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愉快犯・世界の週末

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S彼・沖銀

※ちょっと破廉恥


 裾を強引に引かれ、中途半端に腰が曲がり、前倒れ気味な体勢はとても足腰に宜しくない。
 文句言ってやろうとするものの、口を熱烈な接吻で塞がれていてどうしたことか。
 ハチミツ色の頭を掴んで、違った抵抗を行うがなんとも無意味。……意外に力が強かった。
 こうなったらされるがままだ。

「ンん、うっ、う、はぁっ」

 なんて、言ってられない。
 最初は触れるだけだったくせに、段々と濃厚になってきた。
 舌を絡めとりながらも、時折上唇を甘く噛んでくる。何かを口にしようとすると、歯列を割って厭らしい舌が侵入してくる。飲み込めなかった唾液が互いの顎をとろとろと漏れ流れてゆく。
 相変わらずいつも激しい接吻、まあ、ちゅー?
 酸欠になっても放してくれない沖田くんは本当に年下なのか(スゴいテクニシャンなんだよ)?
 やっぱりSだよね…(乳首をつねってくるし、器用なヤロウだ)。
 思考を色々な方向に張り巡らせていると、ついつい気が逸れてしまう。それを咎めるよう、容赦なしに千切れると思うぐらい乳首を捻り上げられた。

「イッ、……っ」
「余所見は禁物でさあ」

 にぃと唇がつり上げられる。

「あ゛ぐ、い、痛いいたいたいた!」

 このS。普通のS通り越したハイパーS。
 キスどころではなくなり、痛みと酸欠で涙目ながらまな板上の魚みたいにのたうつ。
 こっちの気知らず、生粋のサディストである彼はとても楽しそうだ。睨みつければまた更に力が増した。

「ありゃ、勃ちやせんね」
「った、りまえだ……ノ、ヤロー」

 突然股間を撫で上げられ、不本意にも動揺してしまう。

「可愛いでさぁ」

 頬にキスが落とされた。
 身を任せるのはなんだか癪に触る。身体に絡んだ手が離れる瞬間、無防備な沖田くんの唇に悪戯。
 ぽかんとした表情は最高だ。

「銀さん、タダでヤられる男じゃないから」

 呆然とした相手に笑んで首を傾げて見せる。
 不意にくすりと笑った沖田くんはくしゃりと髪を握り込む。

「――最高でさぁ、旦那は」
「だろ?」

 沖田くんは最高に良い笑顔だ。
 俺は応えるように、自分よりちょっとだけ小柄な彼に腕を回した。

fin
作品名:愉快犯・世界の週末 作家名:智壱