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なかのあずま
なかのあずま
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機動戦士Oガンダム

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第7話 リボー・コロニーにて・・・〜at the Ribo 〜



 マイクロ・アーガマが火星圏への航路に出てから早4ヶ月ほどが経過していた。
 エゥーゴ、ティターンズ、アクシズの三つ巴の動乱は終結し、ハマーン率いるアクシズはネオ・ジオンへと改称。地球圏は次のステージへ移っていた。
 「もうこんな経ってたのかぁ…許可はとれたか?」
 ジョブ・ジョンの手元のパネルにはJulyの文字があり、表示された航路図の行き先はサイド5、旧サイド6のリボー・コロニーを示していた。
 「えぇ、ですが…ネオ・ジオンの動きが活発になって来ているので長期の滞在は難しいとのことです」マーカーだ。
 「まぁ仕方ないな。OK!じゃあ予定通りに」
 宇宙世紀0079一月、一年戦争開戦直後にサイド6は中立宣言をし、現在まで変わることなくその立場を貫いている。変わったことと言えば、コロニー再生計画によるサイド6からサイド5への改称くらいだ。
 その中にあるリボー・コロニーは一年戦争時から連邦軍が施設を設けていた。安全面と物資の補給という点で最適の場所であり、彼らはそこで一時的な休息をとることになった。

                    ≠

 若い陽の光がコロニーの『河』から街を染めてゆくころ、時計の針は6時を指していた。
目覚ましのベルが鳴る。
 窓から差し込む日の光に瞼をこすりベルを止め、ベッドを抜け出して朝のニュースをBGMに朝食をとる。
 「ごちそうさま」
歯を磨き、身支度を整えて家のドアを開けて
 「行ってきます!」
朝靄に包まれながら深呼吸をして、彼の一日が今日も始まった。

                    ≠

「ふんふんふんふ〜んふふふ ふふふふ〜ふふん♪んっ?」
 クシナが鼻歌を歌いながら下船の支度を整えていると部屋のチャイムが鳴った。ドアの向こうにはタロがいた。
 「どしたの??」
 「なにしたらいいかわからなくてさ・・・オリガさんもここ最近ピリピリしてるし」<改ページ>
 タロはコロニーに降りる際の事を聞けずにいた。
 約4ヶ月間の殆どをマイクロ・アーガマという閉鎖空間で過ごしたクルー達の醸すその空気は、多感な年頃であればニュータイプでなくとも感じ取れてしまう。
 しかしクシナだけは別だった。
 クルーの中で安心できるのは、それを醸し出していないのは、戦闘時以外なら温厚で明るい彼女だけだ。
 というよりも彼女自身、それが近づくにつれ次第にテンションがあがっていた。
「ふ〜ん、じゃあちょっとコレ手伝ってよ!」
そう言ってクシナが指さした先には纏めきっていない荷物があった。

                    ≠

 リボー・コロニーのベイエリア、円筒の軸の端にある民間用でない専用の港へ、マイクロ・アーガマが誘導灯を頼りに入港していた。
「以上が規約になりますのでここにサインしてください」
 ジョブ・ジョンは被民間用ドックの役員の指示通りに滞在許可、入国許可などの誓約書にサインをして、
「あの〜、修理もなんですが補給の方を・・・」思わず小声で尋ねた。
 中立のコロニーである建前、いくら地球連邦配下と言えどネオ・ジオンが目を光らせている今、そのようなことには細心の注意をしなければならないのだ。
「あぁその件ですね。承っております」
 「よろしくお願いします。あ、それと」ヨーゼフ・クビツェクの軍への身柄引き渡しの件についてである。
 「そーですかぁ・・・・ちょっとこちらで確認してまいりますのでお待ちください」といって、このドックの主任はこの場を離れていった。

「我々はここで物資の補給などを行う。中立のコロニーだから敵の奇襲は無いと思われる。24時間後に出発予定だ、それまで一時解散とする!」
 マイクロ・アーガマクルーはブリッジを後にしていった。
「さて、俺たちはもう少し仕事をやらなくっちゃあな」

 クルーが下船していく中、タロは一人自室に籠っていた。<改ページ>
 「いた、行かないの?」
ドアが開き、クシナが立っていた。
 「気が向かなくってさ」
 タロにとってこのような場所を出歩いたのは十年近くも昔のことだ。あまり気乗りはしない。
 「じゃあ一緒に行こ!はいこれ入国許可証」彼女は白い歯を褐色の顔に浮かべていた。「リラックスした方がいいって!」

 クシナに引っ張られ特別管理区域の無重力ブロックの先にある埠頭まで来ると、眼下にはリボー・コロニーの大通りが広がっていた。
タロはそのあまりにも“ふつう”な街に、どこか懐かしさを感じていた。

 電気自動車と人々が行き交う普通の街

 やわらかな風の吹く、おだやかな街

 埠頭を出ると、街には夏の風が吹いていた。
「そっか、7月って夏だったっけ」
夏の陽光が降り注ぎ、行きかう人々は半袖の服を着て涼しげな恰好で歩いている。
「あたしの生まれたとこって今冬なんだよね」
 約4か月ぶりに思いっきり羽を伸ばせる事になり、そのような“些細なこと”はクシナの頭からすっ飛んでいた。
「いや〜まいったな〜…」タロはボロのジーンズ、クシナはレザーのジャケットという季節にそぐわない恰好で街に降り立っていた。
「ん〜〜〜・・・」
 クシナはタロの頭からつま先までをなめるように視ると、「よし!」と言ってタロをメインストリートの中へ引っ張っていった。

 「どお?」
 「うん。涼しそう」
2人は最初に目についた服屋に入り、クシナは試着室であれやこれやと選別していた。<改ページ>
 「似合うかどうか聞いてんのっ!」
 「あぁ、うん。似合ってるんじゃないかな?お店の人もそういってるし」
 「もういいっ!自分で決めるっ」
クシナは試着室のカーテンを勢いよく閉めた。
 三十分後、タロが窓ガラスからにぎやかな通りを見下ろしていると後ろから「どう?」とクシナの声がした。ふり返るとレモン色のワンピースを着た彼女がいた。
 褐色の肌と透き通る黄色のコントラストに、タロは目を奪われた。
 「…ねぇ、感想まってるんだけど」
口が半開きのまま惚けて何も言わない彼を少しじれったく感じる。
 「・・・・・・いいと、思う」
 「ほんとにぃ〜?まぁいいけど・・・って着替えてないじゃん!」タロは相も変わらずボロの出で立ちだった。
 「どうやったら盗れるか思いつかなくてさ」
 「・・・・・・・」
 タロが「今朝何も食べてなくてさ」というようなテンションでとんでもないことを言うのでクシナは愕然と溜息をついた。
 彼女は新たに服を買ってそれをタロに渡した。「はい、これに着替えて!」
数分後、においの染みついたボロボロの古衣からまっさらなシャツとジーンズ姿になると
「うん!いいじゃん!あ、これ捨てといてください」とタロのお古を店員に渡した。
 「え?!あっ、ちょっと!」
「どーせボロなんだからいいでしょ?」
 「いや、長いこと着てたし」
「そーいうのは捨てるものなの!いい?」
 「・・・・まぁいいか」と言いつつも中々腑に落ちない。
「断捨離よだんしゃり!ほら、時間ないんだからつぎ行かなきゃ!」

 いくらコロニーといえども季節は夏、大地と対角線上の空にある『河』と呼ばれる透過部分から差し込む太陽光がジリジリと大通りを照り付けていた。