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金剛になった女性 - 鎮守府Aの物語

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--- 7 提督を囲んで




 ある日の執務室。
「・・・で、俺はなぜ君たちに囲まれているんだ?」
 執務室の真ん中にいる提督の周りには、妙高と高雄を始めとして数人の艦娘たちが立っている。


「那珂ちゃんの第一ファンの提督にはぜひとも男を磨いてほしいと思ってね!」と那珂。
「あたしは面白そうだから那珂さんについてきたのよ。」と川内。


「私は記事の取材のためにいます。あぁ、でも司令官がかっこよくなってくれるのには興味ありますよ!」
 カメラと、ノート代わりのタブレットを持つ青葉。彼女がいるということはこのあと絶対ヤバイことになる、となんとなく恐怖を提督は感じていた。


「時雨たち、君らまでいるとはね・・・」時雨たちに気づいた提督がため息をつく。
「だって・・・夕や村雨さんが行こうっていうから。」照れながら時雨が言う。
「イケてるおじさまになってほしいし〜」と村雨。
「なってほしいし〜」とまったく悪びれた様子のない夕立。
「おじさん言うなよせめてお兄さんって言ってくれよ・・・」と涙声の提督。
「私達中学生からすれば33歳って十分おじさまよ。下手したらパパですもの。」
 辛辣な一言の村雨。
「わーい!パーパ!」村雨の最後の一言を無邪気に繰り返す夕立。


「五月雨、せめて君はこいつらを止めて欲しかったな。」
「だってだって・・・私も提督に協力したかったですし・・・」他の子に対してわりと真面目な思いで
 その場にいるのがわかり、提督はややほっとする。


足柄もいる。ガッツリ提督を見ている。
「私は会社の同僚として西脇くんがどうするどうなるのか気になるし。」
「黒崎さ・・・足柄さん。会社では絶対言わないでくださいよ・・・」と提督。
「さあて、どうしようかしらね〜」
 足柄こと黒崎冴子は西脇提督と同じ会社の(部署は違うが)社員である(羽黒こと黒崎理沙の姉)。変につながりがあるため、提督は正直言って足柄として鎮守府でも彼女と接しなければいけないのが苦手だった。


「まさか真面目な加賀さんまでいるとは。」
「私だって女です。今後の参考のために殿方がデートに挑むのにどう準備するのか知りたいだけです。ただ意見はさせていただきます。」
「赤城さんは?一緒じゃないのか。」
 普段つるんでいる赤城がいないことに気づく提督は聞いた。
「赤城さんは今日は本業の仕事があるのでパスです。」と加賀。


「おい隼鷹。この状況の責任とれよ。」と提督。
 ソファーに座って手のひらをひらひらさせている隼鷹。提督のほうは見ずに何か雑誌を読んでいる。


 その後その場にいるメンツで、提督の服のコーディネートやデートスポット、口数が少なく暗い雰囲気の、反応が薄そうな金剛に対してどう会話を展開させればいいかをあれやこれやと話し合っていた。


 少し時間が経ち、自席に座って話し合いを眺めている提督。そばには総秘書艦の五月雨と妙高がいる。
「俺はただ金剛と話せればいいだけなのに、なんかおおごとになりつつある気がする。」


「まぁまぁ。みんな提督のこと思ってくれてるんですよきっと。」
 ニコッと笑って優しくフォローする五月雨。
「目的がどうであれ、こうしてみんなで和気あいあいと話してお互いを思い合う。うちの鎮守府の事情にあった光景だと思います。早く金剛さんもこういう輪の中に入ってこられると良いですね。」
 妙高はこの鎮守府を取り巻く事情を含めて、今後の展望に期待を持ちながら言った。