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妖夢の朧な夢日記-aoi

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静かに歩調を乱される



紅魔館の廊下は長くて入り組んでいる事で有名だが、それは従者の能力によって作り替えられているとのこと。十六夜咲夜の力は空間をも捻じ曲げる。時間とは空間で、空間とは一室で、一つの部屋。空間の中に作られた建物の中の部屋。彼女は空間をも操ってしまう。しかし、それは彼女が元気であるからできる事であって、彼女が機能していない今は外から見た通りの廊下と化している。文も、多分私も彼女によって作り替えられた空間に慣れてしまっている為、いつもよりも迷宮であった。

「本当にこの道で合っているのか怪しいわね……」

この通り、頻繁に紅魔館に侵入していると聞いた事がある文さんでも、右往左往している。引かれる私はどうかといったら、当然のことだが分かる訳がない。ここ数か月の記憶が曖昧なのもある。何もできずに同じ道をグルグル回る。困り果てている私達に、見知った声が飛んでくる。

「あら、文に妖夢……なんでここにいるのよ!……と、言いたい所だけど特別に許してあげるわ。何用?」

蝙蝠の翼に、薄い赤色をあしらった衣服。特徴的な帽子。
紅魔館の当主、レミリア・スカーレットだった。

「咲夜の部屋に行きたいんです」

咲夜……その名前を聞いた瞬間に、かっ、と目を見開いたレミリアさん。少しの間俯いて思考を巡らせた後、改めて私達に視線を向けた。

「分かったわ。私の後についてきなさい」

ふいっ、と顔を別方向に向けると、迷いなく歩を進めていった。それに続こうとすると、文さんが我先にと方向転換をして、私を引っ張る。離せとも言わないのか。ブラウスは良いのか。まぁ、伸びる生地ではないのだから……大丈夫だろう。何故だろう。この妖といると自然にペースを掻き乱される。決して良い事ではないのだが、今は構わない。友人と再会するのに、緊張は要らない。



作品名:妖夢の朧な夢日記-aoi 作家名:桜坂夢乃