田中トムの恋愛相談所
その時、感は鋭いと自負しているトムに、ひとつの考えが浮かんだ。
「なるほどな」
何事か会話する二人の様子を眺め、トムは驚いたものの納得いったと気付かれないように笑った。
気さくに話しかけている門田に対し、静雄の相槌はぶっきらぼうだ。
だが、トムには違って見えた。
トムの目には、静雄の尻に、引きちぎれんばかりに振られる、犬の尾が見えた。
「こりゃ一筋縄じゃいかねえかもな」
なんにせよ、静雄が人並みの恋愛をしようというのだから、トムにとっては喜ばしいことだった。
作品名:田中トムの恋愛相談所 作家名:かなめ@シズドタ