モータープール
終.
冷たく輝く金色の環は、彼の指先を灼きながら語りかけてきた。
『我を欲せ さすれば望むもの総て与えん』
彼はその言葉に思考を蝕まれながら、環を見つめた。
『本当か?』
『我を欲せ さすれば望むもの総て与えん』
『それはほんとうか?指輪よ』
『我を欲せ 汝の望みを言え』
「指輪よ 私の望みは」
彼は、指輪を嵌めた。
指輪は一瞬にして彼の内部を灼き尽くした。人でなくなっていく感覚に飲み込まれながら、彼はこの世でもっとも愛しい者の叫びを聞いた。
これで、彼は私を忘れないだろう。
貴方を苦しめる道を選んだ私を、赦さなくていいよ。
さよなら。
「 イ シ ル ド ゥ ア ! 」
■E N D■
2003.10.5