で思いつく限りの罵倒をニコニコとした表情を崩さないジョジョに向けていた。こんなくだらない文化祭の余興なんぞにどうして参加しなければならないのか、事の発端はジョナサンの軽々しい、”君って女装に会いそうだよね”という随分な言葉からである。文化祭の準備中でその言葉を聞きつけた女子の一人が、じゃあ二人でカップルコンテスト出てみなよ!といったのが口火となって、たまたま全員で飾り付けのパーツ作りを行っていたために、ノリのいい男子と一部の女子に祭り上げられる形であれよあれよという間に参加が決まってしまったのだった。ちなみにどちらが女装するかについては、公平にじゃんけんで決めることとなったのだが、一回二回とディオが勝ち進めていたにもかかわらず、最後の最後でジョナサンに逆転され(ちなみに三回最初に勝ったほうが勝ち)ディオがすることとなってしまった。悔しがるディオに、君っていつもパーの後にはグーを出すし、追いつめられるとチョキを出すんだ!といったジョナサンを殴ったことさえもはや懐かしい。

そんなこんなで至ってしまったコンテスト出場だが、やる時はとことんやるが信条のディオなので、いっそ女装するのなら負ける気はさらさらなかった。スタンドプレイだってお手の物である。どうやって見せれば観客は自分たちの票を入れるのだろうかなんてことはリサーチ済みだ。だが問題はジョナサンの存在である。どんなに魅力的に(男だが)魅惑的に(男だが)見せようとも、ジョナサンがしっかり乗ってくれなければ意味がないのである。本人はまかせてくれ!とやる気でいっぱいだが、一体どう任せてくれなのか、正直不安を隠せない。こうして最後の化粧直しと衣装チェックを行われている傍らで、頭から花でも飛ばすんじゃないかってほど機嫌のいいジョナサンは始終にこにこと笑っている。そんなジョナサンの顔をみるたび、ディオの機嫌はみるみる降下して言って、今や地面に激突する寸前だった。飛行機で例えるならまさに胴体着陸だ。

「お前、後でひどいからな。」

そう低い声ですごんでも、ジョナサンは上機嫌でにこにこ笑っている。本当に最初の最初こそ、その純真な笑みに毒気を抜かれたものだったが、ステージに上がる直前の今になって、今の君にならひっぱたたかれても全然痛くなさそうだよ、とまあ、随分なことを言ってくれるので、ピンヒールで思いっ切りその足を踏みつけてやった。屈んでうめくジョナサンを見下ろしながら、もう一回言ってみろ、と普段からは想像もできないほど低いディオの声にジョナサンは肩をはねさせた。高圧的に腕を組んだまま、うずくまるジョナサンを見下ろすディオの表情は、魔女と形容しても差し支えないものではあったものの、何せ着ているのはウエディングドレスのためなぜだかひどく滑稽に見えてしまう。衣装の最終確認をしていた担当のクラスメイトがぼそりと、まさにカカア天下と漏らした言葉がすべてを物語っていると言えなくもない。


さて、コンテストの結果だが、なかなか派手なスタンドプレイの末ジョースター兄弟(義理)は本当のカップルを退け、個人・総合共に優勝を飾るという快挙を果たしたのだった。
何故ネタである同性カップルが一着になってしまったかについて運営は、恋人のいない哀れな男性の僻みと、一部女性の熱狂的な指示によるものとの見解を、学内報にて語っている。
多方面に影響を及ぼしたこのコンテストだが、記録係をかって出ていた写真部は一番その恩恵にあずかっていて、ジョースター兄弟の派手なスタンドプレイを激写した写真は女性を中心に飛ぶように売れ、まるっと一年間分の部費にひとしい額を荒稼ぎしたとかしないとか。とにもかくにも、そんな賑やかな文化祭はそうして幕を閉じ、一部の人の心にいい意味と悪い意味で深い傷を残したのだった。まる。

作品名:ディオジョナ詰め 作家名:poco