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結果的には悪夢で合ってた

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現実以上に良く回る口だと思いながら、僕は心中穏やかではなかった。だって完全に、油断していた。安心していた。
観察を決め込んだその時から、僕は自分の立場を最大限に生かすつもりでいた。ダラーズの存在しないこの世界では、最大の壁になるであろう臨也からの接触もないだろうと高を括っていた。そう、高を括っていたのだ。喜んでいたのだ。臨也には現実ですっかり疲れ切っていたから、関係のないこの夢の中では自由にはばたける気さえしていたのだ。それが今どうか!



1時間目は特別教室での授業のようで、気がついた時には教室には僕と臨也さんと門田さん以外、残っていなかった。最後の頼みの綱である門田さんも、だから言ったろ、と言わんばかりに呆れた顔をして、ついには教室を出て行ってしまう。
僕は焦った。最高に焦った。今世紀最大の焦りだった。だって既に、手が、臨也さんによってきつく拘束されていたからだ!



「竜ヶ峰くん、竜ヶ峰帝人くん、俺はたった今君にとっても興味を持ったから、君の事を色々教えて欲しいんだ!・・・良いだろ?」



良いよね?と有無を言わさぬ笑顔で臨也さんがもう一度僕に顔を寄せる。この人夢の中でもこうなの。そして僕も、夢の中でもこの人につきまとわれるの。
一つ前の席から腕だけ延ばした臨也さんが、今もはっきりと思い出せる写真のような笑みを浮かべて、これからよろしくね帝人くん、と甘い声で囁いた。
僕はやっぱりあんな写真を見せた現実の臨也さんを恨みながら、早く目が覚めますようにと、祈るように目を閉じた。






(結果的には悪夢で合ってた)