Fool on the Planet
「・・・へ?」
「わ」
結構通い慣れてしまった石の階段をのぼりきり、顔を憶えられてるらしい門番さんに軽くご挨拶。
さて、と。一歩を踏み出そうとして、2人は思わず出た一声と共に足を止めてしまった。
くりん、と通ったばかりの門を振り返り、
「・・・司令部、襲撃でもあったワケ?」
警備の兵士に聞いてみるが、何故か皆一様に微妙な笑いを浮かべるだけ。しかもひらひらと軽く手を振って、「ちょっとな」で済まされてしまった。
ちょっと?
ちょっと何なんだろう、コレは。
ここは、常であれば四大司令部の一角、東方全域の総管轄を務める司令部として、独特の空気に包まれている、のだが。
今現在、見渡せる惨状も、何か凄い独特ではあった。
死屍累々。
まさに状況的には見た目そんな感じ。
「って・・・何だこりゃ」
本部である建物までの広場のあちこちに、無造作に転がる軍人たちってのは初めて見た。
皆それぞれが適当な方向に散らばっていて、そこに規則性もなんも見当たらない。
ちなみに別に皆生きてるし、怪我しているワケでもない。ただ、転がっているだけだ。
真ん中にぽこっと開いている大穴がちょっと気にならないでもなかったが、何か重火器使用したような破片が散らばってるわけでもないので、無視。
「あれ?…あれフュリー曹長、だよね?」
その倒れている諸々の中に半ば埋もれている顔見知りを、目ざとく弟が見つけた。よし、これで状況の把握くらいは出来るかな。
転がってる軍人たちは皆身動き一つしないで倒れてるから、一応踏まないように避けながら2人はフュリーの元にたどりついた、のだが。
思わず半目になってしまった。
「・・・曹長まで何やってんの?」
そんな札持って。
1度目の呼び掛けには彼は微妙に眉を寄せたが、黙って妙に姿勢良く地面に転がったままだった。
「フュリー曹長?」
2度目の呼び掛けには、彼はぱちりと目を開いて、軽く手を上げる。
「・・・おかえり、2人とも。でもゴメン、まだ時間内だからちょっと待って」
そうしてまたすぐ目を閉じてしまった。
「はぁ・・・」
生返事を返してしまったが、フュリーは相変わらず地面に伏したままだ。よくよく辺りを見てみると、転がっている皆さんは一様に、ぞんざいに書かれた札を下げている。しかも堂々と、
『死亡』
とか書いてるし。
何だこのろくでもなさは。
しかもそのうえ何かいい加減なモノを感じるのは気のせいか。
「何やってやがんだ、一体・・・」
心底呆れたように溜め息をついて、エドワードは睨み付けるように司令部を振り仰いだ。
「わ」
結構通い慣れてしまった石の階段をのぼりきり、顔を憶えられてるらしい門番さんに軽くご挨拶。
さて、と。一歩を踏み出そうとして、2人は思わず出た一声と共に足を止めてしまった。
くりん、と通ったばかりの門を振り返り、
「・・・司令部、襲撃でもあったワケ?」
警備の兵士に聞いてみるが、何故か皆一様に微妙な笑いを浮かべるだけ。しかもひらひらと軽く手を振って、「ちょっとな」で済まされてしまった。
ちょっと?
ちょっと何なんだろう、コレは。
ここは、常であれば四大司令部の一角、東方全域の総管轄を務める司令部として、独特の空気に包まれている、のだが。
今現在、見渡せる惨状も、何か凄い独特ではあった。
死屍累々。
まさに状況的には見た目そんな感じ。
「って・・・何だこりゃ」
本部である建物までの広場のあちこちに、無造作に転がる軍人たちってのは初めて見た。
皆それぞれが適当な方向に散らばっていて、そこに規則性もなんも見当たらない。
ちなみに別に皆生きてるし、怪我しているワケでもない。ただ、転がっているだけだ。
真ん中にぽこっと開いている大穴がちょっと気にならないでもなかったが、何か重火器使用したような破片が散らばってるわけでもないので、無視。
「あれ?…あれフュリー曹長、だよね?」
その倒れている諸々の中に半ば埋もれている顔見知りを、目ざとく弟が見つけた。よし、これで状況の把握くらいは出来るかな。
転がってる軍人たちは皆身動き一つしないで倒れてるから、一応踏まないように避けながら2人はフュリーの元にたどりついた、のだが。
思わず半目になってしまった。
「・・・曹長まで何やってんの?」
そんな札持って。
1度目の呼び掛けには彼は微妙に眉を寄せたが、黙って妙に姿勢良く地面に転がったままだった。
「フュリー曹長?」
2度目の呼び掛けには、彼はぱちりと目を開いて、軽く手を上げる。
「・・・おかえり、2人とも。でもゴメン、まだ時間内だからちょっと待って」
そうしてまたすぐ目を閉じてしまった。
「はぁ・・・」
生返事を返してしまったが、フュリーは相変わらず地面に伏したままだ。よくよく辺りを見てみると、転がっている皆さんは一様に、ぞんざいに書かれた札を下げている。しかも堂々と、
『死亡』
とか書いてるし。
何だこのろくでもなさは。
しかもそのうえ何かいい加減なモノを感じるのは気のせいか。
「何やってやがんだ、一体・・・」
心底呆れたように溜め息をついて、エドワードは睨み付けるように司令部を振り仰いだ。
作品名:Fool on the Planet 作家名:みとなんこ@紺