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花見弁当

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シズちゃんてさぁ

平和島静雄に向かって
折原臨也が口を開くと

ホラ始まるぞと
岸谷新羅と門田京平が身構えるようになったのは
入学してまだ2週間経たない頃だった

会ったその日に
殺し合いの喧嘩をした24時間戦争コンビは
一向に折り合いをつける気配もなく
かと言って
会わないようにと避け合うでも無い
周囲にとっては実に迷惑で不思議で理解し難い
トンデモ状態がずっと続行中なのだ

きっかけは常に折原臨也の方であり
しかしコトを荒立てるのは必ず平和島静雄の方からで
どちらが諸悪の根源かと問われれば
判別つき難くはあるが概ね
折原臨也がきっかけさえ作らなければコトは起こらないのであり
そういう点から見るとやはり
悪の根源は折原臨也と言えるようだった

岸谷新羅は常識を知ってはいるが軽く無視するタイプ
対して門田京平は至極真面目な常識人であった為
いつも戦争コンビによる周囲への被害を
最大限に食い止めようとするストッパー係は彼の役目
そして闇医者の息子である岸谷新羅はさしずめ
戦争コンビの保健室係といった役目になっていた

「おい。止めとけ。」

お前が静雄に喋りかけるとロクな事にならねぇ

今日も早速門田京平が折原臨也に釘を刺す

「えぇー。俺まだ何も言ってないんだけど?」
「だからその前に止めたんだ。理解しろ。」
「酷いなぁ。まるで俺が口開くと喧嘩になるみたいじゃない。」
「実際そうだろう。まぁ一々反応する静雄も静雄だがな。」
「あぁ?!今なんつった?」
「けど悪いのは臨也だ。挑発するにも程がある。」
「・・・そうだよな。全て手前が悪いノミ蟲。」
「はぁ?ノミ蟲?何それ?」
「手前の呼び名はソレで十分だっつんだよ!」
「今のは静雄が悪い。」
「さすが常識人の門田君。聞いたシズちゃん?」
「門田手前、ドッチの味方だコラ!」
「俺はどちらの味方のつもりも無ぇよ。」
「そうだよねぇ。門田君も僕も公平で平等だよ。」
「新羅は医学的興味から面白ければ何でもいいんだろ?」
「うん。そういう意味で静雄君の味方だな僕は。」
「うわぁ、新羅ってサイテーだね。」
「だって静雄君の身体の方が折原君の何倍も面白いよね?」
「人の身体を面白いとか言うな!」
「おい、お前まで挑発してどうする?」
「あはは、ついウッカリ本音が出ちゃったかも。」
「じゃあ、さっさとシズちゃん解剖しちゃいなよ新羅?」
「臨也、てめぇなァ!!」
「勿論、できればそうしたいけど。」
「って、お前がまた焚き付けてどうするよ!」
「やだなぁ門田君、僕に怒らないでよ。」
「シズちゃんなんて解剖したら脳ミソまで筋肉だよきっと。」
「臨也ァァ!!」
「おっと、」

4人
昼食をとっていた屋上
大方腹を満たしたところで
いつものごとく
追いかけっこを始めた戦争コンビを
岸谷新羅はニコニコと
門田京平は溜息をついて見守る

そもそもが
ここで4人昼食をとるようになったのは門田京平の提案で
教室に居れば昼食時間だろうとすぐに周囲の迷惑顧みず
大騒動を引き起こす彼らを少しでも
周囲に迷惑かけないようにする為の処置で
ここでなら少々の大声を出そうが走り回ろうが
周囲に及ぼす被害は少ないだろうとの考えからだ

「あはは。元気だよねぇ、二人とも。」
「・・・笑い事じゃねぇだろ。異常だぞあいつら。」
「確かにね。静雄君の身体はあぁだし、」
「臨也の方は性根がイカれてるしな。」
「ふふふ。門田君て意外と臨也に厳しい事言うよね。」
「そうか?」
「そう。そして折原君も何故か君には反逆して来ない。」
「・・・・・・そうなのか?」
「そう。静雄君にはすぐ突っかかるのにね?」
「だよな。とにかく静雄には何かと。」
「きっと気に入ってるんだよ折原君、静雄君の事。」
「・・・迷惑な話だ。」
「あれ?門田君もそう思うの?否定しないね。」
「見てりゃ解るだろ。痴話喧嘩みてぇなモンだろいつも。」
「わぁぁ。門田君て洞察力鋭いんだ。」
「お前が先に言ったんだろ。」
「僕は付き合い長いからね。その分よく知ってるし。」

にしても
ホント元気だよねぇと
新羅が二人をひとしきり目で追ってから
広げたままの昼食の食べガラに目を落とす

「あれ?」
「何だ。」
「折原君ていつもお弁当だったっけ?」
「あぁ?」
「ホラ見て、可愛いの。」

岸谷新羅に言われて
門田京平が覗き込んでみるとそこには
あらかた食べ終えてはいるものの
彩りも良くきちんと綺麗に詰められていたのだろう
弁当の残骸が見えて
中でも目を引くのは
何と言うのだろう
ミートボールなんかを刺す為のピックと言うのか
そういう楊子的なものが動物の顔付きだったり
総菜が入っていたとおぼしき仕切りのカップが
やたらと可愛い絵柄と色だったりする

「・・・女子の弁当みてぇだな。しかも小さい子向けの。」
「だよね。このピック、兎ちゃんとかだし。」
「カップも花柄のピンクだしな・・・。」
「もしかしたら、今日妹さん達の遠足か何かかも。」
「妹さん達?」
「そう。折原君には双子の妹さん達が居てね。」

折原君家は共働きでお母さんも忙しいから

「妹さん達にお弁当要る時には折原君が作ってあげるんだって。」
「・・・ホントにかよ。」
「うん多分、本当。折原君あぁ見えて料理とかするんだよ?」
「・・・人は見かけによらねぇって見本だな。」
「だよね。作っても毒とか仕込みそうだよね普通に。」
「あぁ。」
「さすがに自分用のには仕込まないと思うけど。」

ねぇ折原くーん
この残ってる唐揚げ食べていいー?と
岸谷新羅が叫ぶのを門田京平は呆れて見る

「あ、いいって。門田君も食べる?」
「いい。つか、お前他人の弁当食うなよ。」
「だって折原君忙しそうだしさ。それに折原君の唐揚げ」

美味しいんだよ前日から漬け込むんだって

岸谷新羅はモグモグと残っていた唐揚げを食べている

「あ。この味この味。家庭風なんだけど美味しいんだぁ。」
「へーぇ・・・。」

本当に人は見かけによらねぇなと
門田はさっきも言った事を繰り返して
ペットボトルをあおり
こんな気温なら暖かい方を買うべきだったと後悔する

「ったく。4月だってのに今年はいつまでも寒いな。」
「だよねぇ。そのお陰で桜の花はずうっともってるけどね。」
「あぁ、そうだな。」
「そうだ!お花見しようよ?」
「はぁ?」
「いい考えじゃない。明日土曜日だしさ。お弁当持って。」
「はぁあ?」

そんな門田に構わずに
立ち上がったった岸谷新羅はブンブンと戦争コンビに手を振り
ねぇぇえ明日皆でお花見に行こうよぉぉと叫んでいる

いいよねぇソレねぇシズちゃん花見だってさと
静雄の蹴りをかわしながら臨也が叫び返し
アァ?!何言ってやがるこのノミ蟲と静雄が一層キレる

「だって。ってコトで明日はお花見。門田君も来るんだよ?」
「何故そこでお前が仕切るんだ。」
「だってそういうの僕の役目かなって思うしさ。」



かくして



翌日



岸谷新羅の旗振りで花見は決行された





「つか。ナンで来るのが学校の校庭なんだよ手前。」

イライラとポケットに両手をつっこんでいる静雄は
今にもキレそうだ
作品名:花見弁当 作家名:cotton