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MEMORY 死神代行篇

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 アホか、と言い捨てる一護に、シュリーカーは憤り、シバタにした仕打ちをペラペラと喋り始めた。怒りに冷静さを失うと踏んだのだろうが、一護は元より憤っていたのだ。

「喧しいっ! さっさと地獄に堕ちろ!」

 低く恫喝する一護に、シュリーカーは慌てて小物虚からヒルを放ち一護にぶつけようとするが、一護は軽く躱し飛びついてきた小物を切り捨てる。

「へっ! 切り口から溢れたヒルもちゃんと使えるんだぜっ!」

 言って舌を鳴らす。爆発が起こり粉塵が吹き上げるが、もうもうと立つ煙の中から何のダメージも受けていない一護が姿を現す。

「んなっ⁉」

 馬鹿な、と呟くシュリーカーに、一護はうっすら凄みの効いた笑みを浮かべる。

「死んですぐさま虚になるなんて、生きてた頃から虚と同じバケモノだったって事だ。そんな奴はさっさと地獄に逝きなっ!」

 啖呵を切った一護にヒルを投げ付けるが、一護は手で掴んでしまう。一護の体に着いた好期とみて開いたシュリーカーの口の中に、一護はヒルを掴んだ手を捻じ込む。

「どうした? 自慢の舌を鳴らして爆発させてみな。鳴らさねぇの? ヒルを爆発させるのと、くだらない虚言と狂人の科白をペラペラと喋る以外には、何の芸当も出来ない舌なら………」

 だったら、と一護は低い声で続ける。

「そんな物は要らないよなぁ⁉」

 言い様、一護は力任せに掴んだシュリーカーの舌を引き抜いた。
 シュリーカーは悲鳴を上げてのた打ち回っているが、一護は容赦なく追い打ちを掛ける。
 翼になっている腕を切り落とし、地面を這い摺るしか出来ないようにしてから、足を薙ぎ払い逃げる事すら出来ないようにする。

「少しは味わえてるか? 力なく逃げる事しか出来ない恐怖ってものを。散々お前がやってきた事だ。生前の言い掛かりでシバタに罰とやらを与えるとかぬかして、自分の欲望をばら撒き続けた間、相手はこれよりも酷い思いを散々したんだ。この先、その意識が消えるまで、地獄でたっぷりと苦しむんだな!」

 言って、一護はその顔面に斬魄刀を突き立てた。
 醜いシュリーカーの悲鳴と共に、巨大な扉が現れる。
 骨がその扉を抱え込むような意匠の扉の奥から、クシャラナーダの剣が伸びてシュリーカーを串刺しにして扉の奥へ引き込み、静かに扉は消えていった。
 霊感のない茶渡は、一護の姿を視る事が出来なかった為、魂葬を終えて体に戻った一護を問い詰める事もしなかった。事情は何も理解らなくとも、問い詰めようとしてこない茶渡に、ルキアはうっかり記換神器を使うのを忘れた。



作品名:MEMORY 死神代行篇 作家名:亜梨沙