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僕は誰にも言わないよ!

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 さてさて、雲雀は悩んでいた。目の前で寝込んでいるライバルである六道骸をただ見ていることしか出来ないことに。おまけに雲雀は骸のある秘密を知ってしまったのだ。
 それは突然、骸が倒れてしまったことによる。綱吉の依頼で任務に出ていた帰り。ぐったりとして額には吹き出た汗、熱い吐息に雲雀は慌てて骸を抱き抱え、近くのホテルに連れていったのだ。
 何を隠そう、雲雀は骸を好敵手とする以外に、誰にも知られてはいけない感情を抱いていた。骸が倒れた時、必要以上に慌ててしまったのはそのためだった。
 苦しそうな骸に、せめて汗だけでも拭き取ってやろう(決してよこしまな考えを抱いていたわけではないと断言出来る)と骸の服を脱がせた時に、雲雀は一つの違和感に気付いた。
 服の下には包帯がきつく胸の辺りを巻いていた。雲雀は骸が怪我をしたという話も聞いていなかったし、骸本人もそんな素振りは見せていなかったと思うので、そこに包帯が巻かれていることがおかしいとしか思えなかった。
 骸は人とはズレたファッションセンスがあるため、骸にとってこれが見えない部分のお洒落なのだという考えへ最終的に至ってしまった雲雀は、それを躊躇なく解いてしまったのだ。

「……嘘でしょ」

 現れたのは、圧迫から解放された形のいい豊満な乳房。雲雀は本来骸に在るはずのない物に驚きを隠せず、微動だに出来ない。視線すら逸らすことが出来ず、自分の心臓がバクバクと経験したことのないくらい飛び跳ねていることだけ実感出来た位だ。

(骸が女? 僕と対等に渡り合える彼が? 否、今は彼女か。でも、待って、え?)

 男にはない物を見ても、骸が女だなんて、雲雀は信じられなかった。これは骸の質が悪い悪戯なんじゃないかと、やけに詳しくなった幻術の知識で形跡を探すのだが見つからない。
 暫くしてやっと冷えた頭に、骸の乳房をずっと見つめていたことが急に恥ずかしくなって、雲雀は慌てて視線を逸らした。自慢じゃないが、雲雀は女に興味はなかったし、骸と出会って10年、骸だけを想いその気持ちを必死に押し隠していたので、実際に女の躯を直視したことはなかったのだ。この歳で童貞なんて、と思いもするのだが、骸以外の人間にどうしても興味が沸かなかったのだ。
 確かに、骸が女だなんて願ってもいない展開だ。自分の気持ちをを素直に伝えることが出来るけど。