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MEMORY 死神代行篇

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08,決意





 あれこれと調べ物をしていた浦原は結局夜明け近くまで掛かってしまった。
 屋敷(と呼ぶに相応しいほど奥は広くなっている)の中で今の時間に起きている者などまだいない時間帯なのだが、誰かの気配がする。
 探ってみると一護だ。
 足音を立てないように霊圧も控えめになるように静かに動いている。
 浦原の部屋の前まで来て足を停めたので、浦原は立って行って障子を開けた。

「オハヨウゴザイマス、黒崎サン。」
「! おはよう、浦原さん。」
「どうかしたんスか、こんなに早く。」
「や、私は常もの起きる時間なんだけど、浦原さんは未だ寝てないかな、と思って。」
「おや、まぁ………。」

 この子供は浦原の活動時間帯まで把握しているのだろうか。

「で、なんスか?」
「勉強部屋貸して貰って良い?」
「いいッスよ。」

 店先まで来て三和土を上げた浦原が、一護を死神化させようとすると、一護はそれを遮った。

「黒崎サン?」
「生身でどこまで動けるか確かめたいんだ。状態に拠っては死神化しないで誤魔化したいんだよ。」
「……ああ、なるほど。」
「一番の問題は、私が自分の力量を正確に把握出来るかどうかだと思うからさ。」

 一護が眉を顰めて下手糞な笑顔を浮かべる。
 浦原は黙って地下勉強部屋への入口を開いてやった。
 一護は昨日着ていた動き易い服装で地下部屋へ降りて行った。
 浦原は、一護が梯子を下りきるまで見守ると、一護が梯子を登ろうとした時点で解ける結界を設定した。
 地下へ降りた一護は、浦原が結界を張った気配を感じて霊圧を上昇させる。
 応えるように、斬月と天鎖が姿を現す。

『随分霊圧のコントロールが効くようになったじゃねぇか。』
「これは完現術の方だよ。滅却師としての能力も関係してるだろ?」

 斬月に窺うように小首を傾げると、斬月の口元が小さく歪む。

『生身でいながら俺らを具現化するたぁな。』
『何をしたいのだ?』
「生身で迅く動けるか試したい。滅却師の技に飛廉脚ってあったよね?」
『私に滅却師の技を教えろというのか?』
「まさか。私の力の本質は死神のものと完現術だろ。」
『判ってんじゃねぇか。』

 天鎖が皮肉気に嗤う。

「ルキアの中に浦原さんが崩玉を隠したのは“記憶”の通りなんだ。なら、浦原さんが尸魂界を追われた現状がある以上、あの男の目的はルキアの中から崩玉を取り出すってのは同じだろ。放っておけばルキアは殺されて、護廷の連中は男の正体に気付かない儘に逃げられる事態になる。」
『奴の気性じゃあ、態と正体を明かしていくと思うぜぇ。』
「気付いた者をみんな殺してから、ね。」
『知り合ってもいねぇ奴の命を惜しむのか?』
「護廷が戦線離脱して、仮面の軍勢が加わろうと。浦原さん達と私と父だけで対処出来る相手じゃないんだよ。」
『敵の敵は味方ってか?』
「石田にも言ったけど、同じ敵を前にして一人じゃきつい。だから力を合わせる。協力関係なんてそんなもんで良いじゃん。」

 純粋にルキアを助けたいという思いもある。
 尸魂界に出向くのは、あの男の正体を護廷隊の前に引き摺り出す事も勿論だが、一護自身を戦力として数えさせる為でもあるのだ。

「天鎖。白打で相手して。生身だから寸止めで宜しく。」
『そんな甘い意識で良いのかよ?』
「時間がないんだ。多分今日って言うか、日付が変わったら白哉との対決が待ってる。怪我したら治す暇ない。どう対処するか対策を練る為に今の自分の実力を把握したいんだよ。協力して。」
『天鎖。』
『ちっ! 判ったよ。』

 一護は斬月と天鎖の具現化を維持した儘で、自分の体に霊力を流すよう心掛けながら動き始めた。霊圧で鎧う事は出来なくはない。初めて此処で力を高めた時にやってのけたからである。だが、維持した儘で動き回った事はない。
 天鎖は寸止めという条件は面白くなかったが、その分スピードを上げた。
 “記憶”の中で一護少年は、この時点では白哉の動きは見えず瞬歩の存在さえ知らなかったが、一護は偶然とはいえ瞬歩を使えてその感覚を覚えている。瞬歩の感覚を再現する心算で霊力をコントロールしながら、天鎖を相手に白打で遣り合う。
 走り、跳び、駆ける。
 天鎖の攻撃を一方的に受けているだけになってしまうが、それでも短時間で天鎖の動きを追いきれるようになってきた。
 天鎖の攻撃を避け続けていたが、脚が縺れて転んでしまう。

『そこまでだ、』

 斬月の声が掛かり、天鎖が舌打ちをする。

「スタミナ切れだぁ。天鎖ぁ。なんで舌打ち?」
『こんな程度でコケるようなやわな奴が俺らの王なのが気に入らねぇんだよ。』
「無茶を言うな。今の私は生身なんだぞ。それに私はまだ成長途中なんだ。身長伸ばす為に余分な筋肉は着けたくないんだ。」
『ヘェへぇ。』

 一護の抗議を聞き流す天鎖に、一護は唇を尖らせる。斬月は苦笑してその様子を見守っている。

『動いてみた感想はどうだ、一護?』
「ん~~。阿散井恋次が記憶通りなら相手出来るけど、白哉は絶対無理だな。」
『なんだよ、隊長様は限定霊印受けてるんだぜ?』
「それでも、瞬神・夜一の弟子なんだぞ。今の私が生身で相手したら瞬殺されるのがオチだ。」
『死神化したらどうよ?』
「瞬歩が出来る感覚は判るけど、浦原さんに相手して貰って………どれだけ通用するか次第だな。」
『通用しなかったら?』
「石田がちょっかい出さなきゃ見て見ぬふりだ。」
『……きつそうだな。』
「………自分が不甲斐ないよ。」

 一護はぽつりと言って、斬魄刀達の具現化を解いた。


作品名:MEMORY 死神代行篇 作家名:亜梨沙