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俺のこと、忘れないでー!

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いよいよロシアのドイツ訪問が近づき、ルートが一段と忙しく仕事の段取りをしている最中、フェリシアーノがいつものように無邪気な顔をして近づいてきたかと思うと、いきなりとんでもないことを言い始めた。
「ねえ、ルート、ルート、俺のお尻みたい?」
「なっ・・・!」
 瞬時に顔面沸騰状態で硬直、思わず絶句したルートは手に持ったファイルを取り落とし、あたりは書類の海と化した。

「・・・大丈夫、ルート?」
 フェリシアーノが驚いて書類を拾うのを手伝おうとすると、
「さっ、触るな!・・・なっ、何考えてるんだ、お前は昼真っから!」
「・・・えっ?・・・な、何で──?」

 ルートは焦って思わず心にもないことを口走ったものの、言った瞬間に後悔する事になった。フェリシアーノの異常な気配に気が付いて、書類を拾う手を止めて目を上げると、床に座り込んだ彼の目にはすでに涙が溜まっていた。
「フェ、フェリシアーノ、その・・・」
「うっ・・・、お、俺・・・やっぱり、好きだと思ってるのは俺だけで・・・ルートは俺のことなんか・・・」
 言葉尻は嗚咽にかき消されて聞こえなくなってしまった。

「す、すまん、フェリシアーノ、そうじゃないんだ・・・」
 ルートはどうしていいか分からずおろおろするばかりで、フェリシアーノはと言えば、すっかり泣き崩れてしまい、ルートの声もすでに耳に入る様子ではない。
 床にへたり込んでぼろぼろ涙をこぼすフェリシアーノを見ているうちに、ルートの理性は瞬間的にどこかへ吹き飛んでしまった。

 ──俺にはこんな時にうまい言葉なんか見つけられない、すまないフェリシアーノ!

 言葉にすればそういうことになるのだろうが、その時は意識するより先に体が動いていた。
 口に出しては何も言わずに、いきなり座り込んだままのフェリシアーノを抱き上げると、ルートはそのまま近くの部屋へ連れ込んでしまった。
 部屋に入るとそこにあったソファーにフェリシアーノを下ろし、慌ててドアを閉めると彼の元に取って返して、突然の成り行きに呆然とするフェリシアーノにそのまま覆いかぶされるようにして、いきなり貪るように唇を奪い始めた。

「・・・・・・う、んんっ・・・!!」
 突然のルートの蛮行に目を丸くしたものの、フェリシアーノが恋人からの激しい要求に夢中になるのにたいして時間は掛からなかった。
 流れていた涙はじきに止まり、今度は彼の方から積極的に求め始めた。
 キスに夢中になるうちに、ルートは思わずフェリシアーノのネクタイを緩めて、上着のベルトをはずし、気が付いた時にはすでにシャツのボタンをはずしに掛かっていた。
 シャツが開くと待ちきれないように彼の胸に手を這わせ、器用な指で胸の敏感な部分を探りに掛かる。

「・・・あ、ああっ・・・い、やっ・・・」
「好きなんだ、お前の事が。もうどこにもやらない、二度と離さない、誰にもやらない。お前は俺だけのものだ・・・」
 生来朴訥で、愛の言葉を口にするなどできっこないと信じていた自分が、矢継ぎ早やに、こんなにストレートな言葉を口にするとは自分でも信じられなかった。まるで自分が自分でなくなったみたいだった。
 しかし、これまで押さえていた分、余計に何もかもが一挙に噴出したのか、思いも言葉も行動も、すべて考えるより先に奔流のように迸り、自分でも、もはや押し止めることができなかった。

「あ・・・ああっ・・・ル、ルートっ・・・あ・・・」
 ルートの手はいつしかフェリシアーノのズボンのベルトを外し、ファスナーを下げに掛かっていた。

「・・・や、や・・・だ・・・」
 すでにフェリシアーノの目は潤み始めていた。
「何が嫌だ?」
「・・・あっ・・・!・・・だ、だって・・・ああっ・・・こ、こんな・・・と、ころで・・・」
「許してくれ、フェリシアーノ。もう押さえることができそうもない」
「で、でもっ・・・!」
「・・・もう、手遅れだ」
 再びルートの口付けがフェリシアーノの言葉を奪ってしまった。そして・・・




「・・・おやっ?」
 廊下を通りかかったのは菊だった。
「これはどうしたことでしょう、書類がこんなに散らばって・・・」
 菊は先ほどルートが床にばら撒いたままの書類を拾い集め始めた。 廊下一面書類の海だ。
「これはルートヴィッヒさんのじゃないですか?大事なものでしょうに、どうしてこんなところに・・・」
 しきりと独り言を言いながら、手に持った箒を側に置いて書類を拾い集めていく。

「・・・まさか、何かあったのでしょうか?」
「ルートヴィッヒさん、どこです?ルートヴィッヒさん!」
「大丈夫ですか?何かあったんですか?!」
 菊は辺りを見回し、大声でルートの名前を呼び始めた。




 フェリシアーノを奪うのに夢中になっていたルートだったが、菊のその声で、突然憑き物が落ちたように理性を取り戻した。
「ん?ああっ!・・・な、何やってるんだ、フェリシアーノ!は、早くしまえっ!」
 気が付くと目の前には胸を半分はだけて、ズボンも半分ずり落ちたような姿のフェリシアーノがいた。
 正確にはルートの下に、と言うべきだろう。ルートはソファーに横たわったフェリシアーノの上にのしかかっていた。

「・・・え、な、何?・・・どうしたの?・・・ルート?」
 フェリシアーノはまだ半分とろんとしたような目をして、ぼんやりとルートを見つめている。
 
 瞬間的に自分が今まで何をしようとしていたのか思い出して、ルートはパニック状態になりかけた。
 ──お、俺か?俺がやったのか?嘘だろう?誰か嘘だと言ってくれー!!!

 そうこうする内にも、菊の声がだんだん部屋に近づいてくる。
「どこです、ルートヴィッヒさん、大丈夫ですかー?」

 ──だから、掃除はしなくっていいって言っただろう!いいから早く帰れ〜。
 じっと息を殺して菊が立ち去るのを待ちながら、ルートは焦って心の中で泣いたり、叫んだりしていた。

「・・・ルート、どうしたの?」
 フェリシアーノはまだぼんやりして全く状況を把握してないと見える。
「しっ!お前は静かにしてろ」
 間違っても本田にこんなところを見せる訳にはいかないと、慌てて黙らせると、急いでシャツのボタンを留めて、ズボンを履かせる。くしゃくしゃになってしまったが、それはもうこの際仕方ない。

「ルートぉ〜、ネクタイが結べないよ・・・」
「いいから黙ってろ、今俺が結んでやるから」
 普段は何でもないことも、焦ると中々思ったようにいかない。ルートの額には脂汗がにじんできた。


「ルートヴィッヒさん、ここですかー?」また菊の声が聞こえてくる。
 各部屋のドアを総当りで調べようとしているようだ。

 ──ああっ、もうしょうがない!出て行くしかないか・・・
 ルートは覚悟を決めた。ネクタイは結ばずに、胸のボタンもひとつ二つわざと外したままにすると、フェリシアーノの目をじっと見て話しかけた。
「いいか、フェリシアーノ、俺の言うことを良く聞くんだ」
「・・・?うん」
「お前は気分が悪くなってこの部屋で横になっていたんだ、分かるか?」
「そうなの?」
作品名:俺のこと、忘れないでー! 作家名:maki