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にょたりんちゃん受け詰め

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凛ちゃんが女の子で、2期に宗介が出てきたらの妄想話(宗凛、遙凛)



凛はひさしぶりに宗介と会っていた。
小学生のころの宗介はひょろりと背が高かった。そこで成長が止まらなかったらしく、今はもっと背が高い。
雰囲気も男らしくなっている。
けれども、違和感はない。むしろ、長く会ってなかったのに、親しみを感じる。
似た者同士で、あのころは分身のように感じていた相手だからだろう。
「おまえ、全国大会で大会新出したらしいな。すごいな」
「ああ」
宗介はうなずいた。謙遜はしない。
「それだけ頑張ってきた。どうしたら速く泳げるのか考え続けてもきたからな」
「あいかわらずの理論派だな」
「おまえと同じだ」
そうからかうように笑いながら指摘されて、凛も軽く笑った。
「だが、こっちはまだ結果が出ない」
宗介が知りたがっていて、しかし、聞けずにいるらしいことを感じ取って、凛は自分から切りだした。
「オーストラリアに留学して、思いっきり転んだ」
重い内容を、凛はサバサバと明るく話す。
強がりでもなんでもなく、自然とそうなった。
「自分はこの程度なんだって、落ち込んだし、恥ずかしい話なんだが、荒れもした」
ふり返りたくない過去を、おどけたように肩をすくめて話した。
どうしてなんだろう。
不思議だ。
「でも、もう立ち直った。まえを向いて進むことにした」
凛は屈託無く笑った。
昔のように。
それで、気づいた。
宗介といると、昔の自分にもどるらしい。
たぶん、それは、今も、宗介が自分の一番の理解者だと心のどこかで思っているからだろう。
「凛」
ふと、なぜか、宗介は妙に真剣な顔つきになって呼びかけてきた。
「俺はおまえに言いたくて言えなかったことがある」
迷いを振りきったような強い声。
「おまえが岩鳶スイミングクラブで泳ぎたいって言ったとき、本当は、俺はおまえを止めたかった」
それを聞いて、凛は眼を見張った。
あのとき、宗介は「わかったよ」と言っただけで、引き止めたり問い詰めたりしなかった。
「おまえは俺を自分の一番の理解者だって思ってるみたいだったから、俺はおまえにとっての一番であり続けたかったから、言えなかった」
宗介は強い調子で話す。
凛に向けている眼差しは、鋭く、熱い。
「本当は嫌だった。おまえが、他の男と泳ぎたいからっていう理由で行ってしまうのが、嫌だった」
あのころ、凛は市の大会で遙の泳ぎを見て、遙と泳ぎたくて、祖母の家に住民票を移してまで、遙のいる岩鳶小学校に転校し、岩鳶スイミングクラブに移籍したのだった。
それぐらい遙の泳ぎは綺麗で速かった。
いや、今も、遙の泳ぎは綺麗で速い。
宗介は言う。
「あのとき、俺はおまえに、行くな、って言いたかった」
そう告げたあと、宗介の表情が少し揺れた。求めているのに得られない、そんな感じの切なさが顔にあらわれる。
けれども、すぐにまた強い表情にもどった。
宗介は口を開く。
「俺は、おまえのことが、ずっと」
「凛」
背後から名を呼ぶ声がした。
ふり返らなくても声の主がだれなのかわかったが、凛はふり返る。
そこに遙がいた。
いつもの無表情で近づいてくる。
凛の隣までくると遙は立ち止まり、静かな眼差しを宗介に向けた。
宗介は遙を見返した。
おたがい、無言である。
凛は説明することにした。
「小学生のとき、市の大会で会ったことあるだろ? 佐野スイミングクラブの山崎宗介、岩鳶スイミングクラブの七瀬遙だ」
めんどうなので一緒にして紹介した。
それに対して、遙が言う。
「覚えてない」
素っ気ない声だった。
宗介は黙ったままだ。ただ、遙を見ている。
遙はその眼を凛に向ける。
「凛、おまえ、泳ぎたいって言ってたな」
「ああ」
「プールに行かないか?」
「行く」
凛は即答した。
遙の泳ぎは綺麗で速い。それは凛が求めていて得られないもの。いくら観察しても、自分の身にはつかない。それがわかっていて、それでも、見たい。一緒に泳ぎたいと思う。
しかし、今ここには宗介もいる。
凛は宗介を見た。
宗介は凛の視線に気づき、ふっと表情をやわらげた。
「じゃあ、またな、凛」
「ああ」
凛は宗介に応えるように、少し首をかたむけ、軽く笑った。
それから、凛は遙と一緒に歩きだす。
しばらくして。
「……また、があるのか」
ボソッと遙が言った。
「は?」
なんのことかわからず、凛は戸惑った。
だが。
「なんでもない」
いつもの感情のこもらない声で遙は返事をした。
よくわからないが、自分には関係のないことなのだろう。そう凛は結論づけて、違う話をすることにした。
「なあ、ハル、おまえ無愛想すぎるだろ」
遙は無言で凛に視線を向けた。
その視線を受け止めて、言う。
「さっき、覚えてないとか言っただろ」
「おまえも無愛想だろう。昔はバカみたいに笑っていたのに」
「大人になったんだよ!」
言い返しながら、凛は楽しさも感じていた。
遙は無愛想で、笑うことはほとんどないが、一緒にいて、居心地がいい。
正反対ぐらい自分たちは違っているのに、どうやら相性は良いらしい。
それに、挫折して深く落ち込んでいた自分に手を差しだしてきて救い出してくれたのは遙である。
これから先もぶつかったりするだろうが、大切にしていきたいと思う。
















作品名:にょたりんちゃん受け詰め 作家名:hujio