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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 11

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第40章 再び回りだす運命


岩肌に水が流れている。しかし、上には水の流れる穴が見当たらない。水が岩肌を覆っているようであり、それはまるで水のカーテンのようなものにも見えた。
 水流がきらきらと光を放った。すると水の中に人の姿が映った。
 水の流れに従い、姿は下へと下りていく。そして水の中より人が外へと飛沫を上げ飛び出した。
「よっと!」
 ジェラルドは近くの地面へ飛び移った。水の中から現れたが、体は全く濡れていない。ここに来る前に水を浴びた際の服の湿り気はまだ残っていたが。
 ジェラルドに続いてイワン、そしてメアリィも例の水の中から現れた。
「あれ、ロビンの奴まだこないのか?」
「多分手こずってるんですよ、ロビンの金鎚は相当のものですから」
 イワンと喋っている内に水流にロビンとリョウカの姿が映った。ロビンは固く目を閉じてリョウカの腕にしがみついていた。
 そしてロビン達も外へと飛び出した。
「遅いぜロビン!」
 ロビンはまだ目を閉じて何やらつぶやいていた。どうやら、水怖い水怖い…と呟いているようだった。
「おい、いつまでくっついてるつもりだ!?」
 リョウカが言うとロビンははっと目を開いた。そして目をぱちくりしながら辺りを見回した。そこはもう水の中ではないようだった。
「もう、大丈夫?」
 ロビンは情けない顔で訊ねた。
「いいから早く離れろ…」
「ああ、ゴメン!」
 ロビンは慌ててリョウカの腕を離した。
 ロビン達のたどり着いた場所、それは紛れもなくアクアロックの内部であった。岩山の洞窟にしてはそうは思えないほどに整った場所だった。
 不思議な水の流れる所は洞窟らしい岩肌となっているのだが、ロビン達の前方、洞窟の奥の方は壁はタイルばりになっており、地面も起伏が全くない。
 隠された古代文明の遺跡、そんな感じがする場所であった。
 メアリィはふと手を出した。手のひらのに水泡が発生し、手の上で水柱が上がった。
「ものすごい水の力を感じますわ…」
 メアリィは手を下ろした。
「…確かに、力が溢れそうだ」
 リョウカも手の上に氷の塊を作り出した。投げるとそれは地面に突き刺さった。
「ふ〜ん、オレは逆にちっともエナジーが使える気がしないけどな」
 ジェラルドは言った。水の力の満ちるアクアロックの中に置かれたことでどうやらジェラルドの火の力は抑えられてしまっているようだった。
「オレもちっとも力が入らないよ…」
「そりゃただの金鎚だろうが…!」
 ジェラルドは突っ込んだ。
「まあ、ここにいても始まらねえ、さっさと先に進もうぜ」
「そうですね、お爺さんとの約束もありますからね」
 イワンは賛成した。
「そうだな、行くとしよう」
「行きましょう」
 残りの二人も同意した。
「…オレも行かなきゃ駄目かな?」
 ロビンは弱々しく訊ねた。
「当たり前だろ!」
 ジェラルドに怒鳴られ、ロビンは従うしかなかった。
 奥へ進むと、やはりそこは古の遺跡であるようにしか思えなかった。石の壁は淡く青色を帯びており、部屋全体が涼しげに感じられ、なんとも神秘的な雰囲気だった。
 そんな神秘的な風景とは裏腹に、ロビンにとっては地獄の連続が始まろうとしていた。
 アクアロックは内部までも水、水、とあらゆる所に水が流れていた。所によってはかなりの深さで水の溜まっている場所があった。落ちたらどうなるか、考える前にロビンは目が霞んだ。
 ロビン達は広い所に出た。ここまでは普通に歩いてこれたが、ここから先はそう簡単にいかなかった。
 目の前に広がるのは巨大な水の溜まり場であった。進めそうな道はないが、前方には先に進めそうな穴がある。さらにはここ以外に先に進むための道はなかった。となれば、やはり巨大な水溜まりを越えた先のあの道が先に通じる道であるのか。
「仕方ない、泳ぐか?」
 ジェラルドは言った。
「冗談じゃない!」
 ロビンはすぐさま反対した。
「待ってください」
 ロビン達はメアリィに視線を向けた。すると彼女は例のマーブリング模様の石に手を触れていた。
「ここにもアクアストーンがあります…」
 これまでもこの石に何かする事で道が開かれてきた。ここでもこのアクアストーンが進むべき道を示してくれるのでは、と想像するのにそう時間はかからなかった。
「これで、何か起こるのか?」
 ロビンは訊ねた。
「やってみましょう…」
 メアリィは目を閉じ、詠唱した。
『アクア』
 これまでのように小型の雨雲から雨がアクアストーンの上に降り注いだ。
 すると、これまでとはまた違う現象が起こった。
 アクアストーンの位置から一直線に水の上を光が伸びていた。光は星屑のようにチラチラと輝き、まるで水の上の架け橋のようであった。
 メアリィは光の上に一歩足を踏み出してみた。
「メアリィ!」
 そこにいる誰もが踏み出した瞬間にメアリィの身体は水の中に沈むであろうと思った。
 しかし、彼らの予想は大きく外れた。
 メアリィは水の上に浮かんでいた。いや、浮かんでいるというよりは立っているといった方が正確である。まるで水がしっかりとした地面であるかのようだった。
「この光の上にいれば、平気のようですわ」
 まさしく光は架け橋となっていたのだった。
「ほんとか?ようし、オレも…」
 ジェラルドも光の上に足を載せた。彼が足を載せた瞬間、雨上がりにできる水溜まりを踏みしめた時のような小さな飛沫が上がった。しかし、やはりジェラルドの身体は沈まない。光が橋となってジェラルドを支えているのである。
「ほんとだ、水の上に立てる!」
 ジェラルドは面白そうに足踏みをし、何度も水しぶきを上げた。
「ほら、お前らも来いよ!」
 ジェラルドに呼ばれ、イワン、リョウカも水の道に足を踏み出した。しかし、またしてもロビンだけが後込みしていた。
「ロビン、大丈夫ですよ。溺れたりしませんから」
 イワンは言うが、それでもやはりロビンは足を踏み出せない。
「しょうがねえな、ほら、オレの手に掴まりな」
 ジェラルドが手を差し出してきた。
「だからお前なんか信用できないって言ってるだろ!」
 ロビンは言い放った。だいたい男同士で手をつなぐなどロビンにとって気分のよいものではなかった。
 ふと、ロビンが見る先にリョウカがいた。目を合わせただけでロビンの考えを読み取ったようにリョウカは渋々手を伸ばした。
 ロビンは苦笑しながらその手を受け取った。それを見たジェラルドがやっぱり…、と呟くとリョウカはキッとジェラルドを睨み、黙らせた。
 水の上を渡り、ロビン達はさらに奥へと進んだ。
 幾度となく水の上を飛び石で渡り、先ほどのようにアクアストーンの力を利用して水の上を歩いたり、そして流れる水に逆らって向こう岸に歩く、などして行く手を阻む水を越え先へ進んだ。
 そしてロビン達はついに最深部へたどり着いた。
「これは…!?」
 そこにいた皆が息を飲んだ。目の前には到底見たことの無い風景が広がっていたのだ。
「水が、壁のようになっていますわ…」
 本来形を持たず、流れる物体である水がそこに止まり、壁となってロビン達の前に立ちふさがっていた。