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Never end.2

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「なんで殴られたか分からんか!?」
理不尽なブライトの行動に、アムロがブライトを睨みつける。
「分かるかよ!」
「さっきのアレは何だ!」
「さっきのって…?」
「ビーチャを庇ったアレだ」
「え?ああ…?」
「お前が身体を張らなくても、側にいたジュドーでフォロー出来ただろう?何であんな無茶をした!」
「アレは…!大人の俺が子供を守るのは当然だ!」
「お前はコイツらをバカにしてるのか?」
「はぁ!?そんな訳ないだろう!」
「それじゃ、コイツらをもっと信じろ!」
そう言われて、アムロは言葉に詰まる。
確かに、あの時ジュドーの存在に気付いていた。おそらく自分が身を呈して庇わなくても、ジュドーが対処出来たかもしれない。
しかし、どうしても子供を危険に晒すことは出来なかった。
「しかし!」
「言い訳をするな!」
「何だと!?」
ブライトとアムロの険悪なムードに周りが騒つく。
「大人が子供を守らなくてどうする!?」
アムロの言葉に、ブライトが盛大に溜め息を吐く。
「お前は何様のつもりだ?」
「はぁ?何言ってる!」
ブライトの言いように、アムロも苛立ちを隠せない。
「アムロ、コイツらはあの時の俺たちとは違う、充分戦えるし、大人はお前だけじゃない!俺だって他のクルーだって大勢居る」
「っ…!」
「お前の気持ちは分からんでもないが、何でも一人で背負い過ぎるな!」
「なっ!」
ブライトの言いたい事は理解出来るが、気持ちが追い付かない。
自分はただ、ジュドー達を自分たちの様に、大人の都合で振り回したく無いだけだ。
その為に、大人である自分が多少の無理をするのは当然だと思う。
「別に一人で背負ってるつもりなんて無い!当然の事をしているだけだ!」
「当然の事?部下を庇って、そうやって怪我をする事がか?休みだってろくに取ってないだろう?自己管理も出来ずに甘ったれるな!」
「今回のは俺の指導の問題だし、対応が遅れただけだ!体調だって問題ない!」
収まりそうもない二人の言い争いに、それを見かねたアストナージが間に入る。
「艦長、とりあえずアムロ大尉の手当てを…出血も止まらないみたいですし…」
よく見ると、傷に当てたタオルがみるみる血に染まっていく。
アムロは薬の影響で血も止まりにくいのだ。
それに気付いたブライトが、自身を落ち着かせる様に大きく息を吐く。
アムロはまだブライトを睨みつけたままだが、ブライトは少し冷静さを取り戻す。
「アムロ、とりあえず少し頭を冷やせ。エル、すまんがアムロを医務室まで連れて行ってくれ」
「ブライト!」
「大尉!行きましょう!」
エルに強引に腕を引かれ、アムロは持っていたヘルメットを床に叩きつけて背を向ける。
アムロがデッキを後にすると、ブライトは大きな溜め息を吐く。
そして、二人のやり取りを呆然と見つめていたアストナージやジュドー達に気付く。
「ああ、すまんな。頭に血が上って冷静さを欠いていた。皆ご苦労だったな」
「いえ…それにしても…アムロ大尉があんなに感情を露わにするのを始めて見ました」
アストナージの言葉に、皆が頷く。
「そうだな…あいつも大人になったしな。最近は随分落ち着いていた。でも昔はずっとあんな感じだったぞ。いつも俺に反抗して怒鳴りあってた」
一年戦争当時を振り返り、ブライトが苦笑いをする。
あの時はお互いまだ、大人になりきれない子供だった。
自分は上からの命令を遂行する事を優先し、あいつはその理不尽な扱いに憤慨しながらも、生き残る為に戦い続けた。
「アイツは…ずっと、大人を恨みながら戦い続けていた…。俺も、上からの命令を遂行する為、嫌がるアイツを殴ってでも出撃させていた」
「え…?」
ホワイトベースの武勇伝を、メディアを通してでしか知らない皆は、その内情に絶句する。
「そうなんですか?」
「ああ、だからだろうな、自分が大人に守って貰えなかった分、大人になった自分は、お前達の事を守ってやらなければと思う気持ちが強い」
「でも、確かにアムロ大尉は無理しすぎだと思う」
ブライトの言葉に、ジュドーがボソリと呟く。
「そうですね…整備の方も、メカニックの手が足りない時は進んで手伝ってくれるんです。なまじ腕が良いもんだから、俺たちもついつい頼ってしまって…」
アストナージが髪をクシャクシャとかきながら、反省の声を上げる。
「まぁ…整備の方はアイツの趣味だ。寧ろ気分転換になってるところもあるから、無理がない程度に好きにさせてやってくれ」
その言葉に、ルーがクスリと笑う。
「何だかんだ言って、艦長が一番アムロ大尉の事を解っているんですね」
「まぁ、長い付き合いだからな」


医務室に着いたアムロは、ハサンの手が空くまでエルに傷の手当てをして貰っていた。
「血が止まりませんね…。そんなに傷は深く無いと思うんですけど」
「ああ、俺はちょっと血が固まり難いんだ。もう少ししたら止まると思うから」
とりあえず、消毒をしてガーゼで傷口を押さえる。
心配げに自分を見つめるエルに、傷の事だけでなく、さっきの事が気になっているのだと気付く。
「さっきは…みっともない所を見せて、すまなかった」
「え…いえ、そんな…ただ…ちょっとびっくりしました」
「ははは、ブライトが相手だと、つい反抗心のが先立って、素直に受け入れられないんだよ。ブライトが心配して言ってくれてる事は分かってるんだが…」
「昔からああなんですか?」
「んーそうだな。親父に殴られた事は無いけど、ブライトには何回か殴られたなぁ。それこそ“甘ったれるな”ってさ」
クスリと笑うアムロに、エルも少しホッとした表情を浮かべる。
「ふふ、艦長ってお父さんみたいですよね。私たちは親が出稼ぎとかで出て行っちゃって、あまり親と接していないんで…なんか艦長を見てると、父親ってこんな感じかなって思います」
「そうだね」
二人、顔を合わせて笑い合う。

「アムロ大尉、待たせたね」
そこに、他の患者の処置を終えたハサンが顔を出す。
「いえ、すみません」
ハサンがアムロの傷を診て少し眉を寄せる。
「気をつけて下さいね。大尉は薬の副作用で血が固まり難いんですから」
「あ…はい。すみません」
「被弾したんですよね?」
そう言いながら、ハサンがアムロの背中を軽く叩く。
「痛っ!」
「ああ、やっぱり。打ち身もありますね。出撃直後はアドレナリンの影響で、あまり痛みを感じないから気付かないんですよ」
「あ~、そうかも」
「上脱いで下さい」
「はい」
アムロがノーマルスーツの上を緩め、アンダーシャツを脱ぐ。
その背中を見ると、赤く変色していた。
「痛そう…」
思わずエルから声が漏れる。
「悪いがエル、この湿布を貼ってくれないか?」
ハサンに頼まれ、アムロの背中に湿布を貼っていく。
その背中を見ながら、エルは驚く。
アムロの身体には、かなりの数の傷痕があった。
新しいものから、古いものまで。
特に、右腕の傷は何かが突き刺さった様な酷いものだった。
「大尉の身体って、結構傷痕があるんですね…」
「まぁ、長い事軍人やってるとね。それに昔のコックピットのシートは今ほど良いのじゃ無かったから、出撃の度に何処か怪我してたな」
作品名:Never end.2 作家名:koyuho