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Never end.2

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Never end.2


〈敵機接近!キュベレイ他10機、モビルスーツ隊はスタンバイ!〉
アムロを始め、モビルスーツ隊がノーマルスーツに着替え、デッキに集合する。
「キュベレイは俺が抑える、他の10機はあまり戦闘経験のないパイロットだ。フォーメーション2でエルとルーが敵を撹乱し、ジュドーとビーチャが落とせ。モンドとイーノはジュドーとビーチャのフォローだ」
「なんで10機の戦闘経験があまり無いって分かるんですか?」
イーノの素朴な疑問に、アムロが一瞬驚いた顔をする。そして、少し困った顔をしてジュドーに視線を向ける。
ジュドーもまた、アムロと同じように感じていた。
知っている訳ではない。“解る”のだ。
それこそがニュータイプ能力なのだが、アムロにとってそれは当たり前の事であり、何故と言われると、どう答えていいか分からなかった。
「…すまない、解るとしか言えない。俺の言葉を信じてもらえないか?」
「え…」
戸惑うイーノや他のメンバーの後ろから「信じます」と、ジュドーが答える。
「ジュドー?」
「アムロ大尉はいつだって俺たちが生き残れるように教えてくれた。その大尉が言うんだから俺は信じるよ」
ジュドーの言葉に、他のメンバーが少し戸惑いながらもコクリと頷く。
「そうだな」
そう答えると、皆ヘルメットを手に各自の機体へと向かった。
最後までその場に残ったジュドーに、アムロが視線を向ける。
「ありがとう…ジュドー」
「いえ、俺も同じように感じたので」
「そうか…、よし、行くぞ!」
「了解!」

全機がモビルスーツデッキを飛び出し、敵機へと向かっていく。
〈全機に告ぐ!何があってもアーガマに帰艦するぞ!〉
アムロの言葉に、全員が〈了解〉と返す。
その返事を聞き、アムロは「よし!」と頷くと、全機を引き連れ戦闘宙域へと向かった。

それを艦橋からブライトが見守る。
「モビルスーツ隊、随分動きが良くなりましたね、流石アムロ大尉だ」
トーレスの言葉に、ブライトは少し顔を顰めながらも、「そうだな」と答える。
「艦長?」
そのブライトの微妙な反応に、トーレスが疑問の声を上げる。
「いや、いい事なんだがな。アムロが少し気負い過ぎてる気がしてな」
自分は大人なんだからと、全てを背負おうとしている気がする。
子供達を、過去の自分の様にしたくないという想いが強いのだろうが、それではアムロが保たない。
ただでさえ後遺症がまだ残っていると言うのに…。
ハサン医師による検査の結果、思った以上にアムロの身体には後遺症が残っていた。
しかしそれを誰にも言うなと、アムロに口止めされた。
隊長に問題があれば、隊員達に不安が広がり隊列を乱し兼ねない。
ようやく形になってきた隊員達に、要らぬ不安を与えたくないと言われた。
そう言われてしまえば、それを受け入れるしかなかった。


戦闘宙域まで来ると、前方に敵機の機影が見える。
〈全機散開!ビームが来る!〉
アムロの指示で全機が散開すると、さっきまでいた場所にビームの嵐が降り注ぐ。
「ヤッベェ!死ぬとこだった!」
ジュドーが思わずこぼした一言に、全員がゴクリと息をのむ。
アムロの指示が無ければ、今の攻撃で何機かはやられていた。
ここは命のやり取りをする戦場なんだと、改めて自覚する。
〈気を引き締めていくよ!〉
エルの呼び掛けに、全員が小さく深呼吸をして背筋を伸ばし、精神を集中させる。
〈〈了解!〉〉
各機はアムロの指示通りの作戦で敵を倒していく。
「本当にアムロ大尉の言った通りだわ…このパイロット達、あまり戦闘慣れしていない…」
ルーが思わず呟く。
それは、他のメンバーも感じていた事だった。
「これならいけるぞ!」
調子に乗ったビーチャとモンドが編隊から少し先行して攻撃を仕掛ける。
「おい!バカ!ビーチャ、モンド!編隊を乱すな!やられるぞ!」
ジュドーが叫ぶが、二人はそれを無視して飛び出していく。
それに、キュベレイと対峙していたアムロも気付く。
「ビーチャ!モンド!あいつら!」
〈私を相手に余所見とは余裕だな!〉
サーベルで撃ち合うキュベレイの、ハマーン・カーンが接触通信でアムロに話し掛けて来る。
しかし、流石のアムロでもファンネルを搭載したニュータイプ専用機を駆るハマーンを相手に余裕など無かった。
「貴女相手に余裕なんてないさ」
〈ほほう…〉
余裕な笑みを浮かべるハマーンが、ファンネルを放出する。
『クソっ!ファンネルか』
アムロのディジェが一旦キュベレイから離れてファンネルを撃ち落としていく。
〈アムロ・レイ、なかなかやるな!〉
すると、一機のファンネルがアムロとは違う方向へと銃口を向ける。
「何!?」
その先にはビーチャの百式がいた。
「まずい!ビーチャ!避けろ!」
〈え!?大尉!?〉
その瞬間ファンネルからビームが放たれる。
『クソっ!間に合うか!?』
アムロは咄嗟にファンネルの前へと回り込み、そのビームを自身の機体で受け止める。
「くっ!」
ディジェの右腕が吹き飛び、コックピットにも激しい衝撃と共に破損したパーツが飛び回る。
「痛っ!」
飛び回った破片がヘルメットのバイザーを破り、アムロの頬を傷つけた。
〈アムロ大尉!!〉
アムロのフォローに入ったジュドーが、キュベレイのファンネルを撃ち落とし、ハマーンを威嚇する。
〈大尉!大丈夫ですか!!〉
「大丈夫だ!」
被弾したとはいえ、アムロのディジェとジュドーのZZを相手にするのは不利と判断したハマーンが撤退していく。
それを見送りながら、アムロは各機の状況を確認する。
「各機無事か?」
〈〈はい!無事です!〉〉
「ビーチャは?」
〈お…俺も大丈夫です…〉
「そうか…良かった…。よし!帰艦するぞ!」
〈〈了解!〉〉
各機が順次アーガマへと着艦する。
全員が着艦したのを確認して、アムロのディジェもデッキへと着艦した。
コックピットから降りてくるアムロを見上げ、ジュドー達がギョッとする。
「アムロ大尉!!」
アムロのヘルメットのバイザーが割れ、その顔からは血が溢れていた。
みんなの元まで行き、アムロがヘルメットを外す。
「大尉!血が!」
「ああ、大丈夫だ。破片で少し切っただけだ」
慌ててエルが、タオルをアムロの頬に当てて止血をする。
「ありがとう」
それを見ながら、ビーチャがバツが悪そうにアムロの元へと歩いていく。
「あの…アムロ大尉…すみません…」
頭を下げるビーチャの頭を、アムロがクシャリと撫ぜる。
「だから言ったろ?編隊を乱すと狙われるって。今回は運が良かったが、次はないかもしれない。肝に命じておけ!」
「はいっ!」
ビーチャがビシッと背筋を伸ばし、アムロに向かって敬礼する。
と、そこにブライトが姿を現わした。
「アムロ!」
「ブライト?」
意外な人物がモビルスーツデッキに現れた事に皆が驚く。
足早に近付いてきたブライトが、アムロの顔を見るなり、思い切り不機嫌な顔をする。
そして、怪我をしていない方の頬を思い切り殴りつけた。
「わぁ!」
勢いで倒れそうになったアムロを、ジュドーが咄嗟に支える。
「艦長!?」
アムロを始め、その場にいた全員が驚いて目を見開く。
「痛っ…何する!?ブライト!」
作品名:Never end.2 作家名:koyuho