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ライフゴーズオン

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ガラスの虹


彼女の目の前に広がったのは、馴染みのある天井で。
「目を覚ましたか」
鬼龍院邸の一室でベッドに横たわっていた鳳凰丸に声を掛けたのは元筆頭執事の黒井戸だった。
「黒井戸、なぜ」
何故お前がここにいる、何故私はここにいる。問いかけるより前に全身に痛みが走り、鳳凰丸は呻き声を上げた。
「無理はするな。かつてならなんでもない傷かもしれないが、今のお前には重傷だ」
黒井戸の口からは問わずとも現状についての説明がされた。
纏流子が鳳凰丸の傷口から中に入り、身体の奥深く、しかも分散されて埋め込まれていた原初生命戦維を全て切断したこと。
鳳凰丸はショック症状で半年近く意識不明の昏睡状態にあったこと。
体組織と融合していたはずの生命戦維は活動を停止し消滅、原因は未だ不明であること。
現在の鳳凰丸を形作る要素は全て「人間」であること。
「私への解雇通告も、結果的にお前をおびき出すための餌だったのだ。無論私はそんなことは知らされていなかったがね」
自嘲気味に黒井戸が吐き出した直後、部屋のドアをノックが震わせた。
「入るぞ」
木製のドアが開き、現在の鬼龍院家当主である皐月と現在の筆頭執事である揃が入ってきた。
「目を覚ましたのか鳳凰丸」
鳳凰丸は皐月を見て驚きに目を見開いた。幼い頃から長く伸ばしていた皐月の髪が肩につかないほど短く切られていたからだ。
「皐月様、御髪を」
「ああ、お前が寝ている間に髪を切ったのだ。軽くて良いぞ」
微笑む皐月の表情に、一瞬かつての羅暁がダブって見えたような気がした鳳凰丸は目をしばたたかせた。
「二人きりで話したいことがある。揃、黒井戸、下がれ」
新旧二人の筆頭執事は現当主に一礼すると退出した。
「さて」
ベッドサイドに置かれた椅子に腰かけると、皐月は一つ息を吐いた。
「お前にどこから説明したものかな」
「先程、黒井戸から粗方のことは聞いております」
「そうか」
しばしの沈黙が流れた。
作品名:ライフゴーズオン 作家名:河口