二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

氷花の指輪

INDEX|19ページ/44ページ|

次のページ前のページ
 

8.熱の冷めぬ夜



あの日のことを、幾度となく思い出す。
あの初めての口づけの高揚感が忘れられない。

マスターは私を愛してくれている。
一緒に生きたいと思ってくれている。
なんと、幸せなことだろう。
そして、なんと心がざわめくのだろう。

言い知れぬ不安、言い知れぬ違和感。

私が近づくほど、
彼女の愛に応えようとするほど、
この手をすり抜け、こぼれ落ちていく彼女の幻影。
決して留めておけない雪の輝きのように。

知らず、自分の唇に触れ、
あの温かさと、このどうしようもない胸の苦しさをかみしめる。


私は、それでも……。
あの月夜に、手を差し伸べてくれた彼女を……。

---

あの日のことを、幾度となく思い出す。
あの初めての口づけの切なさが忘れられない。

彼は、私のそばにいたいと言ってくれた。
共に生きようと言ってくれた。
なんて、幸せなことだろう。
そして、なんて心が痛いのだろう。

抱えきれない不安、抱えきれない罪悪感。

私が諦めるほど、
彼の愛から目を背けるほど、
この手からあふれ、こぼれ落ちていく彼の笑顔。
決して留めておけない太陽の熱のように。

知らず、自分の唇に触れ、
あの温かさと、このどうしようもない後悔をかみしめる。

私は、それでも……。
あの月夜に、私の手を取ってくれた彼を……。


……愛してる。


作品名:氷花の指輪 作家名:sarasa