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同調率99%の少女(7) - 鎮守府Aの物語

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--- 4 生徒たち、教師たち



 作業すること数日、人数的な面もあり、あまり大規模な展示にはできなかったが、パネル数枚、配布用の説明資料多数、写真や映像を表示するためのタブレット2台を設置しての展示規模になった。視聴覚室は仕切りによって4部屋に分割できるようになっているため、そのうちの一部屋を展示に、もう一部屋に川内の艤装を置いて、同調を試せるように各展示を取り付ける。
 提督が来る日の前日までにリハーサルと称して一度全ての展示を取り付け、4人と生徒会顧問の先生の5人で練習が何度か行われた。

「……ということです。」
 副会長である三千花によるパネル紹介がやや小声で行われている。別の一角では書記の二人が配布資料の枚数チェック、それから写真や動画用のタブレットのコンテンツ表示の最終チェックをしている。
 そのまた別の一角では生徒会顧問と那美恵により、翌日以降の展示の手順や終了時の撤収のてはず、スケジュールの確認が行われていた。

 その前の日には、那美恵から各学年の学年主任を通して各組へ、艦娘部設立のための部員募集展示の宣伝用資料が配布、あるいは高校のウェブサイト、SNSの高校のページにて掲載が進められており、事前の宣伝への根回しも抜かりはなかった。


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 一方で教師側では、提督が校長に交渉に来た翌日から、ある一つの話題である種不穏な空気になっていた。艦娘部の顧問にすべき教師を選出しなければならないためだ。国とは言うが、鎮守府と名乗るよくわからない団体と学校が提携するのに、なぜ部活が必要で学校側の責任を一手に任されなければいけないのだと、教師たちには不満や疑問の声を上げる者もいる。校長と教頭から説明があったにもかかわらず、彼らの態度は2〜3ヶ月前となんら変わっていなかった。
 艦娘というのが何をするのか、漠然としかわかっていない教師ばかりのため、押し付け合いにすら発展しないほど、?が頭に浮かんで思考停止になりかけている状態である。30年前以前の海の様子と今の様子を知る、一定の世代の教師は初期の艦娘のことを多少知っているためか、あんな危険な戦いに関わりたくないという考えを持っている。

 そんな中、ほとんどすべての教師が艦娘部という新設の部の顧問にふさわしいと推薦という名の全員一丸の押し付けにより選ばれたのが、教師になってまだ2年目の、ある女性教師であった。
 その女性教師は教師陣では一番年下だ。いまだフレッシュさを前面に押し出して精力的に活動している、誰からも頼られている熱血教師……と自分では思っているが、その実生徒たちからの評価は本人の思い込みとは全然違う方向に振り切れている。本人の能力的には良い物を持っているのだが、それを発揮できるだけの考えや立ち居振る舞いができていないのが、ウィークポイントな教師だ。

 その教師の担当は1年生の国語の副担当。1年の学年主任と教頭から呼び出され、艦娘部の顧問になってほしいという依頼を受けた。
 その瞬間彼女は、ついに自分が教師仲間からも頼られる時がキター!!と心の中でファンファーレを鳴らして喜びに心沸かせた。それはやや、というかモロに表情に表れているのに本人はまったく気づいていないが、ともかく喜びに沸いた表情でもって、二つ返事で艦娘部顧問を承諾した。


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 別の日、生徒会室と視聴覚室を行き来して展示の最終準備をしている那美恵たち。視聴覚室で那美恵と三千花の2人が作業していると、学年主任の先生ともう一人、女性教師が視聴覚室の扉をノックして入ってきた。

「あ、先生。何か御用ですかぁ?」
 那美恵は学年主任に尋ねる。
「光主さんに伝えたいことがあって来ました。よいですか?」
「はい。」
 返事をして学年主任の先生らを招き入れた那美恵。そして学年主任の先生は那美恵たちにもう一人入ってきた先生を前に出して紹介してきた。
「このたび新設される艦娘部の顧問が決まりました。関係各位への案内は後日しますが、先に光主さんに紹介しておきますね。」
 学年主任のセリフのあとに、もう一人の教師が自己紹介し始めた。

「はじめまして!1年生の国語の副担当をしてる、四ツ原阿賀奈です。光主さんたちは確か2年生だったよね?だから会う機会はなかったと思うから、これからよろしくね!!」
 無駄に声甲高く元気いっぱいに自己紹介してきた四ツ原先生を目の前にして、那美恵と三千花はその妙な気迫にあっけにとられつつも、至って平穏に挨拶しかえした。

「「よろしくお願いします。四ツ原先生。」」
 担当の学年が違うとはいえ生徒によろしくと言われて嬉しくて仕方がない四ツ原先生は満面の笑みでその大きい胸を張って那美恵たちに挨拶しかえし、頼れるお姉さん・先生であることをアピールする。
「まっかせなさーい!先生が顧問になるからには、もー!ビシビシ部活指導するからね〜!」
 なんとなく妙な感覚を覚えた那美恵と三千花は四ツ原先生とその場でそれ以上話をする気はなく、適当に話を流したのち、作業の追い込みがあるからと強制的に話を終わらせた。


「なんか変なテンションの先生だったわね……。なみえあの先生のこと知ってる?」
「ううん。だってあたしたち2年だし。直接授業習わないでしょ。」
「そうだよね。特に噂とか2年生の間では聞かないから、あの先生どういう先生なのかサッパリ。だけど……」
 三千花は言葉の先を言わずに那美恵をジーっと見つめる。見つめられて眉をひそめて?な顔をする那美恵だが、冗談っぽく頬を赤らめて照れるフリをする。
「やだぁ〜なになにみっちゃん?急に見つめられるとほれてまうやろー」

「気づいてるんでしょ?せっかく私がフったんだからそれにノッてよね。……こっちがはずかしいわ。」
「はーいはい。で、なぁに?」
「……気づいてないのかい。あーもう。……なんとなくだけどさ、あの先生なみえに似てない? 変なテンションとか。」
「へ? ……ひっどーい!あたしあんなに無駄に大声出すテンションしないよぉ!」

 親友からの突然のからかいに対し、頬をふくらませてプリプリと怒る那美恵。自分がからかうのはいいが、他人、特に親友からからかわれるのは少々許せないところがある。
「ゴメンゴメン。許して、ね?」
「ブー。帰りに何かおごってくれたら許してあげるよぉ。」
 三千花とは逆のほうを向いて声だけで反応する那美恵。
「はいはい。おごるから機嫌直しなさいよ。」
「やった!だからみっちゃん大好きー!」

 もちろん本気で怒ったり嫌がっていたわけではない。三千花が折れたとわかるとコロッと態度を変えて彼女の腰回りに抱きついて那美恵は甘える。10秒くらい抱きつかれてさすがにうっとおしくなったのか、三千花は那美恵の額を押してなんとかまとわりつきを解除する。
 二人ともひとしきりイチャイチャ(那美恵が一方的に)したあと、この場での作業を終えて生徒会室に戻っていった。