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改・スタイルズ荘の怪事件

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7,5章


中等過程における歴史記述の抜粋「共和国」

かつて統合政府と対立した反体制勢力の通称。
最盛期の勢力は、西ヨーロッパとアフリカ、インドに及び、自由【ウォー】と平等【ヘイト】の名の下に、統合政府に対する無謀な暴動を試みた。
グレートブリテン(現在の英国区)が平和裏に統合政府に復帰した後、アフリカ大陸において非人道的な生物兵器の使用を目論むも、管理に失敗し大陸全土を不毛の地へと変じさせた。その被害を受けて死亡した人間は共和国側だけで二十億を超え、人類史上最悪の組織として記録されている。一般には赤死病と呼ばれる症状は共和国の生物兵器が感染を拡大させる過程で変化したバージョンであり、今なお統合政府に所属する一部の人々を苦しめている。
彼らの中心は成したのは、自らの利益のためであれば他者の犠牲を厭わないと考える残虐で自己中心的な人喰人種であり、多くの人々は彼らの主義に賛成したというよりは、彼がほしいままにしていた武力に屈服したと言われている。人々は彼らの支配下において現在の我々が所有している権利の多くを剥奪されていた。彼らは統治機構がその管理下にある人々に善導される権利を認めず、産まれてきた赤子を路上に放置することを善しとしたと言われている。
現在でもアフリカ大陸において少数の残党が確認されているが、統合政府は彼らに寛大な措置を与え一種の自治を約束している。この処置によって、一部の狂信的な原理主義者によって起こされた統合政府の最大の危機は過去のものとなった。アフリカ大陸では、今まさにこの非理性的な暴動によって発生した無残な傷跡の復興作業が行われているが、彼らの暴挙が大陸に残したものは大きく、復興作業がいつ終了するかは目処が立っていない。

アフリカ大陸における一部の反動勢力の自己把握【セルフポートレート】

我々はこの地球上の残る唯一の自由の砦である。
かつて統合政府は、我々をこの地上から抹消するために、国際条例に禁止されていた惑星改良技術【テラフォーミング】の乱用すら辞さなかった。私は今でも覚えている。海洋の上から、あの死神のような青い彗星が我らの母なる大地に降り注いだ日のことを。
多くの人々が死に、今なお多くに人々が苦しんでいる。それでも我々は現としてここに存在している。何故か。
それは我々こそが正義だからである。
統合政府はかつて我々の祖先が、戦いの中で勝ち取った全ての権利を自らの手中に収めてしまった。
私たちが財産を持つ権利も、自らの代表者を持つ権利も、好奇心を持つ権利すらも、もはや統合政府に管理された人々には存在しないのだ。そこでは人々は生きて死ぬだけの家畜に過ぎない。そんなことが許されるのだろうか。
否だ。断じて否だ。
我々は雌伏の時を経て、もう一度立ち上がらなければならない。今の我々に残されたのはこの母なる大地の三分の一に過ぎない。だが思い出して欲しい、我々の祖先がこの大陸の果てに喜望峰という名を付けたことを。
そう、我々には正義と希望が存在しているのだ。
この戦いは聖戦である。
恐れるな、決して恐れるな、君たちは正しいのだから。
君たちの流す血は平和のためにこそあり、君たちの死は新しい世界を育んでいく。誇りをもって前に進むのだ。
君たちの一歩こそ人類の希望そのものなのだから。
自由を!