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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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第8話 小百合とリコがテストで勝負!? 商店街ではハチャメチャバトル!?


「校長先生、何かわかったんですか?」
 校長の机の前にみらいとリコがそろって立っていた。質問したリコが校長の言葉を待つ。
「何もはっきりとはしていないが、リズ先生が興味深い仮説を唱えたので、それも含めて聞いてもらおうと思ってのう。まずは魔法界の歴史に触れてみよう」
「魔法界の歴史だったら、教室でも勉強してるね」
 みらいが何気なく言うと、校長が彼女を見て穏やかに話し始める。
「これから話すこと学校では教えてはいない。魔法学校ができるよりも前の魔法界の古(いにしえ)の歴史に関することだ。歴史家でも目指さぬ限りはこの知識に触れることはない」
「魔法界の大昔の歴史!? わくわくもんだ!」
 興味津々のみらいが落ち着くのを待って校長は話し始めた。
「最古の魔法界では理想郷が広がっていたといわれておる。君たちから以前に聞いた魔法界とナシマホウ界が一つであった頃の世界によく似ておる。だが、そんな平和な世界が唐突に闇の魔法に支配されてしまうのだ」
「闇の魔法って、そんなに大昔からあったんですか?」
 みらいの質問に校長が答える前にリコが言う。
「闇の魔法の大元はデウスマストの眷属が魔法界とナシマホウ界が分かれると同時にばらまいたのだから、大昔から闇の魔法が存在していてもおかしくはないわ」
「そっかぁ、そうだよね」
 みらいはもうわくわくが抑えきれないとう様子で校長に近づく。
「それで、闇の魔法に支配された魔法界はどうなるんですか!?」
「闇の魔法から生まれし黒き竜が人々を脅かし恐怖に陥れる。対抗するために魔法つかいが集まり、聖なる白き竜を召喚する。光と闇の戦いは百年にも及び、2体の竜は相打って共に滅んだが、ついに闇の魔法は打ち破られて封印されるのだ」
 楽しそうなみらいの隣で、リコも知らない話だったので真剣に聞いていた。
「実はこの最古の歴史の成り立ちはあまりにも不自然であり、魔法界の歴史で最大の謎と言われておる」
「別に不自然なところはありませんでしたけど」
「話で聞いただけではわからぬ」
 校長が右手を広げる錫杖のように長い杖が現れる。校長はそれを取ると一振りした。
「キュアップ・ラパパ、本よここへ」
 校長室の奥に並んでいる本棚から数冊が浮遊して次々に校長の机の上に積まれた。どれも色あせていて相当に古そうな本だった。校長は杖を床に立てて言った。
「これらの歴史の書を紐解くと歴史のつなぎ目に不自然な部分がある事が分かる。今までに魔法界にいた全ての歴史家がこの問題にぶつかり、証拠を探し求めた。しかし、まだ何も見つかってはいない」
「えっと、話が難しくてよく分からないんですけど……」
 みらいは確信の部分が見えなくてやきもきしていた。
「そうじゃのう。分かりやすく説明すれば、古の歴史と闇の魔法の歴史との間には境目が存在しないのだ。まるで本のページが白から黒に変わるように世界が一変する。古の歴史が終わる時に何があり、どのようにして闇の魔法の歴史が訪れたのか分かっておらん。多くの歴史家が、古の歴史と闇の魔法の歴史の間に隠された歴史が存在すると推察(すいさつ)しているが、何千年も謎のままなのだ。研究者の間では虚無(きょむ)の歴史と呼ばれておる」
「そこでわたしは考えたのだけれど」
 校長の横に立っているリズが話し始める。
「虚無の歴史が存在すると仮定して、何も証拠がない事が証拠になるんじゃないかしら」
「どういうこと?」
 リコが怪訝な表情をすると、リズは微笑して言った。
「本当にその歴史があるとすれば、何千年も証拠が見つからないなんておかしいわ。でも、証拠となる物が意図的(いとてき)に消されたと考えると、色々なものがつながってくるのよ。例えば、あなた達が前に見た謎のリンクルストーンとかね」
「それって、小百合たちが持ってたリンクルストーン? なんでそれがつながるの?」
 みらいが言っている脇で、リコは何かが分かりかけてきていた。
「あのリンクルストーンも謎だらけで何も分からない、校長先生でさえなにも……」
 下を向いて考え込んでいたリコが、あっと思って顔を上げる。
「虚無の歴史には証拠がなにもない、あのリンクルストーンも何も分からない。この二つは似ているわ。もしかしたら、虚無の歴史とあのリンクルストーンは関係があるのかも」
 穏やかにリコを見守るリズの表情には喜びがあふれていた。それに気づいたリコは、胸の辺りが温まるように感じる。
「さすがね、リコ。リンクルストーンは魔法界を象徴する存在よ。伝説にないリンクルストーンがいくつもあるなんて、どう考えても不自然だわ。でも、それらのリンクルストーンに関する記憶が意図的に消されたのだとしたら」
 リズがそこまで言うと、静観していた校長が口を開く。
「もしこれが真実だとすれば、何者かが歴史を消し、リンクルストーンの伝説を改ざんしたことになる。しかし、今の段階では仮定にしかすぎぬ。二人とも、一応この話を覚えておいてもらいたい」
 その時、魔法学校にチャイムが響いた。
「話は以上よ。そろそろ授業が始まるわ、二人とも急いでね」
 リズに急かされると、みらいとリコは校長室を出て走って教室に向かった。途中で二人は教頭先生に睨まれて走るのを止めて早歩きになった。

「いやデビ! 小百合と一緒に行くデビ!」
 図書館で早朝の勉強を終えた小百合の前でリリンが駄々をこねて転がっていた。机の上をゴロゴロ行ったり来たり、小百合は小さな子供を持つ母親の気持ちが分かるような気がしてきた。
「そんなこといったって、ぬいぐるみを持って教室に入るわけにはいかないわよ」
「大丈夫デビ! なにも問題ないデビ! モフルンは毎日みらいと一緒に教室にいるっていってたデビ!」
 それを言われると困る。しかし、今日が小百合の転校初日のようなものなので、あまり目立ちたくなかった。
「お願いだから少しだけここで待ってて、一時間目が終わったらすぐに迎えにくるからね」
「……分かったデビ。リリンは小百合に見捨てられた傷心(しょうしん)のあまり家出するデビ」
「またそんなこと言って……」
 小百合が大きくため息をつく。この勝負はリリンの勝ちらしい。

「みなさん、今日から一緒に勉強する新しいお友達を紹介しましょう」
 授業を始める前にアイザック先生が言った。教室が静まり返り、みんな新たなクラスメイトの登場を待った。すり鉢を半分に割った型になっている教室の上の方から小百合が少し早い歩調で階段を下りてきた。何人かの男子生徒は小百合の横顔と水が流れるように輝く黒髪に見とれていた。しかし、それ以上に目を引くのが抱いている黒猫のぬいぐるみである。小百合は仕方なしにアイザック先生に許しをもらって、リリンと一緒に教室に入ってきたのだった。
 教室には教壇をぐるりと囲むように長い机が配置されている。小百合が教壇の前に立ってとんがり帽子を取ると、彼女に視線が集まった。
「モフルン!」
「リリン、おはようモフ」
 リリンが小百合の腕から抜け出して飛びあがる。教室中の生徒が固まり、モフルンとリリンが出会ったところで大騒ぎになった。
「ああ、もう、こうなるから嫌だったのよ」