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月刊アメフト・インタビュー8をめぐるアレコレ

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ヒル魔とまもり





「あ、載ってるよ、ヒル魔くん! これでしょ? このあいだ取材受けてたのって」
まもりが、最新号の月刊アメフトを掲げてみせた。
「ああ」
パソコンから視線を上げずにヒル魔は応える。
そっけない反応にもすっかり慣れっこになったのか、まもりはページをめくり、誌面を追い始める。
「ねぇ。でもこれ、チームの代表選手なんでしょ? なんでヒル魔くんなの?」
「テメー、さらっと失礼なことを言うな」
「だって……普通に考えたらセナじゃない? エースなんだし」
まもりはやや不満そうだ。
ヒル魔は溜息をついて、顔をあげる。
「あのな……。糞チビに行かせて、まともに受け答えができると思うか?」
「そんなの! わからないじゃない!」
返ってきたのは、心底呆れ果てたといった深い溜息。
「……何よ」
「ホンットーに、そう思うか?」
「う……」
「太陽だって番場じゃなくて原尾が出てるだろ。適材適所ってこった」
「それは……そうだけど……」
しかしそれ以上の有効な反論もできないようで、まもりは俯いて誌面に目を落とす。
カタカタ、としばらくキーを叩く音が響く。
やがて「っ、きゃーっ」とまもりの小さな悲鳴が聞こえた。
「? なんだよ」
ヒル魔は手を止めて顔を上げる。
「だって、これ、『好きな女の子のタイプ』なんて……ヒル魔くん、答えたんだ!」
「ワリィか」
「あ……でも……ふぅん」
まもりはわざとらしいしかめ面で、ふむふむ、と頷いている。
「んだよ」
「やっぱりヒル魔くんがまともに答えるワケないわよね。進くんのは天然だと思うけど、ヒル魔くんは計算ずくよね」
「……進のとこは何て書いてある?」
「『チームの一員としての誇りを持って動けることです』。で、記者さんの補足で、『これはマネージャーの条件でしょうか?』だって」
「ほお……。で、俺のとこは?」
「『使える女』。もぉ……。で、『これもマネージャーの条件でしょうか』だって」
「ほお」
「で? ホントのとこはどうなの?」
どうせまともな返答はあるまい、と思い込んでいるような、いかにもおざなりなトーンでまもりは問いかける。
ヒル魔はまたキーボードを叩き始める。
「俺は進と違って質問を取り違えたりしねぇ。そこにそう書いてあんなら、そういうこった」
わずかな沈黙。
「え……え?」
「何度も言わせんな、糞女」
「え? どこまでが『そういう』コト?」
「テメーで考えろ、糞女」
「だ……もお!糞女って言わないでよ!」

その後、まもりがかなり食い下がっても、ヒル魔はニヤニヤと笑うだけだった。


 了