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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 11

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 形を保っている様子から一見凍っているのかと思われたが、上の方では飛沫が上がっている。何らかの力によって水が集められ、せめぎ合っているようだった。
 さらに、その水の壁の奥には何やら不思議な部屋があった。一軒の家よりも大きく、その扉には見たこともない紋章が描かれている。
「これは、台座か?」
 リョウカは言った。水の壁の手前には白く、丸い、小さな台座があった。
「もしかして、これがヴァサ爺さんが石を取ったっていう台座なんじゃ?」
 想像に難くなかった。
 メアリィはロビンに同意を表すように頷くと、ヴァッサから預かったアクエリアスの石を取り出した。青く光沢を放つ宝石をメアリィはそっと台座の上に置いた。
 アクエリアスの石が一瞬だけ輝いたかと思うと、周囲が激しく揺れ始めた。
「な、なんだ、地震か!?」
「おいおい、やべえんじゃねえのか!」
 ロビン達は揺れに驚き、慌てふためいた。
「おい、見ろ!」
 リョウカは突然前を指差した。
 前方にあった水の壁が変化していく。水に亀裂が走り、どんどん二つに割れていく。
 やがて水の壁は完全に真っ二つとなり、せめぎ合っていた水が滝のように流れを作った。行く手を阻んでいた水の壁がなくなり、あの妙な紋章が描かれた扉を持つ部屋へと近付くことができるようになった。
「信じられない、水が真っ二つに割れるとは…」
 リョウカはすっかり圧倒されていた。
「これで爺さんとの約束は果たせたって事か」
 ジェラルドは言った。
「そうだな、それじゃ長居は無用だ。さっさと帰ろう!」
 ロビンは素早く踵を返した。
「ちょっと待て!」
 ジェラルドはロビンの襟首を掴んで引き留めた。
「放せよジェラルド、もう約束は果たしたんだから帰っていいだろ!」
「あんな明らかに怪しいものを目の前にしてどうしてお前は帰れるんだ!」
 ジェラルドはあの部屋が気になるようだった。ジェラルドだけではない、ここにいるロビン以外の皆が気になっていた。
「だってこんな水だらけの所もういたくないんだよ!」
 何らかの要因でこのアクアロック内部を流れる、または留まっている水が氾濫したらと思うと、ロビンは鳥肌が立った。
 おまけに目の前には真っ二つに割れた水の壁がある。今はこうしてそのまま留まっているが、何かの拍子に流れ出したら、と思ってしまい、ロビンは一刻も早くこの場を立ち去りたかったのである。
「いいからさっさと来い!」
 ロビンの願いは虚しく、ジェラルドに襟首を掴まれたまま引き連れられた。ロビンは情けない声を上げるしかなかった。
 不思議な紋章の描かれた扉を開け、部屋に入るとそこもまた摩訶不思議な空間になっていた。
 見渡す限り水である。まるで船の上から大海原を見渡しているかのような錯覚に陥るほど、部屋の中はどこまでも水が広がっていた。
 部屋の中心には通路を通じて祭壇のようなものがあった。数本の石柱の中心にロビン達の肩まであろうかという大きさの石版が立っていた。
「石版、何か書いているようだが…」
 リョウカの言うとおり石版には文字が刻まれていた。
 徐にメアリィが石版に歩み寄り、その刻まれている文字に目を通した。
 水の力を操りし者よ、石版に触れてみよ。さすれば我は汝に水を消し去る力、『ドライ』を授けん…、石版にはこう書かれていた。
――これは、私の事なのでしょうか…?――
 メアリィは誘われるように石版の表面にある窪みへと手を置いた。
「メアリィ?」
 瞬間、石版が光を放った。それと同時にメアリィは石版と共に空中へ浮かんだ。
 石版からは光の球がいくつも発生し、メアリィの体を包み込んでいく。そして光の球が全て石版より発せられると、一際大きな光を放った。
 一連の現象が全て終わると、メアリィは再び石版と共に地へ下り立った。
 メアリィは手を胸の前にやった。手が小さな光を帯びている。
「メアリィ、一体どうなったんだ?」
 ジェラルドが訊ねる。
「ご安心ください、私は大丈夫です。どうやらこれはエナジーのようです」
 メアリィは微笑んだ。
「エナジー…?」
「!?、大変です、水が!」
 これまで穏やかであった水が突然荒れ狂い始めた。せめぎ合い、祭壇へひたひたと打ち寄せ、さらには渦まで巻いている。
「つ、津波だ!」
 遠くの方から巨大な波がこちらへ押し寄せていた。
「うわ〜!に、逃げろ!」
 ロビンは逃げだそうとした。しかし、とても逃げ切れそうにない。
「くそ、あんなのに飲まれたら終わりだ…!」
 皆が慌てる中、メアリィだけが落ち着いて波を見つめていた。未だにメアリィの手は小さく輝いている。
――水を消し去る力、それが本当なら…!――
 メアリィは波へ向かって手をかざした。
『ドライ!』
 メアリィの詠唱と同時に、空間に大きな光の球が発生した。それと同時に波と光の球がぶつかった。その瞬間、煙を上げて波が縮小していく。
「津波が!」
「蒸発していく…!?」
 やがて波は全て蒸発し、露と消えた。
 メアリィが得たエナジー、それは高熱を持ったエナジーの塊を作り出し、その熱を以て水を蒸発、つまりは消し去るというものだった。
 津波が消え去り、荒れ狂っていた水は先ほどのように波一つ立たない穏やかな状態に戻った。
「皆さん、お怪我はありませんか?」
 メアリィは訊ねた。
「ああ、平気だ」
 リョウカが答えた。
「それにしても、すげえな!あんなデッカい波を一瞬で消しちまうなんてよ!」
 ジェラルドは『ドライ』のエナジーに感心しきっているようだった。
「私自身もこれほどとは思いませんでしたわ」
 あれほど巨大な波をも一瞬で蒸発させるほどの威力である。これを敵に当てたら一瞬で相手の水分を奪い取り、干からびさせる事も可能である。かなり強力な武器にもなりえた。
「けどよ、あんだけあっちい球を作り出すんだからあれは火のエナジーなんじゃねえのか?」
 確かに、高熱によって水を蒸発させるという特性上、水そのものを使う事の多い水のエナジーというには異質なように思えた。
「いえ、あれは紛れもなく水のエナジーです」
 メアリィは言う。
「火では水を蒸発させる事はできません、逆に消されてしまう事でしょう。水を蒸発させるのはあくまでも熱の力なのです、火そのものではありません。それに、水に干渉する以上、やはりこの『ドライ』は水の力なのです」
「ふ〜ん、そう言うもんなのかね?」
 ジェラルドはあまり腑に落ちない様子だった。
「…なあ、もう済んだんならここを出ないか?」
 ロビンは妙に焦った様子で言った。たった今津波を受けたばかりで、また波がくるのでは、と思うととても落ち着いてなどいられなかった。
「そうですわね、お爺さんとの約束も果たしましたし、もうここにいる必要はありませんね」
「そ、そうだろ?もうここに用はないよな!よし、みんな、オレに掴まりな。『リターン』で一気に戻るぞ!」
 結構な精神力を消費してしまうため、ロビンは普段あまり使わない移動エナジー『リターン』を使うと言い出した。それほどまでにこのアクアロックから去りたかったのである。
 ジェラルド達はロビンの肩や背中に触れた。
「みんな掴まったな?ようし、帰るぞ!」
 ロビンは詠唱した。