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女体化ジルヴェスターの災難~ドレッファングーアの暇潰し~

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過去の来訪 3



 ローゼマインの奇行の中ではまだ低レベルなせいか、殆ど驚きもせず、答えるジルヴェスターの近くで、フロレンツィアとカルステッドとエルヴィーラがしょうがない子と言わんばかりの目で苦笑したが、ローゼマインには伝わっていない。
「娘…。」
「フェルディナンド様?」
 過去のフェルディナンドがポツリと呟いたが、小さくて届かない。
「どうするのだ?」
 今のフェルディナンドが過去の自身に尋ねる。
「…似ているのか? ジルヴェスターに。」
 だが過去のフェルディナンドは全く違う質問を返す。やや面食らいながら、今のフェルディナンドは答える。
「ローゼマインか? そうだな、ジルヴェスターの悪い面が似ているな。私に似た面もある様だが。」
 少しムッとしながらも、そんな事を何故聞くのかと思ったローゼマインは、ハッとした。
「あの、私、養女ですよ。」
(もしかして実子と思われた? 髪色同じだし。)
 過去のフェルディナンドはその言葉を聞いて、目を軽く見開くと、ジルヴェスターとローゼマインとを見比べる様に視線を動かし、ある一点で止める。
「ローゼマイン、マントですよ。」
 フロレンツィアがその一点に気付き、指摘する。
「え、あ! 養父様、申し訳ありません!!」
 養女と実子ではその扱いに差があっても当然。マントに刺繍するのは家族か、夫婦になる婚約者である。この2点の常識を顧みれば、ローゼマインのジルヴェスターのマントを握る行為は異質である。尤もこれは今更ではある。
 立場が変わり、呼び名が変わる事実に慣れず、全体領主会議において、まるで呼び方が変わる反動の様に、エーレンフェストの隣に座り、フェルディナンドの腕を掴みながら、空いた手でジルヴェスターのマントを握っていたのだ。
 注意しなかったのは、上手く隠れていて、周囲から見えなかったからだ。
 …尤も気付いた領地もあったのだが…。
 それはともかく、照れ隠しの様に今のフェルディナンドに凭れたローゼマインをそっと支える姿は、過去のフェルディナンドに衝撃を与えた様だ。
「……私は…、ジルヴェスターと話がしたい…。」
 過去のフェルディナンドの答えに、やり取りを控えて見ていた周囲の中、過去のユストクスやエックハルトはそれならばと、エーレンフェストへ向かおうとしたのだが、それは過去のフェルディナンドによって、止められた。
「其方等は未来の情報を集めてくれ。」
 その言葉を聞いて、2人はアレキサンドリアの周りへ留まった。