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同調率99%の少女(5) - 鎮守府Aの物語

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--- 10 見学(最終)



 着替えが終わった那美恵たちはロビーに戻ってきた。五月雨は更衣室を出たところで那美恵たちと一旦別れて、提督を呼びに執務室へと向かっていた。
 ロビーでは、メモや写真の整理が終わって退屈そうにしている和子と三戸の姿があった。二人ともロビーのおしゃれなソファーで少しだらけて座っていたが、那美恵と三千花が来たのに気づいて和子は立ち上がる。

「あ、会長、副会長。」
「わこちゃんおまたせー」那美恵は右手を上げて和子に返事をした。
 四人揃い、ソファーのあたりに集まった。

「副会長、更衣室はいかがでした?」
 和子は三千花に尋ねてみた。
「よかったわ。内装のデザインは五月雨ちゃんに任されていたみたいで、カワイイデザインになってた。ちょっと興味深い話も聞けたから、あとでメモ書いておくから整理しておいてくれる?」
「はい、わかりました。」

「あー、更衣室見学したかったな〜」
「三戸くん、ほんっとにいいかげんにしましょうか。」
 目を細めて冷たい視線をぶつけて静かに怒りを伝える和子。冷ややかなツッコミすぎて三戸はビクッと引いてしまった。
 和子の怒りをなんとかやりすごすべく、三戸は話題を振る。
「そ、そういえばあの五月雨って娘はどっか行ったんですか?」
「うん。提督呼びに行ったよ。」さくっと那美恵は答える。

「しっかしあの西脇提督も羨ましいっすよね〜。身近に時雨ちゃんや夕音ちゃんみたいな可愛い中学生を4人もはべらせて。男なら夢の職業っしょ!?」
 煩悩丸出しで三戸はこの鎮守府の、総責任者である西脇提督を引き合いに出してうらやましがる。話題を変えてやり過ごしたつもりが、かえって火に油を注いでしまった。今度は那美恵も和子に加わる。

「あーのね……提督と一緒に仕事したからわかるけど、あれだけ歳の差ある人間を仕事で使うのって相当大変なんだと思うよ。提督の思いなんて聞いたことないしわかんないけどさ、提督はやましいこと考えないってあたし信じてるし、そんな暇ないと思う。あたしは提督のそういう誠実っぽいところ、s……」
頭をブルブルっと振ってその続きを発した。
「信頼してるんだからね。」

 那美恵が普段のおちゃらけなしで真剣に三戸に反論する。親友が珍しく怒気をまとっていることに少々驚いた三千花は那美恵をなだめつつ、三戸に釘をさした。
「まぁまぁなみえ落ち着いてよ。三戸くんはここ来てから舞い上がってるだけよね? なみえも毛内さんもそこ分かってリアクションしないと、疲れるだけよ。あと三戸くんはホントに反省なさい。」
「は、はい……。」

 3人を注意しつつ、三千花はさきほど親友が那珂として出撃デモしていたときに、提督から聞いた胸の内の言葉を思い出していた。

 人を使うのが苦手だと弱音を吐いた西脇提督。艦娘を娘や姉妹、友人のように接したいと言っていた提督。三戸が言い含めたように、提督も男なのだから少しはそういうことを考えることもあるだろう。けれどそこは大人なのだから、三戸とは違い言動にすら分をわきまえているはず。
 三千花はそう捉えていた。そして彼女は素の那美恵と違い、男は少しは下心もないと信頼できないと考えている。適度な、分をわきまえた付き合い。あまりに過ぎるのは三千花とて嫌いだ。
 さて素のところは純情な親友が果たしてこの先提督とどう関係進展するのか、三千花はなんとなく気になっていた。