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同調率99%の少女(5) - 鎮守府Aの物語

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 4人で話していると、提督と五月雨がさきほど那美恵たちが降りてきた階段とは別の階段から降りてきた。階段のふもとで五月雨と何か話し、そのまま反対方向へ行きある部屋に入っていった。一方の五月雨は那美恵達のいる場所に近づいてきて、4人を案内し始めた。
 案内されて那美恵たちが入ったのはロビーにほど近い会議室である。提督は入ってロビーに近い方の横のテーブル側に立ち、三千花を反対側に座るよう促す。那珂はあえて提督の横、五月雨の隣に座ることにした。
 全員座ったところで見学最後の工程を始めた。

「さて、ひと通り見ていただきましたが、いかがでしょうか?」
 感想を求められて三千花がそれに答えた。
「はい。今回は大変参考になりました。貴重なお時間を割いて頂いてありがとうございました。」
「それでは最後の内容として、これまで歩きながら話した鎮守府や艦娘制度の内容についてまとめてお話します。」
 そうして提督から、見学中に話された内容のまとめや、艦娘制度の具体的な内容と実情が語られた。三千花や書記の二人はそれを熱心に聞き、メモにまとめる。

「そうそう。これは最初に話しておくべきことなんでしょうが、鎮守府というのは正式名称ではないんですよ。」
「えっ?」
 提督が思い出したように言ったその一言に、三千花だけでなく三戸と和子も似たような一声をあげた。
「正式名称はもっと長いものなんです。"深海凄艦対策局および艤装装着者管理署"と言います。国の公式文書でもっぱら使われる正式な略称は、深海棲艦対策局○○支部というものです。」

「そうなんっすか!?それじゃあ鎮守府っていうのは?」
と三戸は何か感じるところがあるのかすぐに質問する。
「あぁ。国や公式文書ではそれらを使わないといけないのだけど、行政と実際の現場によくある齟齬みたいなものでね、それが本制度にもあるっていうことなんだ。もうすでに御存知の通り、現場である私や艦娘たち担当者は"鎮守府"という150年前にあった旧帝国海軍の基地の名称を使ったりします。」
「はは……正式名称言ってたら長いですしねぇ〜。でもその鎮守府っていう言い方で国とかで通じるんすか?」
「あぁ。普通に通じるよ。もうお役人さんも慣れてるみたいだしね。」

 三戸に続いて和子が質問をする。
「あの……それでは艦娘というのは?」
「はい。それも現場での略称です。正式な略称は艤装装着者。もっとちゃんとした名称もあるのですが、我々現場の管理者には艤装装着者という名称でよいと教えられてます。で、もっと略して艦娘。これもまぁその、国の人に対して使っても普通に通じます。艦娘という言い方の由来は俺は知らないけれど、他の鎮守府の管理者も皆そういう言い方をしていたので、俺も倣っているんです。」

「それじゃあ提督というのも……?」三千花が恐る恐る尋ねる。
「そうです。管理者である俺は、正式には深海棲艦対策局支局長、あるいは管理署○○支部の支部長という肩書です。これも現場では鎮守府という言葉のつながりに倣って提督、とか司令官などと自由に呼ばれているらしいから、これも俺は他の鎮守府に倣っています。」

 提督の説明が終わると、なぜか那美恵がドヤ顔で三千花らに言った。
「艦娘の世界の言い方おっもしろいでしょ〜?国の正式名称センスないんだなぁって思うよね。だって使ってないんだもん。鎮守府と艦娘って言い方最初に編み出した人に拍手だよ〜。」
 言い終わるやいなや空打ちで拍手をする。
 向かい側でおどけている親友(先輩)を見て苦笑いする三千花ら3人。代表して三千花がツッコんだ。
「なんでなみえがそんなに得意げなのよ。」
 親友のツッコミに那美恵はエヘヘと笑うのみだった。

 提督自身、制度にかかわる組織や役職の呼び方は教わったことだけでありこの時説明した以上のことは知らないのだった。深く突っ込まれても困るため学生たちが深く突っ込んでこないか心の中で身構えていたが、当の本人たちは関係ない方面で話を展開させていた。
 手を軽くパンパンと叩いて注目を引き、話を再開した。
「本当なら見学の最初にお話するべきことなんでしょうけど、まず皆さんには鎮守府の実際の設備や様子を見てもらいたかったのでね。見てもらいつつ、その都度その場に合った内容をお話したほうが記憶に残してもらいやすいかと思ったのです。」

 提督は自身も学生の頃は大人の長々とした話を黙って聞かされるのが嫌で、そういった思いを今の子供たちにしてほしくないという思いからそうしたのだと、三千花らは聞かされた。
「さて、他に質問等あればお答えします。何かありますか?」
 いくつか気になることがあったので三千花たちは質問し、提督から回答をもらった。