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yamato… 古代とユキ 6

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過去Ⅱ



4人は真田を加えパーティー会場へ移動した。

  「パーティーと言っても食事会、くらいだがな。」

藤堂がそう言うとテーブルに並ぶ座席表を手に取った

  「ここでは各代表と配偶者と皇族が一堂に介する。一番狙われやすいと
   まわりは思っている。」

藤堂が少し含みを持たせた

  「…が、私はここじゃない、と思っている。」

相原と真田はだまって耳を傾けた

  「ここは確かに人質を取りやすいが…パニックを起こした一般人が何をしで
   かすか分からない…ということでしょうか?」

真田が藤堂に言った

  「…そうだ、テロの首謀者にとって人質は多い、少ないは余り関係ないと
   思っている。それより扱いにくいものはその場で射殺されてしまう可能性
   もあると思わなくてはいけない。」

藤堂はあくまでも最悪の場合も考えなくてはいけない、と付け加えた。
素人がいようがいまいが銃撃戦が始まってしまうかもしれない、ということだ
ユキは自分に護衛が務まるか不安になってきた

  「…ユキは大丈夫だよ…一瞬の判断だ。ヤマトに乗り込んでいる気持ちで
   いれば絶対大丈夫だ。そばに相原もいるし…みんながいる。安心しろ」

真田がユキを言い聞かせるように言った。




  (まったくこんなとこうろうろしてたって何も始まらないって。第一テロが
   起きる可能性だってわからないんだ。それなのにこんなに打ち合わせが
   長いなんて思いもよらなかった…これが終わったらそうそうに森さんを
   仕事の打ち合わせ、として一緒に食事にでも、って思ったのに…やたら
   邪魔が入りやがる…この相原ってやつも森さんのそばから離れないし
   真田ってやつもいい加減仕事に戻れって感じだし…)

心の底で大崎は舌打ちするとイライラした様子を隠そうともせず長官の後ろに
ついている。視線の先にはユキがいた

  「あ、南部君。」

ユキが南部を見かけて声をかけた。南部は長官に敬礼すると

  「お疲れ様です。視察ですか?」

そう言って近寄ってきた

  (また乗組員か…邪魔が増える一方だ)

不機嫌そうな顔がさらに不機嫌になる

  「そちらはどう?進んでるの?」

ユキが声をかけると

  「えぇ、ばっちりですよ。工作班との連携もありますしね。束ねてるのが
   真田さんってだけで何もかも信頼できます。ユキさんも大船に乗った
   つもりでデン!と構えてくださいよ。」

そう言いつつも南部の顔は笑っていなかった。どうも気になってるのは大崎
だけではないようだ。

  「えぇ、分かったわ。南部君がそう言うなら大丈夫ね」

ユキは真田を見てやはり何かを感じてると思いうなずいた



  「ちょうどいい、みんなで昼食にしようか」

藤堂が南部が入ってきた後島が入ってくるのを見てそう言った

  「島君」

ユキが声をかけると島は長官に敬礼して

  「司令部に連絡したところ長官がお見えになってるとお聞きして…」

そう言いながら近付いてきた

  「ユキ、相原お疲れ。長官、昼食の手配、すんでいます。」

藤堂は世間が大騒ぎしてるので食堂でゆっくり食事ができなかろうと
ユキを気遣い別の部屋で食事を用意させていた

  「ありがとう、みんな揃ってるのか?」(藤堂)
  「はい、揃いました、といってもほとんどここにいますが…」

島がユキをみて意味深に笑うと

  「島君、ひょっとして全員集合?」

ユキが不思議がって聞いた

  「全員集合?ヘンな言い方だな。まぁ今回の責任者の顔合わせだよ
   ユキは護衛を兼ねてるとはいえ一応秘書だからさ、護衛される方
   なんだよね。だからちゃんと顔合わせした方がいいと思ってさ。」

島はやたら嬉しそうにでも大崎に聞こえないようにユキの耳元でささやいた
でもそれが大崎にはおもしろくなく自分だけつまはじきにされたような感じで
イヤだった。


島が案内した部屋は通訳が使う詰所だった

  「長官、お疲れ様です」

そこには進と太田が待っていた。二人は立ち上がると敬礼した

  「すまんな、待たせたな…」

そう言って長官は上座に向かい大崎を横に立たせると

  「今回の警備責任者の大崎くんだ。今回の任務が終わるまで私の護衛と
   なっている。宜しく頼む。それと同じように私と同行するのは紹介しなく
   ても…いいとは思うが…秘書の森さんと護衛の相原君だ。」

全員わざとらしく“よろしく”と言って席に着いた

  「大崎君は私に付いてしまうので大崎君の指示を仰げない場合は真田くん
   が指示を出してくれたまえ。」







作品名:yamato… 古代とユキ 6 作家名:kei