ボンノー・エブリディ
「そういや、新しいコスプレなのに写真は撮らなかったのか?」
「見てなかったの? ボッケボケね。ちゃあんと撮ってあるわよ」
ハルヒが見せてきたのは古泉執事が俺にかいがいしく給仕している様であった。長門に紅茶を出しているものもあるが、長門が視線すら向けない為になんとも奇妙なショットに見える。これしか撮ってないのかよ。
デジカメのディスプレイに映った古泉がいつもより三割増しに笑顔が明るく、非常に幸せそうな雰囲気が漂っているのが、イヤだ。
「消しとけ」
「いやよ。あたしも今日は忙しくて撮影会できなかったし、これで一旦保存用とするわ」
「保存するな! なんで古泉の写真は俺と一緒のとこしか撮れてないんだ」
「あんた達、ずっと一緒に居るんだもん。必然よ必然。他にはみくるちゃんと一緒に紅茶の準備してるとこぐらいだけど、後姿しか撮れなさそうだし撮ってない」
自分で「撮らなかったのか」と聞いたくせに、実際に撮ってあるとこうもへこむ結果が待ち受けているとは。
「これはあんたじゃなくて古泉くんの写真なんだから、もし許可を取れって言うならちゃんと古泉くん本人に取るわよ」
ハルヒの一言で我に返った。
言われてみればそれは古泉の写真であって、一緒に写されている俺はわりと仏頂面でカメラ目線なわけでもない。なんで俺が恥ずかしいんだろうなあ。
一度認識すると何もかも恥ずかしく思えてきて、古泉が戻る前にさっさと部室をあとにした。
また明日。
- end -
作品名:ボンノー・エブリディ 作家名:オミ[再公開]