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堀内とミオ!
堀内とミオ!
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ヘレナ冒険録

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[ミゼルとセリアス]  『マリーちゃんに連れられてきたお城の先にあったのは緑魔法の研究施設。表から見える廃城の姿は、まるでカモフラージュであるかのようだ。一体なんのために?』



「ワクワクしてくるでしょ!? ここはね、ミシディアの魔道士でも選ばれた人間しか入れないところなんだ。今はボクしか使ってないけどねっ」
「そうなんだ! じゃ、ここにある書きかけの資料は昔のものじゃなくて、マリーちゃんが?」
「えへへへへ……。最近まで研究してたのが、ミゼルくんとセリアスちゃんっていうこの国最初の緑魔道士だよ! この二人、おもしろいんだー。まったく同じ環境で訓練されたはずなのに、まったく違う最期を遂げたみたい」
「興味深いわね。どう違ったんだろ」
「ミゼルくんは死ぬまで感情を表に出すことがなかったみたい。そもそも、緑魔道士って、そういう風に育てられるんだ。機械のように適切なサポートをする、ただそれだけの目的で作られた魔道士なんだよ!」

 さしずめ人造魔道士、といったところか。それにしても、恐らくマリー自身もそうであるだろうに、笑顔で言ってのけるとは、どういう精神力をしているのだ?

「対照的に、セリアスちゃんはそんな育てられ方の違和感に気づいて、国を出ていったんだって! 支援魔法しか知らない人が外の世界に一人で出るなんて、誰も思わなかったんだろうね。結局見つかっちゃって、暗殺されたみたいだけど」
「暗殺!? なんでそんなことに……」
「緑魔法はミシディアの国家機密だからねー。でもセリアスちゃんは戦争じゃなくて、魔物討伐とかに協力してたみたいだね。そのおかげで、一部の冒険者は緑魔法を使えるようになったっていう噂だけど」

 戦争兵器としての緑魔法が、セリアスという人物が命を賭して支援してくれたおかげで、冒険者の活動の幅が広がったようだな。ヘレナよ、無関係だと思っていた緑魔道士の歴史も、どうやらそうではないということらしいぞ。このマリーとの出逢いも、もしかすると何かの縁かもしれんな。

「セリアスって人は、冒険者の支援をしてくれていた……。それなのにどうして、殺されなければいけないの? ……!? マリーちゃん! あなたは! あなたは大丈夫なの!?」

 そういえばそうだ。この子もグランシェルトまで出てきていたではないか。

「ボクは大丈夫だよ! なんたって、極限緑魔道士だからねっ!」
「それなら良かったけど……」
「そんなことより、ボクが注目したのはセリアスちゃんの心境の変化なんだ! どうして国のいいなりになってたはずのセリアスちゃんが自分の意思で、危険を承知で人助けをするようになったんだろうってね」
「もしかして、何かロマンを見つけたのかな!?」

 そう、ロマンだ。ロマンを見つけた人間は、身の危険も顧みずに突っ走るものだ。……って、マリーは上の空のようだぞ。

「緑魔法で強化した人間が弱りきった敵を倒すとき、感じるはずなんだ。圧倒的な快楽、悦楽をねっ! でも人間は『もっと』を望むんだ。その先には、何があるんだろう!? えへへへへ……。考えただけで、体中がゾクゾクするよ! きっとセリアスちゃんは、それを知ってしまったんだ」
「マリーちゃん……?」
「ヘレナちゃん。キミにも超越者の感覚を知ってほしいんだっ! そう……人間は誰だって、世界を見下ろしたいだけなんだよ」
「え? それはどういう……」
「百聞は一見に如かず、だよねっ!」

このマリーという少女、なぜ笑顔でそんなことが言えるのだ? 一体彼女は、どういう生い立ちだったというのだ。おっと、またヘレナの手を取って走り始めたか。今度はどこへ連れていこうというのだろう。また空間転移魔法陣か。着いた先は……だだっ広い何もない部屋のように見えるが、奥に何かいるぞ。

「こ、この魔物は……!?」
「皇帝の異名を持つ、ベヒーモスくんだよっ! 圧倒的な攻撃力と最強の魔法を使うレアな子なんだ。この子を今からキミは、打ち倒すんだ。ボクの緑魔法で、極限まで強化してね!」
「ちょ、ちょっと! どう見ても私の力じゃあんなの……。って言ってる間にもう強化されてる。いいわ! マリーちゃん、あなたのロマンに付き合ってあげる! その代わり、ちゃんと私のロマンも感じてよね!」

 これは冒険家が相手にするような魔物じゃないぞ、ヘレナよ。それでも君は、与えられた困難を乗り越えるのだな。それは君自身の成長のためでもあり、マリーに対する義理でもあるのだろう。吾輩は見届けるぞ。



作品名:ヘレナ冒険録 作家名:堀内とミオ!